第一章《初めての戦闘》

第一章初めての戦闘


 俺のベットには全裸の妹、真っ白な髪の間にたくましい角が見えている美少女琥珀が寝ていた。これなんてエロゲー⁈ すると琥珀が寝返りをして、手で隠れていた可愛いおへそがこんにちは! 琥珀の体のラインが丸わかり。平常心を保ちたい俺だが、体は許さなかった。

 あまりの可愛さに鼻血がポトっと、俺の手が妹のおへそへ向かって行く。

 残り一センチ、届くぞ! と思ったときに目が覚めた。

 勢いよく起き上がり、すぐにベットの中を確認するが琥珀の姿は見えない。どうやら夢だったようだ。兄としてみっともない夢を見てしまった。可愛いからってこれはないな。

 そう。俺はそれだけ妹を、琥珀のことを大好きなのだ。

「おにいちゃーーん、ごはんだよーー!」

 すると一階から琥珀のごはんコールが聞こえる。同時に部屋を飛び出て、階段を降り、席に着く。

 今日の朝食は、食パン二枚にコーンスープ、ヨーグルト、牛乳の四つ。朝はまあまあ手抜きではあるのだが、琥珀の料理はセンスの塊でクソうまい。

 俺らは二人暮らしだから食事は琥珀に任せ、他の家事は俺の仕事である。

 そんなうまい朝ごはんをペロリと食べ終え、台所に食器を戻す。

「ご馳走さまーー」

「どういたしまして、おにいちゃん」

「今日も最高だぞ」

「へへ…….」

 琥珀の顔が少し赤くなる、だが俺は、そうとも知らずにペットであるホワイトウルフに餌を与え、散歩(ランニングを十キロ)をして家に戻り、シャワーを浴び、歯を磨いて、ジャージに着替える。

 今日は琥珀と親友の虎狼(コロウ)と街中でクエストを受ける約束をしているのだが、まだまだ時間があるので、自主トレを開始する。

 一応最弱戦士の俺は、魔術がとても苦手でレベルDからB程度の魔術しか使えない。戦士のランク評価の九割は魔術なので俺がDランクなのも分かる。でもやはり、これは痛くて、いくら体術を極めていても魔術の力には到底かなわない。特に自分特有の固有魔術を持ったものなんて予想外で最も厄介だ。

 でも、俺にも得意なの魔術はある。それは筋力増強の魔術と、攻撃力向上の魔術の二つ。これと体術を合わせることで最大の火力を出すことができる。

 両足を広げ、左足を前に、右手を後ろに、目をつぶり、頭の中で高速で詠唱を完了させ、力を込めた拳を分厚い鉄の板へ叩き込む。

 すると、鉄の板は真っ二つに割れ、ズドンッという音とともに左右に倒れる。まあ、この技が俺が使える攻撃。でも、こんな攻撃が効くのは森にいるゴブリンや、猿族の小さい奴らだけ、国の北側にいる三大竜なんかには効くようなものではない。

 それに、Cランク以上の戦士にも、防御魔術で回避される。Sなんていくと、常時発動している防御魔術により当たりもしない。だから使えもしない、。でも、俺にできることはこんなことしかない、。その上で俺はその正確さが少しでも上がるように、そう信じて特訓を続ける。

 家の裏で特訓をしている俺のところにこっそりと琥珀が来た。

「っ! はっ! はァッ‼︎」

「お兄ちゃん」

「ッ?」

 いきなりでびっくりして、詠唱をやめたまま鉄板に拳を叩き込む。

「っ⁉︎ あ、あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア⁉︎」

 瞬時に指先から順に体に稲妻が走る。絶望的に痛い。マジで死ぬほど痛い。

「あ! お兄ちゃん、ごめん、大丈夫?」

「大丈夫に見えるかぁぁ?」

 完全に横たわり、右手を左手で優しく撫でながら息を吹きかける。

「ふー、ふぅー、ふぅー」

 その痛みに夢中になっていると、琥珀が泣きそうな声で、

「ご、ご、ごめんなさぃ……」

 琥珀の泣きそうな声を聞き、光の速さで、

「全然だいっ丈夫だから、気にすんな!」

「ほんと?」

「ほんと!」

「よかったぁ〜」

 琥珀の安心の声とともに、俺も安堵の声が漏れる。もう少しで琥珀を泣かせてしまうところだった。

「ところで、どうしたの?」

 俺が理由を尋ねてみると、

「いや、お兄ちゃんいっつも体術ばっかしてるから、魔術の勉強しないとダメだよっと思って……」

「ああ、なんだ。分かってる、大丈夫。お前もするんだぞ」

 俺はこうは言ったが琥珀はAランク戦士でとても優秀な成績を残しているのだ。まだ琥珀は十二歳なのにな。確か、魔術使いの職でやってるから琥珀は魔術が大得意で、本当になんでもできる。格闘術が苦手だが……。

