浄土(つき)よ

望月よ、哀しいか

その身の照らす穢土のうえ

灰の降るよな家並みの

人の暮らしの灯りこそ

慈愛を隠せと照りつくを


半月よ、憂うのか

離れ疎らの家並みに

暮らしの灯りが輝けど

ほかと話せぬその距離に

独り静かに暮れゆくを


朔の月はもはや照らさず

人の絶えた山の辺に

鳴くは獣かさざめきが

昏き雲のなびくなか

そぞろに泪を流すなり



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

弓の歌 l'archet @larchet

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