第7話 問題発生



「よし、思いもよらぬ出来事だったけど一件落着だな。・・・じゃ行きますか。」


エルがそういうとシェミはフワッと笑って一言。

『困ったら絶対呼んでよ、約束。』

そういって羽へと変化した。


精霊と契約時、精霊は魔力の一部を羽へと変化させ契約の証として主となった者に渡す。羽の形は全て似たような形だが色は多種多様、属性によって変わることが多い。そして通常は精霊は羽へと戻っていく。呼び出すときは主が羽へ魔力を流すとその姿を現す。


シェミの羽は上の部分が薄い蒼色で根元部分が真っ白なグラデーションになっていた。



私はその羽をリングに通せるように加工し、大きなリングに通す。そして落とさないようにしっかりと腰につける。


「やっと帰ってきた・・・」

「そうだな、なんかそれ見ると懐かしいなぁ。」


昔の記憶がよみがえってくるようなほっこりとした気分になった。



===========


街に戻ってくるとシェミの事を教えてくれたおじさんに会った。


「おぉ!どうだったよ、会えたか?ははっ!なーんてな。」

「そうだね、おじさんには感謝してもしきれないかな・・・」

「ん?そうか、別に感謝されるようなことはしてないんだがな・・・」


遠回しに会えたことを伝えても伝わっていないようだった。


それはそれでいいけど。



おじさんと別れてからブロントワの大きな門をくぐった。いつみても圧倒される門はガチですごい。


「結構ここで時間使ったからな、少し急ぐか。」


近いといってもまだウーダンまで距離はある。今はたぶん3時過ぎぐらいだろう。


「あとどのくらいなの?」

「うーん、早くても5時間ってところか・・・」

「まだ結構あるね」



魔法使っちゃえば一発なんだけど、やっぱり野宿してでも徒歩で行かないとね。ここは譲れない。






少し歩けば上り坂が増えてきた。


「はっ・・はっ・・・ちょ、まだ・・・?」


ちょっと体力が持たない。


「まだまだだな。これからはもっと坂道増えてくし、お前それで大丈夫か?」


絶望的なことを聞いてはテンションなんて上がるもんじゃない。本格的に体力を付けようと思った瞬間だった。






=========


「お、見えてきたな。」


エルがそういったのはもう真っ暗な時間帯だった。


予定はもうちょっと早く着く予定だったんだけど、おかしい。私が疲れたから休憩しようなんて言ったのは必要な事だったし、おっかしいなぁ?



「ハァハァハァ・・・見えて・・ゼェ来たって・・ハッ・・・ガチ・・っ?」

「・・・・・・・ガチだけど、お前・・・」

「な・・・・に・・・」

「あ、いや、なんでもなかったわ」



(あんな目で睨まれたらいうことも言えなくね? byエン)



そんなことを思っていたなんて知らなくて後で聞いてちょっと申し訳なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

戦争?そんなん勝手にやってくれ、こっちはもう仕事辞めてるから。 @akaki1103

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