「お兄ちゃん、もうすぐで時間だから準備してね」

「ああ、オッケー」

 途中から上半身裸になっていた俺は、速攻でシャワー浴びて、戦士服に着替える。まあこれには特に規定はないのだが、俺はスーツのような格好に黒の半そでと短パン、そして黒いコートで黒の手袋で黒一色で揃えて行く。

 見た目はランクS戦士だが、外見くらいこうしておかないと周りの目線が痛い。

 俺が玄関で靴を履いていると、琥珀が、俺と似たような白スーツに下は赤いスカートで、上には銀色のプレートを白いパーカーで羽織っている。

そんな琥珀の姿がめっちゃ可愛く見えるのは俺だけだろうか。

「よし、行くか!」

「うん、いってきまーーす‼︎」

 と言って勢いよくドアを開け、外へ飛び出す。



 言い忘れていたが、俺らにはペットがいる。そのペットというのは優しく、大人しく、そして賢くて強い。そんな無敵な動物であるホワイトウルフだ。体長は2m弱あり、全身が真っ白。そんなことから名前はシロ。ダッサ! と思ったでしょう? もちろん俺もそう思う。だけど、可愛い妹が付けた名前だから許しちゃう♡ が俺のスタイルな訳でこういう名前になりました。

 シロは、琥珀がいつも一人で行く上級クエストで見つけて、飼いたいと思ったから、ボコボコにして持って帰って来たらしいが、ホワイトウルフだってランクAモンスターなのによく一人でぼこぼこにできたものだ。強すぎるよ。

 俺じゃあ二時間くらいやり合っても勝てない。このまま琥珀がランクを上げて行けば、国任命の戦士になってしまうと焦りながらも、この大きな壁は超えてそうもないと自覚する。

 まあ今日は家に置いて来たけど、てかなんでこんなこと言ったんだ?


 住宅街を抜けて街に出る。

街では琥珀くらいの子は友達と遊び、魔術とは無縁の平穏な日々を過ごしている。それなのに琥珀は極めて強くてすごい。俺もこのくらいの時はよく遊んでいたのに琥珀はただ鍛えていて自分には可哀想にも見えてくる。

