人生二度目の恋をする

てすてすろとろ

第零話

 先輩はいつも俺と喋る時は笑顔を絶やさなかった。年齢が一つだけ違うだけなのに十歳以上も年が離れているような大人びているが女子高校生らしさを振りまくギャップのある先輩だった事を十年たった今でも昨日の事のように先輩と喋る日々を思い出す。

 俺の感じていた精神年齢の差は既に越えてしまい起きる事の無い先輩はあの日のまま女子高校生のまま年だけを重ねていた。

 大学に行った。先輩とは別の女の人と付き合ったが二ヶ月で分かれた。その後もそんな事を繰り返すうちに大学を卒業して会社に就職した頃には付き合うということを止めていた。

 兄も母も悲願することはないと顔を合わせては口癖のように言うせいかここ二、三年は顔を合わせていなかった。俺はただ一人先輩だけと会話をするわけでもなくただ寝顔だけを眺める休日を過ごしていた。


「君が望むならば願いをかなえてやらないこともない」


 音一つ立てずに男は最初から立っていたと主張するかのように仁王立ちで扉によかかっていた。

 確かに俺は先輩を起こしてもらいたいと願いたいが果たしてそれが俺の一番願う事なのだろうか。


「僕は何でも知っているさ、だから君の願いを叶えてあげるんだ」


 男、いや少年? 違う彼、いや彼女、分からない声はするだけれど壁によっかかるそれをなぜ俺は男と認識したのかわからない、それが本当に生き物なのかさえ今は認識できていない。つまりどういうことなのかそれすらわからない。


「だけど僕はいたずら好きで有名なのさ、精精振り回されずに願いを叶えるといいよ」


 それが腕のような白いモヤを伸ばして指パッチンをすると同時に俺の視界は真っ白になり体が宙に浮くような感覚と共に意識を失った。

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