インタビュー・ウィズ・華

陽月

ある夏の晴れた日

 これから記者カエルは、とある方の独占インタビューに向かいます。

 皆さま、乞うご期待。


Q:本日はよろしくお願いします。

  まずはお名前をうかがってもよろしいでしょうか

A:はなと申します。

  よくある名前ですが、名付け親がせめてもと草冠に化けるの「花」ではなく、中

  華の「華」という字にしてくれました。


Q:資料によりますと、変わった特技をお持ちだとか。

A:うーん、変わっているのでしょうか。

  飛んでいる虫を捕まえるのが得意なんですけど、そんなに変わってます?

  アブとか蜂とかトンボとか、飛んでいるところをえいやぁ、と。


Q:その特技で失敗したこともあるとか。

A:そうなんですよ、いつものように飛んでいる虫がいたので、いつもの調子で捕ま

  えたら、カメムシだったんです。

  捕まえた拍子に、くさい匂いをぶちまけられまして。

  あの時は本当に、臭くて臭くて、しばらく震えが止まりませんでした。


Q:それは大変でしたね。

  ちなみに、ご家族の反応はどうでした?

A:「カメムシなんか捕まえるからやで。あほやなぁ」とあきれられました。

  蜂の時も「刺されるで、やめとき」と何度も言われるのですが、どうにもやめら

  れません。


Q:では最後に、インタビューをご覧になる皆さまへメッセージなどございましたら

  よろしくお願いします。

A:カメムシは危険です。

  みなさまもどうか、ご注意ください。

  ところで、カエルさん、そろそろ我慢の限界なのですが、よろしいでしょうか。


言い終わる前に華の手は記者カエルへと伸びていた。

記者カエルは慌てて後ろへ飛び退き、間一髪事なきを得た。


Z:ふう、危ない。ここまで逃げれば大丈夫でしょう。鎖でつながれている相手でよ

  かったです。

  以上、柴犬の華さんへのインタビューでした。

  それでは私も、ひからびる前に池へと戻りたいと思います。

  本日は、ありがとうございました。

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