 でも、その子たちを見ても琥珀は笑顔で、この街を守れて嬉しい! なんて言うもんだから涙が出てしまうよ、お兄ちゃんは。

 いつか、こんな風に、親父に遊びに連れてもらったように、俺が琥珀を遊びに連れて行ってあげようと固く決意する。

「お姉ちゃん‼︎」

 すると小さな男の子が琥珀に走ってきた。すぐに他の子も集まり、どこかのスター選手のみたいな感じになる。

「琥珀姉ちゃん‼︎」

「カッコいい〜〜」

「戦士なんでしょ⁉︎」

「すごいな〜〜」

「俺も姉ちゃんみたいになりたいな!」

 それもそのはず、琥珀はこの歳でランクA戦士なので街の有名人である。全く、兄の面目が全く立たない。でも、さすが俺自慢の妹だ。

「きっとなれるよ、その夢を忘れずに、自問自答を続けて、努力を怠らなければいつかは叶う。みんなも頑張ってね、私もランクSSを目指して頑張るから」

「うん!」

「分かった!」

「頑張ってね、姉ちゃん!」

 琥珀がSSランクを目指しているのに、いつも簡単なクエストを手伝ってもらっている俺がとても恥ずかしい。

「琥珀、人気者だな」

「え⁉︎ お兄ちゃんも私にとってはスターだよ!」

「お世辞でも、本当に優しいな、お前は」

「そんなこと……ほんとに、スターだよっ!」

 手を引っ張りながら勢いよく声に出した。

「ああ、そうだな」

「うん!」

「俺はお前のお兄ちゃんだからな!」

「うんうん‼」

 思い切り頷く琥珀を見て、なんか嬉しかった。

「いつもサンキューな」

「えへへ……」

 そんなこんなでやっと待ち合わせの場所が見えてきた。

 家から約十分くらいの近さにある戦士協会だ。

 自動ドアを抜けると、カフェでお姉さんと仲良く話す親友の虎狼が見えてきた。

 後ろから近づき、耳にふぅ〜と息をかけると、

「ぁはぁ〜〜」

 とキモい顔しながら肩を上げた。その瞬間のカフェの姉さんの顔がやばかった。

もう、もろ顔に「キモッ」っていう字が見えていて、嫌々付き合わされていたんだなと悟った。そしてすぐに琥珀と一緒に顔を引っ叩く。

「ッ⁉︎ ァアアアア⁉︎」

 顔を抑え、赤ちゃんみたいな顔でこっちを向いてきた。

「キモい、早くクエストやるぞ」

「イッテェ、よくも」

 俺を睨め付ける虎狼だが、先のお姉さんの顔を見せてやりたい。

「いいから、童貞野郎」

 童貞という言葉に琥珀が反応するが、首をかしげる。

 そんな言葉知らなくていいんだよ琥珀ちゃん、っていう眼差しを向けてから、カウンターに三人で向かう。

 すぐに綺麗なお姉さんに反応した虎狼が、

「お姉さん、今日も美しいですね、今度一緒にランぃ⁉︎」

 グッと力を込めた拳を頭の上に思いっきり落とす。

「すみません、こいつこういう奴で」

 お姉さんは、ははあぁ、と苦笑いをしていたが顔からして、状況を読み込めていなかった。

「今日はどう言った要件で?」

「今日もクエスト探しに来ました」

「あ、クエストですね、どんなのがご要望で?」

「Dランクでも出来る簡単なやつは……?」

 すると横から突かれ、見てみると琥珀がまたぁー? っていう目線を送っている。

「すみません、今はBランク以上のモンスター狩り系のが簡単なやつですね」

 俺はクエストクリアできるのか不安で考えていたが、琥珀はガッツポーズをしながら喜んでいた。

 まあ、正直俺以外の二人なら余裕でいけると思うが俺は大丈夫なのか。琥珀はランクA、虎狼はB、そして俺がD。俺だけが桁違いに弱い。

「あのー、俺Dランクですけどいけますかね?」

「まあ、妹さんと友達の方は対象ランク以上なのでいけるのではないでしょうか?」

「そうすか、」

 俺は不安だけど、いつかはこんな日も来るんだからやろうかな。ちょうどこのクエストが俺のデビュー戦で、戦闘力も測れるんだという期待と、格上である琥珀と虎狼に迷惑をかけないか。そして、格上に俺の得意の工場魔術の攻撃は通用するのか? という疑問を晴らす機会にもなるだろうと思い、

「じゃあこのクエストにします」

「はい、ではこの猿族のモンスター二十体の討伐、という狩り系のクエストでよろしいでしょうか」

「はい、お願いします」

「ではサインを」

 すぐに書き終えると、

「このクエストは午後三時から開始となりますのでそれまでに準備を整えて来てくださいね」

 そう言われて、ここを後にする。

「なあ、お前どうした?」

「お兄ちゃん?」

「いや、ただただ不安なだけ。デビュー戦でいきなりランクBクエストなんて、出来るのかと不安で怖いんだよ」

 俺は初めての未知の世界と戦う。そう、この未知ってのが怖い。

 この世で怖いのは知らないことだ。琥珀はいつも一人でやったことあるし、虎狼も、二人とも経験がある。だが俺にはない。

 でも俺はともじもじしてると、

「お兄ちゃんは私が全力で守るよ、だからお兄ちゃんも全力で頑張って!」

「ああもちろん、ありがとう琥珀」

 そう意気込み、腹が減っては戦はできぬと思い、飯にしようと切り出す。

「なあ、腹も減ったし飯にしないか?」

「いいよ、お兄ちゃん、私ラーメン食べたい!」

「俺は琥珀ちゃんに任せるぜ」

 そんな言葉を必要以上にカッコつけていう虎狼見ると笑えて来てそんな苦しいことも忘れそうだ。

「じゃあラーメンだな!」

「れっつごーー‼︎」

 と琥珀は楽しそうに手をあげる。



 戦の前にラーメンを食べることになった俺らは戦士協会を出た。

 歩きながら俺のスマホでラーメン屋を探す。

「ったく、どこなんだラーメン?」

「お兄ちゃんまだ?」

「お前、機械音痴か?」

 いや、パソコンのタイピングも右手でしかできない虎狼には言われたくはないと思ったが俺は心が広いので特に気にしない。

「いいから待てって、牛丼、寿司、ハンバーグ、ソバ……」

 なんでだよ、そこまであってラーメンが、王道の王道がなぜ出てこない⁉︎

 お、これは?

 希望の光が。

「あ、あった……かも」

「え、どこどこ? お兄ちゃん早く‼︎」

「ん、あー違うわ笑」

 見えることはなかった。

「おい」

「ええええぇぇぇぇ!」

 なかなか見つけ出すことができない。何故だかラーメンだけ店がないんだ。でも、時間まではたっぷりあるしゆっくり行くか、と思っていると。

「ねえー私もう無理―――」

「ああ、俺も腹減った。(お、綺麗な姉さん!)」

 なんか余計な一言が聞こえた気がするがスルーをする。

「わかったから、待て」

「もうムリムリムリ‼︎ あそこでいい‼︎」

 とうとう限界にきた琥珀が指を指す。あそこっていうのは便利屋。そう。コンビニエンスストア、だった。

「コンビニかよ、あそこでいいのか?」

「俺は嫌だなーー」

 お前は知らん。琥珀に任せていきたいんだよ俺は。でもな。

「俺も食べに行くなら、しっかり食べたい」

「じゃあ、調べて! 早く‼」

 そう妹に言われ、少しやる気を出して調べると見つかった。

 そうだ、あったじゃないか、ここが。

「俺行きつけのラーメン屋があった」

「何それ? 美味しいの?」

 ここまで忘れていた俺がうまいと言っても信じてくれない。そんな風に聞いてくるのが俺には恐怖だった。

「美味しいぞ、マジで」

「まじで?」

「まじまじ」

「……んー、じゃあそこに行こう」

 琥珀はそんなに乗り気じゃないが、マジでうまいから見とけよ。


  


