第52話 世間話
「優理香のお土産、さっそく頂くね。コーヒーでいいかな?」
キッチンから沙也に声をかけられました。自宅近くの新しく見つけたパティスリーのケーキを買ってきました。
「優理香にダッコされて、創太も嬉しいみたい。優理香のそういう姿もなかなか似合ってるよ。優理香って子供好きだっけ?」
お茶とケーキを運んできた沙也は愉快そうに私と創太を眺めました。
「え、ううん・・・?特に興味なかったけど・・・でも創太はいいね。どこで買えるの?」
「非売品だってば・・・優理香、赤ちゃん欲しくなったの?どうすればゲットできるか、お姉さんが教えてあげようか?」
沙也はからかうように言い、にやにやしました。
「沙也の赤ちゃん入手テクニック・・・?どんなすごい技なの?怪しいなぁ・・・」
「そんなわけないし。でも優理香もね、いい人との出会いはないの?まだそういう気にならない?」
少々微妙な話題になりつつありました。できるだけさりげなく逸らしたいところでした。
「うーん、だって、会社ではおじさんか結婚してる人ばかりだし・・・プライベートもね、そんなに出歩くわけじゃないし。」
極力軽い調子で告げました。早く話題を変えたい気持ちでいっぱいでした。
「そう言えば優理香、習い事もしたいって言ってなかった?もう始めてるの?そういうところで出会いがあるかもしれないよ。」
沙也は思い出したように言いました。こちらの話題の方が良さそうでした。
「ああ、うん、語学をまたやりたいんだけどね。ネットで調べているけど、どこで習ったものか、迷ってるんだよね。」
私も沙也も大学では英文学科にいました。お互い英語や外国に関することが好きなので、つねに共通の話題でした。
「いいな、英語、私もやりたいけど・・・今は全然時間も余裕もないなぁ。夜中の授乳もきついんだよね。わかってはいたけど、子育てってやっぱりしんどいね。」
沙也は赤ちゃんのいる生活について、あれこれと語り出しました。妊娠、出産時のエピソードや、夫婦だけの気楽だった生活がすっかり変わってしまったとの事でした。
沙也が須藤のことを覚えていて、その後について聞かれはしまいかと心配でしたが、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます