018 才能なしのピアニスト①Ⅱ
トイレを済ませると、鼻歌を歌いながら手を洗う。
「
いつのまにか手を洗っていると
「うわっ! いつの間に後ろにいたんですか? 声をかけるなら驚かさないでくださいよ。寿命が縮みそうになったじゃないですか!」
「あなたが手を洗っている時に扉を横にスライドさせて入ってきたじゃない」
朝からため息をついて、手を洗っている
「え、あ、まだ洗っている途中……」
「いいじゃない。もう、ほとんど洗っているじゃない。それよりもそこの棚からタオル取ってくれない?」
「人を退かせた後にタオル取ってか……」
タオルを取りに行くと、また一人入ってきた。
「なんだ、お前ら起きていたのか」
眠そうな表情をしながら
「洗面所に明かりが点いていて、話し声がするなと思ったら……」
一、二回咳をして、颯介は寝癖を直すために自分の櫛と寝癖直しのスプレーを手に取った。髪の毛全域にスプレーをかけて整える。
「結局、二度寝はしなかったんですか?」
「ああ、眠れなかったからな。それに大学に遅刻でもしたら単位もらえなくなるだろ?」
「じゃあ、これからどうします? 暇つぶしに大広間でニュースでも見ますか?」
「そうだな。もうババアも起きているんだろ?」
スプレーを棚に直し、颯介が頷く。
顔を洗い終えた雅は、優翔からタオルを奪い取ると顔を拭いた。
洗面所から出ると、明かりを消し、三人は
「あら、雅も颯介も起きたんだ」
台所で食材を切り、フライパンで炒め、やかんでお湯を沸かしながら朝食と弁当の準備をしていた。
「今日の朝はなんだ?」
と、颯介が聞く。
「スクランブルエッグにベーコン、後は昨日の残りとヒミツよ」
「じゃあ、私も手伝おうかしら?」
「「「やめてくれ!」」」
三人が声を揃えて、雅の手伝いを断った。
話をしていると、時間は五時から六時十五分へと進んでいた。
テレビを点けていると、四月の東京の下で寒そうに立ちながら天気予報士の女性が冷たい風に当てられながらも我慢しながら全国の国民に対して、今日の日本列島の天気を必死に伝えていた。
今日はどうやら四月の中で一番寒いらしい。
日本列島の上の方にある寒波が下に下がってきて二月中旬並みの寒さと言っていた。
窓も風に当たり、小さな物音を立てている。
「今日は冷え込むらしいわね。これからの地球温暖化のせいでこういった気象現象が起こるのかしら?」
姫花が、台所からテレビを眺めていた。
「そうですね。二月中旬の寒さって異常ですよ。去年は、台風が逆走したり、色々とありましたからね」
作り笑いで言葉を返す。
ズボンのポケットに入れていたスマホ型のタブレットを取り出す。
「お、何か検索でもするのか?」
「何となく出しただけですよ」
「それなら俺に貸してくれ。少し調べたいものがある」
颯介にそう言われて、優翔はそのまま素直に渡す。
パスワードはかけていなく、そのままインターネットを開いた。検索ワードに大学名を打ち込み。サイトにアクセスする。
線香花火の君と僕 ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ @kouta0525
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