第36話 二次会
二次会は大通近くのバーでした。私は居酒屋には行ったことがありましたが、バーと呼ばれる場所にはほとんどなじみがありませんでした。
そのバーは過去に連れられて行った、いわゆるスナックよりも、広くて解放感がありました。ダーツやビリヤード等の遊び場もあり、バーカウンターの向こうには沢山の外国のお酒が並べられていました。お客さんの年齢層もスナックよりは若い人向けでした。
広めのソファー席が空いていたので何人かはそこへ落ち着きました。注文を済ませると、ビリヤードやダーツで遊び始める方もいました。
「守屋さんってこういうお店に来るんですね。お洒落じゃないですか。昭和なスナックよりはこっちの方がいいですね。」
真矢ちゃんが守屋さんに声をかけました。私も同感でした。
「守屋君はこう見えて遊び人だし、夜のお店には詳しいみたいだからね。ムードのあるお店に連れて行かれるかもしれないから、女の子は気を付けた方がいいよ。」
からかうように言ったのは須藤でした。
「須藤部長に言われたくないです。自分はこういう所にひとりで来て、マスターとお話するぐらいだけど、須藤部長はおねえさん達のいるお店に詳しいですよね。遊び方を心得ている感じでしたよ。」
言い返しながらも、守屋さんは半ば須藤を尊敬するかのような口ぶりでした。私はちらりと須藤へ視線を向けました。須藤はやはり遊び人なのだろうと確信しました。夜の女性達がいるようなお店にも通い慣れているのかもしれないと想像しました。
「へぇ、須藤部長、さすがですね!夜の帝王なんですか?やりますね~!」
真矢ちゃんがまた冷やかしていました。冷やかしながらも、かつ持ち上げているような絶妙な言い回しだと秘かに感心しました。
「いや、昔の話だから・・・今は全然行ってないよ。仕事の接待も多いしね。誤解を招くといけないから、あまりそういうことを言わないように。」
須藤が取り繕うように答えていました。それとなく私の様子をうかがっているような視線を感じましたが、関心のないそぶりをしました。
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