詩集 草月流

素晴らしき新世界

ああ素晴らしき新世界

賢き者の多くして

愚かなるもの少なくて

理路整然たる法律の

林立したる法世界

叡智に溢れる日常は

指先ひとつで世が動く

暖衣飽食何もかも

揃い踏みして御出迎え

過保護の鎖に縛られて

約束自由の狭きこと

我らが生きる新世界

賢きものは多けれど

多くは自死の道辿り

卑しき愚鈍が幅利かす

貧しきものは貧しくて

金持つものは金持ちて

身分変わらぬ確固の世

殺人大戦伝染病

一律平和の無きが常

責めらるるべきはウイルスか

毒か兵器か怨恨か

人がいるだけ罪がある

罪がある場に人がいる

ああ素晴らしき新世界

ああ素晴らしき新世界

歪（ひず）みも歪（いびつ）も無くならず

いくら悪徳栄えども

万人が生きて生きて死ぬ

摂理が普遍に生きている

ああ素晴らしき新世界