幕間3
俺が斬った神竜は霧となって、その中から十二歳の少女。俺の妹、琥珀がゆっくりと落ちてきた。
その琥珀を受け止めて、優しくそっと抱きかかえた。その感触は何とも言えないものだった。やわらかいのか、かたいのか、温かいのか、冷たいのか、本当によく分からなかった。
でも、ただ一つ。俺には言えることがあった。
琥珀はとてもやさしい感触だった気がしたこと。
その感触を噛みしめて、俺はその戦場を歩いた。
壊れた山もすべてが極寒の森へと変わり、一面は銀色の氷で埋め尽くされていた。
そこを抜けて必死に歩いて、歩いて歩いて。
そこで俺の記憶は途切れている。
イキシアからは途中で倒れたから担いで帰ったと言われたが、正直よく分かっていない。とにかく今はこの勝利を嬉しがろう。
もう疲れた。あと十年は寝たいな……。
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