智ちゃんって多分バージンじゃないよね
ふと思い直し、閉じたブラウザーをもう一度開くと、大陸の数学書「周髀算経」の情報を調べる。
紀元前二〇〇年頃に書かれた、とある。
ただし、勿論原書が残っているわけでもなく、実在の根拠は存在しない。記述の
書かれた当時は難し過ぎて理解されず、ずっと後の唐代辺りになって漸く、理解や評価が高まったという。つまり紀元前から存在したというのは誤りで、実はもっと後の時代に成立したのではという疑いも拭えない。
「渾天儀」についても似たり寄ったりである。西暦一一七年、つまり後漢の時代に、張衡という学者が水力渾天儀を発明したという。しかし当然ながら現物は残っていない。
これもまた、後漢時代に実在したという根拠は不明確なのである。渾天儀の運用が始まったことにより、
(ふう……)
そこまで一気に調べたところで、あたしはさすがに疲労を意識する。
パ○ツ一丁のまま、ベッドにゴロリと寝転がった。
(なにしろ大昔の事だから、情報量が少な過ぎるよね)
早くも素人作業の限界を意識する。
(結局のところ、既存の諸説を分析し長所短所を測ることと、それに並行して自説をしっかり組み立てて行くことしか出来ないのか……)
ここが卑弥呼の墓だ、という決定的な証拠や、それこそ「親魏倭王」印でも出土しない限り、「正しい答え」に辿り着いたという証明は出来ないわけだよね。
まあ、それでもいいか。――
調べれば調べる程、既存の諸説に疑問が湧くのである。それを明らかにしていくだけでも、面白い。知的好奇心を刺激されっ放しだよ。それにあたしの場合、卑弥呼様の助けもあるしさ。……
寝転がって目を瞑り、そんなことを考えていると、ふと、自分が凄く汗臭いことに気付いた。
(あちゃぁ……)
考えてみれば、昨日の日中さんざん汗をかいたのに、夜に風呂に入っていない。汗臭い筈じゃん。いや汗臭いというより、体中のあちこちから謎のフェロモン臭が漂っている(笑)
慌てて起き上がり、ざっとバスタブを洗ってお湯を張る。お湯を張りながら、のんびり入浴する。
首や肩、腕をマッサージしつつ、昨日来の
(何で智ちゃんは、ミスコンを辞退したのかな。智ちゃんの代わりにあたしが出る方が、ホントに有利なの?)
胸、お腹、お尻、太ももを順に撫でていく。
(胸は、智ちゃんよりあたしの方が大きいよね。お尻も、あたしの方が大きいよなあ。智ちゃん位の、もう少し小さくてプリっとしたお尻が、羨ましいんだけど)
智ちゃんよりあたしの方が、ミスコンに有利なの? 智ちゃんは、紗耶香ちゃんが出るべきだ、優勝出来るって言うけどさ。客観的に見てどうなんだろう。――
バスタブを出てシャワーのコックを捻る。ぬるま湯を浴びつつ、「ナイショの日課」を始める。
(智ちゃんって、見た目はゆるふわお嬢様タイプだけど、多分バージンじゃないよね。男子とのコミュ力がスゴいし、既に『経験済み』っぽいよなあ……)
シャワーの心地良い刺激を堪能しつつ体をあちこちアレアレし、かつ
(智ちゃんの初体験のお相手は、誰だろう。まさか敬太郎君だったりして……)
大きな声では言えないけれど、カワイい智ちゃんがひょろガリ敬太郎君に抱かれ、あ~んなコトやこ~んなコトをされてカワイい喘ぎ声を上げるシーンを、微に入り細に入り想像した。二人には悪いんだけど、何かすっごく興奮し、あっさり果てた。
今日も、卑弥呼様は降臨しない。何でだろう!?――
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