 ここからはそんなに遠くなく、ほんの数分で着くようなところにあったおかげですぐに行くことができた。

 いかにも昔な感じの店が見えてきた。その赤い暖簾をくぐると。

「ヘイ、らっしゃい!」

 めっちゃテンプレなセリフが耳に入るのと同時に、味噌の濃厚スープを思わせるにおいが鼻にも入る。

「お、うまそうな匂いだな」

「そりゃもちろん、あまり知られていなくて人気、ではないが味だけは保証したい」

「まあ、矜持がそういうならホントかもな」

そうだ、もちろん俺が言うからには保証できる。

「お兄ちゃんって嘘いっぱいつくんだよ」

 するとさっきのいざこざで少し不機嫌な琥珀が口を挟む。

「家のは違う、琥珀の反応が可愛くてつい言っちゃうんだよ笑」

「最低……」

 流石に二度目の攻撃を食らうと結構辛い。俺の妹ってこんな口悪かったっけ。俺はそんな風に育ててないよ!

「ひ、ひどいな……。でも、本当に上手いから食べてみろ!」

 琥珀、怒らないで……。

「お、そういえば矜恃じゃないか!」

 そう言ったのは店長。そしてここのたった一人の従業員だ。

 店長は戦士との兼業で、ランクは琥珀と同じでAだ。俺も何回か店長に助けもらったが本当に優しく、男らしく、髪は五厘刈りで、肌は色黒。頼れる男だ。

「お、隣には琥珀ちゃんじゃないか!」

 琥珀は何故だか顔を赤くしておどおどする。なんだ、琥珀の好みはこう言う熱血系なのか? 絶対琥珀はやらんぞ、いくら店長でも譲ってたまるか。

「そしてお隣さんは……」

「虎狼です。矜恃とは古い友達で、みなさん同様戦士やってます」

「そうかそうか、矜恃のお友達さんならまけちゃおうかな?」

「まじか! 頼む店長、金欠だから‼︎」

 このビックウェーブにならないわけにはいかない。絶対にまけてもらうと言う覚悟を決め攻めて行く。

「頼む、な、いいだろう」

「おう、今日は特別半額な!」

「そこは、もっと行こう?」

「うーん、じゃあ四分の一!」

「もっと!」

「八分の一!」

「もっと!」

「十二分の一!」

「もう少し!」

「十っ…………って、もう無理だ!」

「いやそこは……?」

 俺の言葉とともに琥珀もかわい子ちゃん顔で攻めて行く。

「いい、でしょ?」

「あーーー、わかった今日は無料でいいよ!」

「そう来なくっちゃ!」

 俺の覚悟と妹のトドメの一撃で店長を倒し、俺ら兄弟っていいコンビじゃね? とか思い勝利に浸る。大体、こんなにも琥珀を愛しているのだから連携を取れて当然じゃないか!

「お前ら全員味噌でいいな」

「いいぞ!」

「じゃあちょっと待ってろ」

 ここの厨房は俺ら座っているカウンターの前にあり店長の作り方よく見える。店長は太めの麺を湯切りに入れて茹でる。そのうちにしたから出した包丁をペン回しのごとく振り回して、ネギ、卵、焼豚と言う順番で一瞬のうちに全てを切り刻む。そして茹で上がった太麺を皿に乗せ、温めてあった純味噌スープをかけ、秘伝のタレらしきものをかけて混ぜ込み、上にネギ、卵、焼豚三枚を乗せ、出来上がり。

「へい、ラーメンおまち‼︎」

 そして出されたラーメンは見た目こそ普通すぎてどこにでもありそうにも見える。

 しかし、それは嘘であるとすぐに分かる。

「いただきます!」

 三人揃って口へ、まずスープを運ぶ。スープは濃厚な味噌と隠し味にある秘伝のタレがいいハーモニーを生み出し、言葉にできないほどな絶妙な味を生み出している。そして、次に麺を口に運ぶ。太麺だからこそ、スープの旨味をしっかり吸い込み、歯ごたえがある味付き麺となり、とても美味くて飽きない。

