第51話 創太
「お茶いれるから、ちょっと抱っこしててくれる?」
沙也は
「だめ、怖いよ・・・泣くかも・・・」
思わず拒否しました。小さな赤ちゃんを抱くのが怖かったこともありますが、私のような者がこの子に触れたら、この子が汚れてしまうかもしれないと恐れました。
「首だけ支えてくれれば大丈夫だから。下に置くよりダッコされている方が泣かないから、ちょっと持ってて。」
沙也は気軽に、半ば強引に
・・・この子は汚れたりはしない。私が触れても、この子を汚すことなどできない。
そう気付きました。強く心を揺さぶられながら、私は彼にお願いをしました。
どうか、私を癒してください。汚れてしまった私のことを浄化してください。
私はすがるような気持ちになり、少し泣いてしまいました。馬鹿げていると思われるでしょうが、自分のしてきたいけないことを、消してもらえるような気がしたのです。そんなわけないというのに。
ですが
私は急いで涙に濡れた自分の顔をぬぐいました。沙也がそこから離れたキッチンにいたのは幸いでした。
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