終幕

僕は目を覚ました


「ん、ここは?」


床に寝ていた、周りを見渡すと見た事のある無機質な部屋だった


「ここは春華ちゃんの部屋?」


無機質な部屋は一度入ったことのある春華ちゃんの部屋だった


「どうしてここに」


僕は起き上がるとちょうど部屋のドアが開いた


「あ、計都君起きた?」


春華ちゃんだった


「ん、まぁ、、待って、、」


「どうしたの?」


僕は腕を見た、そこには小さな針が刺したような赤い斑点があった


「春華ちゃん、僕に何をしたの?」


僕は斑点を見て聞いた


「軽い睡眠薬」


春華ちゃんはたんたんと答えた


「どうゆうこと?」


僕は春華ちゃんを見た、すると


「ねぇ、計都君、、」


春華ちゃんが近づいてきた


「待って!来ないで!」


僕は止めた


「どうして止めるの?」


「いや、ごめん、けど待って」


「待つよ、いつまでも」


「春華ちゃん、質問に答えてくれる?」


「うん、いいよ」


「じゃあどうして睡眠薬を刺したの?」


「逃げると思ったから」


春華ちゃんは普通に答えた


「逃げるわけないじゃん、僕は探していたんだよ」


「うん、知ってるよ」


「知ってて刺したの?」


「うん」


「春華ちゃん、、、」


「何かな計都君」


「春華ちゃんは僕のことは好き?」


「うん、大好き」


「ありがとう、でも春華ちゃん、これはさすがにやりすぎだよ、好きでもダメだよこんな事」


僕は下を向いて泣き始めた、恐怖からではなく、春華ちゃんのとった行動やこれまでの行為に


「どうして?」


「春華ちゃん、別れよう、僕はもう君を救えない」


「救えない?」


「うん、君はもう知ってるだろ、遠藤先輩の事」


「全部もう知ってる、遠藤先輩から東堂先輩の事、だからもう少しで終わるから待ってて」


「春華ちゃん!」


僕は怒鳴った


「春華ちゃんもう終わりにしよう、もう誰とも関わらないでお願いだから」


お願いを聞いてくれるか分からなかったが、もうこれ以上春華ちゃんと関わるとみんなに危険が及ぶかもしれない、自分だけでもと思ったが無理だった、僕は精一杯の思いで別れる決断をした