「やばい、美味しいよ! お兄ちゃん!」

「うん、美味いな、矜恃!」

「だから言ったろ! ここのは美味いんだって!」

 やっとこのうまさが分かってくれたようだ。美味いといいながら手を止めずに食べ続け、たった十分たらずでスープまで飲み干してしまった。

「ああーうまかったわー」

「うん、お兄ちゃんのくせに結構いいとこ知ってるね!」

「さすがだな」

 こんなに食べてこの後のクエストは大丈夫かという不安は頭にはなく、タプタプのお腹をさすりながら満足感に浸る。

「お前ら、この後のどっか行くのか?」

「ああ、クエストに」

「クエストか、矜恃、お前は大丈夫なのか?」

「うっせ、俺でもいけるって、気にすんな」

 流石にランクDだとみんなから心配されて、またもやとてつもない劣等感に襲われる。

「あ! 店長ってランクBのモンスター狩りのクエストって言ったことあるか?」

 ここに頼れるやつがいるのに気づきすぐに情報を収集する。別になくたって大丈夫そうだけどな。

「それかーまあでも、琥珀ちゃんいるし多分連携取りながら行けば余裕だと思うぜ」

「そうか、ならよかった」

「でも、あまり森の奥に行くと森の主がいるっていう噂があって、A級モンスターらしいから気をつけた方がいいな」

 A級モンスターか。俺から見てみれば強すぎるけど琥珀がいるからなんとかなるだろう。でも、主ってなんだろうな?

「おっけ。ありがとな店長!」

「おう、頑張ってこい!」

 また一人応援されて、クエストに向かう。人の応援ってのは結構頑張れるもんなんだよな。


 ラーメン屋を出て、少し休憩をして時間を潰し、クエスト開始時刻になった。

「お、もう三時か」

「ほんとだ!」

 とても楽しそうに琥珀が応える。

「そんなに楽しみなのか?」

「もちろん! あいつら弱いもん!」

 なんか、自分よりも四歳も年下の相手に言われると悲しくなる。それに、ただモンスターを狩ることが楽しいと言っている琥珀も、普通に考えるとおかしいんだ。この歳なら家で魔術を勉強して、友達と遊んで、モンスターとは無縁の時間を生きて行くのにこいつはもう六歳の時から親に魔術を学んでいる。まあ親っていうのは義理の父、俺の実の父で王国戦士団団長様だから、この異様な事について言うことはできなっかたけど、常識的に考えると、おかしいことだよ。本当に。何よりも、俺が六歳の時は大体魔術なんて知らなかった。いや、知らなかったというよりはよく分からなくて自分には遠い存在だった。だから、今の琥珀を見ていて、可愛いと思うけど、その反面可哀想だとも思える。もっと俺が強ければ、俺が守ってやれるのにな。

 でも、あいつがそれで楽しいなら本当にそれでいいんだと考えている。

「ねえ、お兄ちゃん?」

「あ、ごめんごめん」

「早く行くよ!」

 まあ、とにかく、俺は琥珀が笑顔ならそれでいいんだよ。

「おう!」

「じゃあ行きますか! 二人とも!」

 三人で息を合わせ走り出す。


 ホープ国南東サウスイストフォレスト地区。

 ここは、猿族、ゴブリン族が多く生息している地域で狩りクエストでは定番の場所である。ここのモンスターたちは近くの民家や農家に侵入して食べ物を盗み暮らしている。だから俺たち人間からしてみれば邪魔な存在だ。だから、難易度Bとして国が協会に、特別にクエストとして掃除してもらおうとしているのだ。報酬も普通のクエストよりも多く、ランクB戦士たちには人気のクエストらしいが今の俺はDランクだ。場違い乙。

「はあ、やっぱり怖いなー」

「お兄ちゃん、しっかりしてよ」

「矜恃、お前のデビュー戦なんだから気合い入れろよ?」

 本当にその通りだ。さっきまでの威勢はどこに行ったのだとも思えるくらい、俺はモンスターの巣を目の前に怯えている。いやな、お前らが思うほど簡単じゃないんだぜ?

「ああ、分かってる」

「本当かな?」

「矜恃、もう入り口の目の前だぞ」

「ああ、分かってる」

 そう、気合い入れて、しっかりやるのは分かっている。でも体が震えている。

「もう、」

「まったく」

「仕方ないなー」

 琥珀はそう言って、俺の知らない魔術を唱え始めた。

『見えざる心、恐怖の心、怯える心、全てを解き放ち、力の源となれ』

 琥珀が唱えた瞬間、俺の心が少し軽くなった。

「お、なんかやる気がいきなり!」

「さては、琥珀ちゃん、これは恐怖心を解き放つ精神魔術だな?」

「はい! お兄ちゃんがこんなんじゃいくら猿やゴブリンでも死にますからね」

「おおおおおおおおおおお! 猿だかなんだか知らねえがやってやるよ‼︎」

 恐怖心が消え、やる気が湧いてくる。なんでもできそうなくらいに。

「よし行こう!」

「なんて分かりやすい!」

 と魔術の分かりやすさに感動する俺であった。


 森の入り口付近まで来て、色々作戦を考えたが結局はこれに辿り着いた。敵を笛で集めそのままぶっ倒す作戦。シンプルかつ危険な作戦だ。普通に考えたら、これをしようとすると完全に蜂の巣にされるが、ここにはランクA戦士様がいる。それに面倒だしな、勝てるし大丈夫だろ。さっきまでの怯えはどこに行ったか……。

