第35話

手始めに学校周辺を調べた


「僕はこっちから探すから山田と臼井さんは向こうをお願いできる?またここの学校の門で会おう」


「了解」

「うん」


僕は2人に軽い指示を出して二手に分かれて探し始めた


「どこにいるんだ」


僕は時には走ったり、時には歩いたりと休みながら周りを見渡しながら探した


「いない、本当にどこにいったんだ」


しかし、探せど探せど見つからなかった

とりあえず戻ることにした


「いた?」


ちょうど戻ると、向かいから山田と臼井さんも戻ってきたところだった


「いや、いない」

「いなかった」


向こうも見つからなかったようだ


「春華ちゃんが行きそうな場所、、」


僕は次に春華ちゃんが行きそうな場所を考えた


「一つあった、いやなんでこっちに行かなかったんだ」


僕が思いついたのはあの公園だった


「どこだ?」


「あの公園だ!行こう」


僕は2人を連れて走って公園に向かった



「ここだ」


息を切らしながら公園に着いた


「ここ?本当にいるのか?」


「分からない、けどここ周辺を探してくれ」


「ああ、分かった」

「うん」


再び、二手に分かれて探した



「なんで、いないんだ!」


探したがいなかった、3人で公園に集まり話し合った


「どこいったんだ?」


「本当に心配になってきた」


山田と臼井さんも頭を悩ましていた


「とりあえず、今日はもう帰るか」


僕は2人に言った


「そうだな、もう冬だし、日が暮れるのが早い」


「そうだね、しょうがないけど帰ろうか」


「ごめん、また明日も頼める?」


2人に謝りながら頼んだ


「ああ、もちろんだ、計都には色々と世話になってるしな」


「もちろんよ、こっちは委員長として見つけなきゃ行けないから」


山田と臼井さんは笑いながら言った、2人は頼もしく見えた


「ありがとう、僕はもう少し探してから帰るから」


「分かった、じゃあな」

「バイバイ」


2人は僕と別れて帰っていった

僕は公園のベンチに座って少し休んだ


「さて、探すと言ったものの日が沈みそうだし、ちょっとだけ見回ってから帰ろう」


僕は立ち上がり歩き始めた瞬間に


「計都君?」


春華ちゃんの声が聞こえた


「春華ちゃん!?」


僕は声が聞こえた方を向くとそこに春華ちゃんが立っていた


「あ、やっぱ計都君だ」


春華ちゃんはニコニコしながら僕に近づいてきた


「春華ちゃん、どこにいたの?」


「計都君だ、久しぶり〜、ねぇねぇ元気にしてた、私がいない間私のこと心配した?」


春華ちゃんは僕の話を全く聞いていなかった


「春華ちゃん、聞いて」


「何かな?」


「春華ちゃんはどうしたい?」


「ん?どうしたいって何が?」


春華ちゃんは首を傾げた


「これからどうしたいかってこと」


「それはずっと計都君の近くに居れれば嬉しいよ、けどその前にやることがあるからね、まだ戻れない」


「そうじゃない、春華ちゃん」


「じゃあ、なに?」


「えっと、それは、、」


「ねぇねぇ、それより私の家に来ない?もう日が暮れるから」


春華ちゃんは前とは変わって何故かテンションが高かった


「計都!」


すると、遠くから僕の名前を呼ぶ声が聞こえた

僕は呼ばれた方を見ると修也先輩が走ってきた


「え?どうしたん、、ちょっ!」


僕は修也先輩に要件を聞こうとした瞬間に春華ちゃんに引っ張られて修也先輩とは逆方向に走り出した


「待って、春華ちゃん」


春華ちゃんは黙ったまま僕の腕を引っ張りながら走っていた、止まろうとしたが春華ちゃんの力は女の子からとは思えないほどの力だった


「計都!、、、」


修也先輩の声は段々と聞こえなくなり後半なんて言ったか聞こえず先輩の姿が段々と小さくなっていった

それでも春華ちゃんは止まらず走り続けた

僕は止めようとしたが聞く耳も持たずにそのまま引っ張られたままだった



ようやく春華ちゃんは止まり、着いたのは春華ちゃんの家だった


「やっと、止まってくれた、なんで急に走り出したの?」


僕は膝に手をつき息を切らしていた


「、、、」


春華ちゃんは息を全く切らしておらず黙ったままだった


「ねぇ、何か言ってよ」


僕が春華ちゃんの肩に手を置こうとしたら、春華ちゃんはその手を掴み、何かを僕の腕に刺した


「痛っ!」


春華ちゃんが刺したのは注射器だった、既に僕に何かを入れたあとだった


「何をいれたの?」


僕は聞いた、しかし急激な眠気が襲ってきた


「大丈夫、もう大丈夫だから」


春華ちゃんはそう言って僕の意識はそこで途切れた

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