「分かった、もう全部止める、何もかも全部」


春華ちゃんは言った


「ありがとう、、、」


「じゃあまた好きになってくれますか?」


「え?」


「私は計都君が好きなのは変わらない、会った時からずっと、だから、、」


「えっとー、僕も春華ちゃんが好きだけど、うーん、ちょっと待って」


僕は考えた、まさかの返答に、正直春華ちゃんと縁を切ってその時に関わらないことをしっかりと伝えれば大丈夫かな、と簡単に考えてしまったことに僕は大いに後悔した


「分かった、けど春華ちゃんとは付き合わない」


「どうして?」


「いや、僕はまだ考え直す時間が欲しい、春華ちゃんも少しは欲しいでしょ?」


「そう、だよね、分かった計都君が言うなら」


「それともう東堂先輩や遠藤先輩には絶対手を出さないで、話してもいいけど」


「うん、いいよ計都君が言うなら」


春華ちゃんはニッコリと笑った


「ごめん、そろそろ帰る」


僕は急ぎ足まじりに立ち上がり部屋を出た


「じゃあね」


「バイバイ」


逃げるようにして春華ちゃんの家から出た、すると外に遠藤先輩がいた


「計都、大丈夫だったか?」


「はい、なんとか」


「どうなった?」


「一度別れて、もう一度好きになりました」


「は?」


「そのまんまの意味です」


僕は少し不安そうな顔をした


「まぁ、よく分からんが大丈夫なのか?」


「はい、とりあえずもう心配はないはずです」


「なら良かった、帰るか」


「はい、、」


僕は自分でも少し納得しないまま家に帰った

次の日の学校で衝撃な事が起きた



「突然だが春華が海外留学することになった」


帰りの時間に担任がみんなに言った、みんな驚きの声をあげた、もちろん僕自身も

しかし当の本人の春華は教室にはいなかった


「まぁ本人がいないから直接聞けないのは残念だが、明日にもう行くらしい」


「先生今言うのはちょっとなくない?」


クラスの1人が言った


「すまん、ちょうどいまさっき電話で聞いたから」


「先生、すみません!先に帰ります!」


僕はまっさきに立ち上がり教室から出た


「あっ!計都!」


先生が止めようとしたが僕は見向きもせず学校から出て春華ちゃんの家に向かった



「春華ちゃん!」


春華ちゃんはちょうど荷物を纏めていて家から出た時だった


「あ、計都君」


「どうしていきなり海外に?」


「ごめんね、考える時間が必要でしょ、そしたら私は離れてないとダメかなと思ったの」


「そんな、、」


「だから、私は私なりの答えが出るまで帰れない、けど私はずっと計都君の事が好きだから」


「どうしても行っちゃうの?」


「うん、必ず帰ってくるから計都君は誰とも付き合っちゃダメだからね、私だけのものなんだから」


「怖いこと言うね、分かった、春華ちゃんが決めたことなら、なら僕はずっと待ってるから」


「うん、ありがとう」


春華ちゃんは笑った


「じゃあまた会おうね春華ちゃん」


「またね、計都君」


僕は手を振り春華ちゃんを見送った


「計都!」

「計都くん」


ちょうど春華ちゃんを見送ったあとに山田と臼井さんが来た


「計都、お前止めなかったのか?!」


山田が言った


「止めなかった」


「どうしてだ!」


「春華ちゃんは止めても無駄だと思ったからだよ」


「計都、、」


僕はその後、遠藤先輩の卒業を見送り、2年、3年とただ何事もない生活を送った、僕は大学に進み、2年生になった頃に一通の手紙が届いた


「手紙、誰だ?」


僕は手紙を開けた、そこには


『計都君へ』


と書かれており下に文章が続いていた


『計都君へ、久しぶりです、春華です覚えてるかな?でも覚えてるよね、もう少しで答えが決まります、そうしたら帰るから、待っていてください』


春華ちゃんからの手紙だった


「春華ちゃん、やっと帰ってくるのか」


僕は複雑な気持ちだった

しかし、春華ちゃんは2年生の内に帰ってこず3年生になった


「春華ちゃんは今はどうしてるかな」


ポケットから1枚の手紙を取り出した

すると、うしろからいきなり抱きつかれた


「たっだいま〜!」


春華ちゃんの声だった


「春華ちゃん!」


「正解!」


春華ちゃんは離れた、僕は振り向いた


「久しぶり、計都君」


春華ちゃんは見ない間に成長して、昔よりももっと綺麗になっていた


「久しぶり、春華ちゃん」


僕は少し照れくさそうに言った


「計都君、誰とも付き合っていないでしょうね〜」


「そんなことはないよ、ずっと待っていたんだから」


「それはよかった、もし付き合っていたらどうしようか思っていたんだから」


「また怖いこと言って」


「私はずっと計都君のそばにいるよ」


「僕も春華ちゃんのそばにいる」


2人が出した答えだった


「あ、もし仮に別れようて言ったら計都君に何をするか分からないよ」


「それは怖いなぁ、でも春華ちゃんは絶対に僕を裏切らないでいて欲しいなぁ」


「大丈夫だよ、絶対にないから」


「良かった」


「計都君」


「ん?」


「どうして私のことを好きになったの?」


「それは春華ちゃんに一目惚れしたからだよ」


「言うと思った、私もだよ」


春華ちゃんは僕に抱きついた


「ちょっ、春華ちゃん!?」


「もう離さないから、一生ね」



その後、春華ちゃんは戻ってきてずっと僕のそばにいるようになった、春華ちゃんは大学を僕と同じにして通い始めた

僕は春華ちゃんのそばにいて春華ちゃんも同じように僕のそばにいる


これからもずっと一緒に……

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ヤンデレはお好きですか? 水無月 深夜 @Minazuki1379

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