第42話 おでんパーティー

「食事にしましょうか。おでんですけど・・・あと、鮭の炊き込みご飯もあります。」


 炊き込みご飯は友人が来る際によく作るメニューでした。ですが須藤のプレゼントに対して質素すぎたかと決まり悪く思いました。もっとご馳走的なものを準備すれば良かったと後悔しました。


「おでんは大好きだよ。ユリちゃんが作ってくれたの?楽しみだね。」


 須藤は屈託ない笑顔で言いました。私は弱火にかけていた鍋をリビングのテーブルへ運びました。


「車じゃなければ、ビールや他のお酒も用意しています。今日は電車でいらしたんですか?」


「そう聞いていたから抜かりはないよ。会社へ行くと言ってきたし、夕方になったら外で食事すると伝えればいいから、今日はゆっくりできそうだよ。」


 須藤はくつろいだ様子でテーブルの前に座りました。


「ビールと、日本酒もありますが何にしますか?真矢ちゃんの好きな焼酎もありますが。」


 今日のメニューはおでんだったので、和食に合いそうなイメージのお酒を用意していました。焼酎の銘柄はあまり知らないので、真矢ちゃんのお気に入りのものを買っていました。


「黒霧島もあるの?あとでお湯割りでもらおうかな・・・でもまずはビールを頂くよ。」


 私は冷蔵庫へビールを取りに行きました。自分には軽めのサワーを買っていました。私も自宅なので、少し飲みたい気分でした。


 まず私たちは乾杯をしました。鍋のふたを取ると、よく煮えたおでんのいい匂いがしました。須藤は嬉しそうに顔をほころばせました。誰かのためにお料理をするのは悪くないものだと思えたひとときでした。

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