どっち?

山口みかん

第1話

いらっしゃいませ、お義兄さん。

え? まだお義兄さんじゃない? 似たようなものですよ。


今までだってお隣のお兄さんでしょう?


そのお隣のお兄さんからプロポーズされて、姉は大喜びでしたよ。

即答だったでしょ?


何年も待ってましたから、当たり前ですね。

流石、夢見る乙女な我が姉です。


ですから、実質お義兄さん決定ですよ。


それで、ここに何をしに来られたんですか?


って、愚問ですね。そういう場所ですもんね。


本番ありでしたら割増料金ですよ。

どうしますか?


顔が青くなってますよ? どうしました?


え? なんで私がここに居るのかって?

お金が欲しかったからですよ? わかりやすいでしょう?


それでどうしますか?

決められないなら勝手に始めますよ?

キャンセルなんてされたらお金貰えませんから。

割増し、お願いしますね?


……

…………

………………


お疲れさまでした。

お義兄さん凄いですね。私がこんなになるなんて思いませんでしたよ。


お義兄さんもおサイフ大丈夫ですか?

大丈夫?

良かったです。いっぱいおねだりしましたからね。

ちょっとは責任感じてたんですよ?


それで今度はいつ来てくれますか?

え? 今日のことは忘れて欲しい?


無理ですよ。私こんなですよ?

もう他の人では満足出来そうにないですよ?


毎日でも今日のことを夢に見そうです。

朝にぱんつ替え必須ですね。


お義兄さんだってそうでしょう?

いまだってこんなふうにしてるのに。

わからないと思いますか?


大丈夫ですよ。

私も姉が大好きなので、ばれないようにしますよ?


え、諦める方向性ですか?

ないですね。


お義兄さんがちょっと協力してくれればいいんです。

お互いに協力すれば大丈夫です。

ばれなければしてないのと同じですよ?

大丈夫ですよ? 姉は疑うことを知りませんから。

お義兄さんも知っているでしょう?


できますよね?


はい、よろしくお願いしますね、お義兄さん。


      ◇      ◇


やっぱりお義兄さんは凄いです。

相性がいいんですね。うれしいです。


え? お仕事? とっくにやめましたよ?

しばらく前からコンビニでアルバイトをしてます。

姉から聞いてなかったですか?


もう他では満足出来なくてつまらなくなったので。

お金じゃなかったんですね。お義兄さんは凄いです。


だから回数が増えたんだなって?

正解です。


ご褒美にご奉仕してあげますね。私、上手なんですよ?

これからはお義兄さんが独り占めですね。


ところでちょっといいですか?

相談があるんです。


いえ、回数を増やして欲しいお願いではないです。

そんなのお願いする前に私から行きますよ?

姉と会う日を教えて貰えたら、他を全て私で埋めてあげてもいいですよ?


勘弁してくれって?

無理ですね。

だってお義兄さんも好きでしょう?


わかりますよ? すぐ元気になりますからね。


姉は耐えられてますか?


え? そんなに少ないんですか?

それはさすがにちょっと。

もっとしてあげてくださいよ。


だったら私の回数を減らせ?

それは無理ですね。


なんでしたら、その時に拒んでくれてもいいですよ?


無理でしょう?


そう思いましたよ。

そのつもりなら姉と会う日を増やしたって言えば済むだけですもんね。


無理なんですよ。

お義兄さんも私も。


それは全く関係無くて、相談があるんです。

聞いて下さいよ。


      ◇      ◇


彼女には、前からお義兄さんとしてみたいってお願いされてたんですよね。


小学校からのお友達なので断りきれなかったんです。

お陰で助かりました、ありがとうございます。


彼女、とても喜んでましたよ?


それで、どうだったですか? 彼女。

可愛い子だったでしょう?

スタイルも良いし、性格も良いから学年でも一番人気だったんです。


悪くなかった?

そうですか。


それで? まだなにか言いたそうですよ?


ああ、少し物足りなかったんですか。

そうですか。


彼女から、またお願いしますって言われたんですけど、どうしますか?

断るんですか? 本当に? もったいないですよ?


ああそうですか、私がいいんですか。

さすがに照れますね。


でしたら今からしましょうか。

嬉しいからなんでもしてあげますよ?

なにがいいですか?


ええ、なんでもです。


え? なにもつけずにしたいんですか?


でも、今日はとっても危ない日ですよ?

今度にします?

準備しておきますよ?


ああ、一度考えたら我慢できないんですね?

凄いことになってますもんね、それ。


大変ですね。わかりますよ?


私のここもたまらなくきゅんきゅんしてますからね。

ほら、ね? わかるでしょう?


それで、姉はどうするんですか?

さすがにこれはばれますよ?


私が姉を大好きなのは知ってますよね?

お義兄さんもそうでしょう?


ええ、どうしてもと言われたら私は断れませんよ?

もう限界寸前ですから。


もし私を選んでくれるなら一緒に謝ってあげますよ?


私は姉もお義兄さんも同じくらい大好きですからね。

選べないのでお任せしますよ?


したいと言ったのはお義兄さんですからね?


私に火を付けた以上はもう決めて下さいね?


それでどうしますか?


そうですか。


そう言って貰えて嬉しいです。

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