第39話 須藤の日
三次会も誘われたのですが、翌日の土曜日は須藤の来る準備もあり、夜ふかしをすると辛くなるので断りました。真矢ちゃんはまだ飲みたそうにも見えましたが、私が帰ると伝えると彼女も帰ると言いました。須藤や何人かのおじさん達は、さらに行きつけのお店にでも向かったようでした。
翌日は少し寝坊しましたが、須藤は昼過ぎに自宅へ来ることになっていました。昼食のメニューはもう決めてあり、平日のうちに食材の買い物も済ませてありました。
その日はおでんを作りました。すでに寒い時期だったので自分が食べたかったのです。須藤は和食が好きでしたし、おでんならば鍋に好きな食材を入れれば良いので作るのも楽しめました。
日によって食材が変わることもありますが、この日はいろいろ投入しました。大きめの鍋に大根、人参、ねぎ、ごぼう、れんこん、豚ばら肉、ゆで卵、いか、こんにゃく、はんぺん、さつま揚げなどを入れました。食材によって後から入れるものもありました。
須藤がお昼過ぎに到着しました。またあれこれと荷物を持っていました。大きな紙袋や中ぐらいの袋、ケーキらしき箱の入った袋も持っていました。
「今日も会社に行っていたのですか?」
上着を脱いだ須藤はスーツを着ていました。男性のスーツ姿は格好よく見えるので嫌いではありませんでした。
「うん、午前中に少し仕事してきた。それから買い物もして・・・ユリちゃんにお土産だよ。」
須藤からいろいろな袋を差し出されました。
「見てもいいですか?」
私はケーキらしき箱を手に取ると中を覗き込みました。駅直結のデパート内にあるパティスリーのケーキでした。名前は知っていましたが、食べたことのないお店で嬉しく思いました。
「いつもありがとうございます。デザートに頂きますね。」
食後のスイーツにうきうきしながら冷蔵庫に入れておきました。
他にも大きな紙袋があったので開けてみると、以前試着したことのあるスーツでした。淡く綺麗な色の、須藤に勧められたものでした。
「この前のスーツ、本当に買ってきてくれたんですか。」
驚いて尋ねると須藤は満足そうな笑顔になりました。
「今日、あのお店に寄ったらまだあったから。サイズも知っているし。ユリちゃんは絶対にこっちの方がよく似合ってたよ。」
須藤はあの時もそう言いましたが、また強調しました。
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