 前衛は琥珀、後衛は虎狼と俺。琥珀から突破してきたのを俺らがたたくつもりである。だが、正直、琥珀を超えられるモンスターはいるのかそこだけが問題だ。俺の功績なしになるし、一体くらいはヤリたい。

「よし、来たよ!」

 前方100Mくらいに猿が十体ほど見えてきた。

『炎の力よ、我の一部となりて、全てを焼き尽くせ』

 琥珀の両腕に紅蓮の炎が巻き付き、指の先から上に向かい登る滝のように燃え出す。その炎をまとめて、手から炎の剣を生み出し、猿に向かって投擲(とうてき)する。

「いっけェーー!」

 矢のように放たれた炎の剣は猿の頭を貫き三匹ほど撃ち抜く。火花と血が飛び散り、吹っ飛んだ頭が奥にある木に突き刺さった。それを見て後ろから来た猿たちの動きが止まる。

「「すげえ……」」

 俺と虎狼がシンクロした。

 あんな曲芸を見たのは父の炎虎(えんこ)討伐作戦以来だ。あの時は炎ではなく氷だったけど。記憶はうすいが凄かった、と思う。

「お兄ちゃん、全部やっちゃうよ!」

 琥珀が可愛い笑顔で言ったとともに、手に巻きついた炎が巨大の岩の塊のような拳となって、残りの猿を焼き尽くす。どこかで見た技のようだ。

 もう、すごい。とにかくすごい。

 その一言しか出なかった。まあ、二言だけど。

終わったと思った瞬間、奥からゴブリンと猿がさっきの十倍ほど数で押し寄せる。

「え?」

 思わず口から出てしまった。

「あ、こ、琥珀? あれは?」

「ん? 群れかな、お兄ちゃん」

「え?」

 また出てしまった。

 …………………………………………………………………。

 ええええええええええええええええええええええええ⁉︎ さっきので終わりじゃないのーーーーーー⁇

 そう心の中で叫びながら、現実では沈黙を守る俺を見て、琥珀は俺を馬鹿にするような目で見てきた。

「当たり前じゃん笑」

「な⁉︎ なぜ⁇」

「お兄ちゃんの考えてることくらい分かるに決まってるじゃん!」

「っ!」

「お兄ちゃん、面白い!」

 満面の笑みで俺を馬鹿にする。

「てかどうすんの⁉︎」

「やるよ」

 流石に琥珀でもこの数は……。

 そう思っていたが、やはり、最強は最強で。最弱は最弱だった。

『白金の精霊よ、我に力を授けよ』

 今度は琥珀の周りが白金の氷となり、まさに南極の吹雪のような、地球の氷河期の吹雪のように百体以上の大群を一瞬のうちに凍らせ、手をかざす。

『衝撃(インパクト)』

 この二文字で、全てが粉々に砕け散る。

 たった、十秒足らずの時間で百体が消え去った。

 やっぱり、最強じゃないか。

 しかし、その安堵とともに。

 ササッと何かが高速で飛び出してきた。

 それは、猿。

 自然の動物は人間ほど脆くはない。確かに弱いけど、生命力は人間の倍はある。一瞬の隙さえあれば襲いかかってくる。

 だけど、そんなものは、俺の妹、Aランク戦士にとってはただのゴミでしかなかった。

「キャンッ」

 ただ、猿の鳴き声が空の響いた。



 この大群で終わりかなって思ったけど、そうでもなかった。

 無数の猿、ゴブリンが火砕流のごとく山の上から押し寄せてくる。

「やばいぞ、矜恃」

「ああ、でも琥珀が!」

「あれは琥珀ちゃんでも無理だ。飲み込まれる」

 そうやり取りをしていると琥珀が何か呟いた。

 何を言ったかは分からなかったけど、その苦笑いから、なんとなくやばそうなのは分かった。

『炎の力よ、我の一部となりて、全てを焼き尽くせ』

 琥珀の魔術が始まる。紅蓮の炎を身に纏い、辺り一面を焼き尽くす。

「うわッ⁉︎」

「ッあっつ⁉︎」

 琥珀の炎が後ろにいる俺たちをも巻き込むほどに、大きな音を上げる。バチっと火花が飛び散り、周りの木々がどんどん引火していく。その様子を見て、ついに琥珀の余裕がなくなってきたのを悟った。

「お兄ちゃん、逃げて!」

「え⁉︎」

「焼くよ?」

 琥珀のその一言とともに、森一帯を焼き払………っ!

