第18話 異動
その週、法人営業部への異動日を迎えました。朝のミーティングで、須藤は私を部の人々へ紹介してくれました。すでに法人営業部には日々出入りし、須藤が昼食や飲み会の席で他の方々と交流させてくれていたので、それほど緊張せずに済みました。私は軽い自己紹介と短い挨拶をしました。
私の席は須藤のすぐそばにありました。須藤の机から直角に私の机が配置されていました。全体的には須藤のデスクの下に6名分の机が並べられ、私は第一営業と呼ばれるチームに組み込まれていました。
真矢ちゃんや前田さんの席は第二営業のチームに配置され、席が離れているのが残念でした。今後もしばらくは彼女たちのそばへ移動しながら仕事を教わるつもりでしたが、本来の自分の職務は営業であることを思い出さずにはいられませんでした。
私が席につくと、須藤は今後のスケジュールや、取引先の情報だとか、歓迎会をしてくれる等、あれこれと声をかけてきました。真矢ちゃん達も言っていましたが、実際須藤は随分と張り切っているように見えて気恥ずかしい思いをしました。
さらには打ち合わせとの事で、簡易応接へ連れ出されました。簡易応接は独立した応接室ではありませんが、パーテーションでスペースを区切っているので出入口以外では内側の様子が見えにくい場所でした。
どうぞ、座って、と言いながら須藤は奥の椅子を引いて座るように促しました。
「やっとユリちゃんが来てくれた。」
嬉しそうに言いながら、椅子に座った私の肩に手を置きました。その両手はゆっくりと私の二の腕へ滑り降りてきて、私は息が止まりました。いやらしい触り方でした。
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