高校生の夏の話。

@GHQ

第1話

最近、未来について無性に不安になってくる。

時間が進むにつれ、仲が良い奴らと別れて、悲しい気分になるのではない?

今を楽しんでる分、別れる時はものすごく悲しいのではないか?

それなら、あまり楽しまない方が良いのではないか?それは透明で、掴めなくて、とても重く、押しつぶされそうな不安だった。


高校に入ってから1回目の夏休み、勉強、バイト、遊び…この貴重な約1ヶ月をどう過ごすかは人それぞれである…が俺は自身の学力を高める為に勉強はしていない。

俺は自分の為のお金を夏休みだからと言って、普段よりもバイトを入れて稼ぎまくる事もしてない。

俺は夏休みだからと言って、目が痛くなる程の青い思い出と吐き気を催す程の桃色の思い出も作ってるわけでもない


齢16歳、水崎 群青 は特に何もせず、家で怠惰を貪っていた。

(…暇だ)

別に友達がいる訳ではない、小学校からの付き合いの友人が2,3人いる、少ない?これで充分だ、友人多さ=+という事ではない、友人が多いと何かトラブルがあると必然的に巻き込まれる、これが嫌なのでこの人数で充分である。

「遊びに行こうか…」

友人を誘って何処か行こうかと迷うが、自身の虚しさからその提案を取り消す。

「体が動かない…」

そんな時に自分のスマホから着信音が流れる。

「おっす!群青!今暇か?」

「暇」

この元気そうな声をしてる奴は 枢木 颯

学校では帰宅部エースである。

「なら、俺ん家来るか?」

「誰か居んの?」

「春先と〜北路がいる」

「早く来ないとお前の分の茶菓子も食べてしまうぞ」

春先 相馬

堅物メガネ…と言われてるが俺はよく分からない…学校の部活では剣道部主将である。

「群青は戦力よ、何としても呼びなさい」

隣から聞こえてくる声の主は丸咲 水面

絵を書くことが好きなJKである。

今はコミケの作業をしているらしい。

「あぁ〜…気が向いたら行く」

怠け100%の声を発して返答する。

「そっか…お前居ると楽しいんだけどな…」

友人として嬉しい言葉を言ってくれる枢木に申し訳ない気分になってくる。

「ちょっと、私の前でイチャイチャしないでくれる?ネタ出されるとそっちの方描きたくなるじゃない」


感動が台無しじゃないか

「でも、群青が居ないとつまんないのは事実だろ?」

「同意ね」

「そうだな」

…しかし俺は本当に良い友人を持ったなと思う。

「枢木、お前確か積みゲーあったよな?」

「あるある」

「準備しとけ」

「あいよ!」


「その前に原稿手伝ってよ、今日は泊まり込みよ」

「そんな事する前にお前ら、夏の課題は終わったのか?」

「「うぐっ…」」

「はははっ!!」

「群青、お前は笑ってるがどうなんだ?」

「うげっ…」



訂正、自分の心の中にあった不安は透明でなく、色がついてて、とても軽く、簡単に押し上げられるものだった。

…ほんの少しだけ、未来は悲しい気分になっても良いかなと思った。

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