幸せの形
勝利だギューちゃん
第1話
家のベルが鳴った。
監視カメラから、門のところにいる相手を確認する。
(厄介な相手だ)
居留守をしよう・・・
しばらくしたら、またベルが鳴った。
先程と同じ相手だ・・・
居留守をしよう・・・
あきらめたろう・・・
だが、またベルが鳴った
同じ相手だ・・・
仕方ないので出る。
「この家は、ただいま留守にしております。御用の方は、
改めてお越しください」
すると今度は、玄関のところまできて、ドアを開けた。
「ねえ、居留守使わないでよ」
そこには、幼馴染でクラスメイトの女子がいた。
名前を、早川秀美という・・・
「何の用だ?」
「おじさんと、おばさんから訊いてない?」
「ああ、訊いてるよ。今晩俺の飯を作ってくれるんだってな」
「そうよ。ならどうして居留守を使うの」
秀美は怒っている。
秀美には、秀美には自覚がないようだ・・・
秀美の事は、嫌いではない。
むしろ、理想的な関係と言えよう・・・
ただ・・・
こいつの作る料理は、不味い。
いや、不味いなんてかわいいレベルではない・・・
おそらくゴジラも、一口食べれば、あの世行きだろう・・・
以前は、3か月入院したことがある。
「純、任せておいてね。腕によりをかけてつくってあげるから」
秀美は、やる気まんまんだ・・・
ちなみに純は、俺の名前。高杉純という・・・
よく、「女は男の料理人ではない」という、意見を耳にするが、
それなら、「男のくせに女より料理を上手く作るな」と、言わないでほしい・・・
なので、自分から料理をしてくれる秀美は、好感はもてる・・・
でも・・・それと味とは、別問題だ・・・
「秀美」
「なに?」
「出前取ろう」
「無駄遣いはいいけません」
「外食しよう」
「無駄遣いはいけません」
「俺が作る」
「私が来た意味がない」
などと、断固として譲らない・・・
「で、秀美」
「なに?」
「何を作ってくれるんだ?」
「出来てからの、お楽しみ・・・」
そう言って教えてくれない。
そして、夕食の時間が来た・・・
地獄の時間が・・・
テーブルの上には、芸術的な料理がならんでいる・・・
俺は、言葉を失った・・・
秀美はのニコニコしている。
「時に、秀美さん、これは何を作られたので?」
「これはハンバーグ」
赤いのを指差す・・・
「これはシチュー」
黒いのを指差す・・・
「これは、野菜炒め」
全く別物になっている・・・
仕方ない覚悟を決めよう・・・
今度の入院は、長引きそうだ・・・
将来は・・・いっか・・・
料理は、美味しい物を食べたくなれば、外へ行こう。
秀美と二人で・・・
幸せの形 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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