 しかし、その魔術の詠唱途中、邪魔が入る。

 焼き尽くされた森の真ん中を、何かが進んでくる。

「琥珀! どうした⁉︎ やれ‼︎」

「違う、お兄ちゃん! あいつッ!」

 虎狼が何かを感じたように、厳しい声色で言った。

「主(ぬし)だ」

 主。

 それは、森を、山を支配する唯一の存在。

 その一帯を統治するリーダーのような、ボスのような、将軍のようで何か違うもの。

 そいつの威圧は、まるで地球が太陽に飲み込まれるようなもので格が違うことが弱い俺には一瞬で分かってしまう。

「主⁉︎ なんで……?」

 このクエストはモンスター狩りで、本来は安全な山の麓辺りで行う。だから、猿、ゴブリン以外にはモンスターはいない。

だが、なぜここに、山の主がいるんだ?

 主討伐クエストはあるが、それは難易度Aプラス。琥珀でも敵うかどうか。

「くそ! 琥珀一旦引け‼︎」

「時間は俺が稼ぐ、矜恃たちは行け!」

 虎狼がそう宣言するが、何で食い止めるつもりなのか。主の熊のような身体は鉄のように固く、手足の鉤爪も一本一本が日本刀のような切れ味である。そんな化け物を食い止められるのか? そう考えているうちに虎狼は魔術を展開し始めていた。

『集まれ、地で迷う万物、全ては鋼鉄の塊となし、我が盾となれ』

 辺り一帯の木や草、琥珀が焼き尽くした土や石、その全てが鋼鉄に変わり大きな壁を作る。その大きさは縦横十メートル前後、主相手には心細いが多少はいけるはず。

 そう思ったのもつかの間。

 瓦のように破られ、吹っ飛ばされる。

「ぐッ⁉︎ アアアアアアあああァァァァ」

「虎狼‼︎」

 虎狼が壁ごと吹き飛ばされ、残った俺に向かって突進し始める。

 そりゃあ、俺しかないよな。

『瞬発力向上』

『攻撃力向上』

『耐久力向上』

『速さ向上』

『攻撃力超向上』

『速さ超向上』

『瞬発力超向上』

『耐久力超向上』

 すべてを底上げし、崩れかける壁も横切って、風邪を切る速さで主へ迫る。

 まず右拳で一撃。

 その次に左足のかかとをぶつけ、力を込める。

 そしてもう一度右拳を。

 当然のように。

 主の皮膚は鬼のように固く、俺の底上げした拳の一撃などビクともしなかった。

 だが、俺は運が良かった。

 少しだけよろめき体勢を崩した。その隙に虎狼を抱えてそこから離脱する。

「琥珀! 頼んだ!」

 苦笑とともに、

「分かったよ、お兄ちゃん!」

 琥珀は、両手を顔の前に掲げて、目をつぶり、全力で叫ぶ。

『魔力砲』

 自分の残りの魔力を全て使い解き放つ、捨て身の魔術。これは戦士のランクと魔力の保有量が多けれ多いほど力が増す。

 電撃がそこら中に飛び散り、琥珀の周りの草木は焼け、紫電の塊は世界の終わりをイメージさせる。

そんな破壊の魔術が、主の体を飛び散らせた。

「………。」

 声も出なかった。

 ただただすごくて、目が点になった。

 そして、奥から第四ウェーブと言わんばかりにゴブリンがやってくる。

 それを見て、魔力を使い切った琥珀はすぐに振り返って走る。

 魔力というものは体力とは違う。

 なくなったところで倒れたりしない。

 ただ、休憩をはさまないと魔術を使うことができなくなるだけである。これが魔術の利点であり、強みである。

「琥珀! 早く来い!」

 琥珀は魔術に優れているが、俺のように身体能力は高くはない。足だって、普通の女の子っていうのは言い過ぎだけど遅いことは……それなりに遅い。

「分かってる! お兄ちゃんは先に!」

 後ろからモンスターが迫る。

 幸い、ゴブリンだから足は速くないからすぐには追いつかれない。でも、琥珀は体力は持たないだろう。

「矜恃、このままじゃ、琥珀ちゃんが……」

 こうは言われたが、お前が、俺の手で海老のように丸まっているお前が、自分で走れと言いたい。だけど、ここは我慢して他の方法を考える。

 徐々に先頭のゴブリンが迫ってくる。あと十秒もしないうちに、確実に追いつく位置まで来ている。

 そう実況している俺は、気付いた時に走っていた。

 左腕に虎狼を抱えたまま。

「くそォォォ!!」

『筋力向上』

『筋力超向上』

『筋力絶向上』

 全力疾走で琥珀へ近づき、すぐに抱えて、森を走り抜ける。

「っはぁ、っはぁ」

 さすがに二人を抱えて全力疾走は辛いが、その時、俺は何故だか余裕であった。

「まGJFBVCDJX‼︎」

 ゴブリンが何かを叫んだ。が聞き取る間もなく、同時に俺は森を抜け街に入った。

 そこまで来るとゴブリンは急に追わなくなり視界からも消えた。

「っ!」

 虎狼は投げ、琥珀は抱きしめ地面に思い切り倒れた。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 ここは可愛い妹の言葉に応えたいが、体が動かないし、声も出ない。

 首を横に振ると、琥珀が申し訳なさそうにこっちを見てくる。

「お前は悪くない。むしろありがとうだ。あの魔術すごかったぞ」

「でも、私がもっと考え……」

「いいから! 俺は大丈夫だ」

 そういうとさらにかわいそうな顔をされる。

「琥珀ちゃん、ナイス魔術!」

 そんなピンチに虎狼がフォローをする。

 その時俺はこう思った。

 俺は無能なんだな。

 妹をフォローする事すらできないなんて。



 そのあと俺らは協会に行くと、教会に入った途端、教会のお姉さんや同じ戦士たちに駆け寄られ、主はどうだったとか、お前らで倒したのかとか色々言われた。

 一体いつ主のことを聞いたのかと思ったが、そういえばさっきの戦いを後ろの方で人が見ていた気がする。多分そいつだ。クソうるせえよ、まったく。

 モンスター狩りの報酬とプラスアルファで主討伐の報酬のお金を受け取り、俺らは一躍有名になった。Aランクの琥珀、Bランクの虎狼、そして最弱、Dランクの俺。上の二名はともかく俺がいるのが不思議に思う人もいたが、そんなことまで考えていたら俺の精神がもたない。俺だって頑張ったんだ。

 さらにみんなから、祝いのお金を渡されたり、家で使える電化製品とかいろんな物も貰ってしまって俺的には静かに終わらせたかったのだが、大ごととなり、みんなにああだ、こうだと振り回された。

 そんなヘトヘトになった俺に虎狼が提案してくる。

「なあ、今日のみんなの無事を祝って夜ご飯パーティーでもしないか?」

「パーティー⁉︎」

 その言葉に真っ先に反応したのは琥珀で、目が一等星のように輝いていた。

「分かったよ、はいはい」

 俺は妹のわがままには弱い。疲れてはいたがパーティーをすることに決めた。

「じゃあまずは買い出しだな」

 近くにはコンビニがあったが、Dランクの俺には高くてそんなとこでは買うことはできない。だから俺らは、少し歩いたところにある格安スーパーへ向かった。

 足が疲れで崩れそうになったがなんとか持ち堪えスーパーの中へ入る。

「やっぱり、パーティーなら鍋でしょ!」

「いや、ここはタコパで!」

 虎狼と琥珀がどれにするか言い合い始めるが答えは決まっている。

「じゃあ」

「……」

「タコパで」

 もちろん。当然に、琥珀に百票。多数決でタコパに決定だ。

「ええ⁉︎ なんで⁉︎」

「なんでも何もここはタコパでしょ」

 当たり前、妹が第一。

「集まってパーティーだよ? やっぱ鍋だろう?」

「いいから、今日は俺の金で買うんだからいいだろ」

 ここで俺の会心の一撃。

「分かったよ……」

「じゃあタコパで決定‼︎」

 最後は琥珀の元気のいい言葉で決まった。

「おう!」

 今日の夜ご飯はたこ焼き。市販のたこ焼き粉と、卵? っているのか。まあいいや、あとはタコと、ソーセージも買うか。それと、ネギとソースだ。

「あとなんだっけ?」

「鰹節は?」

「あ!」

 やばいやばい。大きな大きな脇役を忘れてたわ。あと青のりも買わないとな。あれ? 青のりってお好み焼きと……えっと……? もういいや。

 たこ焼きの材料を買い終え、そんな重い材料たちを、疲れがピークを超え感覚が麻痺って逆に軽く感じてる俺が持ち、家へ帰る。

 家は一軒家で、それなりに大きな家だと思う。豪邸ではないかな。

 玄関の塀を開いて、鍵を解除してドアを開ける。

「ただいまー」

 すると、廊下からタッタッタという音が聞こえ、奥の暗闇を見てみると、

「おっかえりーーーーーーーー‼︎」

 美しい声が聞こえた。

「明日花さん⁉︎」

 明日花=ゴールド=リーフ。虎狼の実の姉であり、虎狼のお姉さん好きにはたまらないルックスを持つ、長く伸ばした黒い髪がチャームポイントの女性で、年は二十歳くらいだった気がする。

 というよりなんでここに? 誰もよ……?

 すると虎狼が

「姉さん! よかった来てくれたんだ!」

「もちろん、あんたたちの活躍を聞いてやって来たよ!」

 虎狼の姉さんとはまあまあな付き合いで、たまにイベントがあるときに会うぐらいだが、まさか家にいるとは思わなかった。

「よーし、ご飯食べるぞ〜〜!」

「今日はタコパをしようと……」

「タコパ! いいね! じゃあ始めよう!」

 なぜか、明日花さんはタコパをすることを知っているような口ぶりだったことは、気にせず。今日の第一回タコパパーティーが始まった。




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