第11話 天使エニシエルとの戦い
「このウサギのぬいぐるみって見た目に寄らずタイマー機能で
狙撃時間も自由に決めれるんだ」
「あの銃撃の音のダイナミックさも再現されているクォリティーって
このぬいぐるみって実は凄かったんだな」
ガラの悪いウサギのぬいぐるみを手に取って関心している俺。
「このぬいぐるみはミリタリー愛好家のヒトたちも
こよなく愛しているソルジャー・ラビットシリーズなんだよ」
「アニメ化もして国内で密かに人気なんだ。
中でも主人公のラビが地平線に浮かぶ船から救命ボートで
脱出して銃口を空に向けて撃つシーンがお気に入りなの」
「……でもわたしはこの可愛いラビの顔に惚れて、
武器は二の次なんだけどね」
俺にはこの可愛さが余計に不気味に感じるんだが……
でもその殺伐としたギャップが売れている人気の1つかもしれないけど。
「さあ、さあ、ウサギさんたちを使ってわたしを誤魔化す時間も
終わりだよ。神様に誓って、わたしの体にいやらしいことを
しませんって契約書に一筆書いてよね」
「……分かったよ、奈緒。契約するからそこに置いてあるペンを
取って下さいお願いします」
あれから奈緒に変態のような扱いをされ、肩身が狭くなっていた俺。
俺は観念して奈緒に書くものを要求したその時だった。
バリィーーーン……
強い風が奈緒の部屋の窓ガラスを瞬時に駆け抜ける。
ガラスが粉々になり貫いた気流の塊がヒトの形状へと変わっていく。
「もうかくれんぼは終わりにしよう、レオエル。
僕も神の使いとしてきみ1人だけに関わっている時間はないんだ」
気がつくと疾風ごとく現れた翼を持った人間が奈緒に
容赦なく剣を突きつけていた。
こいつの名前は確か、エニシエルだったと思う。
特に白い肌が印象的でガブリエル様の片隅で信仰していつも崇めていたヤツだ。
悪魔との争いよりもヒトに愛を唱えることを主な任務していた天使だと
思ってけどいったい天界に何が起こっているって言うんだ?
「今からガブリエル様の命により、レオエルに神の裁きを与える。
さあ、永年の眠りに落ちて天に逆らったことを後悔するががいいっ!」
俺がかばう間もなく、エニシエルは奈緒に向かって剣を振り落とす。
「きゃあぁぁぁぁっーーーー やめてよ」
エニシエルの剣を奈緒は腕に刺さりながらも強引に振り払う。
奈緒に弾かれた剣はぐるぐると回って床に刺さり、
その代償に奈緒の腕からは大量の血がどぼどぼと流れていく。
「……まがい物の天使にもまだそんな力が残っていたとはな。
死ぬもの狂いの火事場の馬鹿力ってところか?」
「はぁ…はぁ…女の子の部屋に許可なく土足で踏みいるなんて酷いよ。
来るなら来るで窓ガラスを割らないでインターフォンを鳴らして
家の玄関から正々堂々と入って来てよ」
「たぶん、わたしは居留守を使ってあなたを追い返すと思うけど、ね」
そんな問題なのか? 奈緒が強がって虚勢を張っているしか俺には見えない。
「それは失礼なことをしたね。レオエル。
まさか人間の小さな子まで巻き込んでいるなんて、
きみはそのまで地に落ちたのかい?」
「その出血だと僕の手を下すまでもないかもしれないな」
奈緒の右腕から血がドクドクと流れて床にはもう血の池ができていた。
「……玲音くん、わたしを助けてよ……」
俺に向かってはいつくばりながらも、
目をうつろうつろさせて近づいて来る奈緒。
だが俺は奈緒の言葉に耳を傾けるわけにはいかない。
「強風って怖いな。明日またお父さんに相談して直して貰おうっと。
おやすみなさい。お父さんさん……」
奈緒の呼びかけを無視して、何事もなかったように電気を消して
布団の中に入って目を閉じる俺。
俺にもはっきりとエニシエルの姿が見えていたことは事実だ。
でも本来は天使の姿は天の加護に守られてヒトには
絶対に見えないはずなんだ。
それなのにヒトである俺にもエニシエルの姿が見ていたってことは
1つの武器になる可能性も大いに秘めているって意味に繋がるんだ。
だから俺はエニシエルを倒すためにも心を鬼して寝た振りを強行する。
「……ウソでしょ、玲音くん。あなたに変な扱いをしたから
怒っているだけだよね。
わたし、謝るからその、わたしのことを見捨てないでよぉーー」
布団ごしでも奈緒の鼓動を。そして流れ落ちていく血の温もりを感じる。
奈緒が俺の上にまたがって、きっと俺に救いを求めているのだろう。
奈緒の叫びの声を聞くのが心苦しくて、俺は布団の中で拳に
力を入れて我慢する。これはエニシエルの隙を狙うための作戦なんだ。
奈緒、お前を1人ばっかりに辛い思いをさせて本当にごめんな。
「レオエル、また血迷ったか? 人間に天使の姿が見えるわけないだろっ。
僕たちは天の加護をまとっているんだぞ」
「気が狂っても人間を導く存在の僕たちがそんな無様な真似をするなよ。
僕を余り失望させないでくれ」
ドンドン、ドンドン……ガチャリ……
「どうしたんだい奈緒。
奈緒の部屋から男の泣き叫ぶことが聞こえて来るんだが……」
「悪いけど奈緒、部屋の明かりを勝手につけさせて貰うよ」
奈緒のお父さんの声だ。この状況は実にやばい感じだ。
どうやら、奈緒のお父さんは奈緒のことを心配して
奈緒の部屋に駆けつけたみたい。
でもどうして奈緒のお父さんには奈緒の叫びの声が聞こえたんだ?
まさか、人間の愛の力は天使の力に近い存在だとでも言うのか?
「貴様、わたしの娘に何をしているんだっ!!」
「やめて、お父さん……」
「見ず知らずの男にお父さんって呼ばれたくないっ。
娘からその薄汚れた手を離せっーー!」
ドゴッッ……ボゴッ……
「……痛いよ、痛いよ、殴らないでよ。お父さん」
奈緒の家族での血みどろの戦いが始まっているようだ。
俺はそんな傷ついていく奈緒を助けに行くことすらできない。
親に殴られる恐怖は俺が1番知っているはずなのに……
「滑稽、滑稽、実に滑稽。
娘を守りたい一心の心がまさかレオエルの天の加護を打ち破って
レオエルのことが見えるいるとは恐れ入ったぞ人間よ」
「……苦しいよ、苦しいよ。お父さん。首を絞めないで……」
「……奈緒は……奈緒はもっと苦しかったはずだっ!」
「もはや、この僕がレオエルに天罰を下すまでもないか?
天使が人間ごときに殺されるってレオエルにお似合いの末路じゃないか?」
「さあ、人間よ、死に損ないのレオエルに神の鉄槌を思う存分に下すがいい」
エニシエルは完全に油断している。
奈緒に弾かれた剣も取りに行くことすら、エニシエルは忘れている。
これが絶対的力に守られたうぬぼれなんだ。エニシエルを叩くなら今しかない。
奈緒も命を張って戦っているんだ。今ここで俺が命をかけないでどうするんだ。
「奈緒の体よ。耐えてくれ。ターミネイト・ブースト、オンっ!」
……あいつを……エニシエルを殺すんだ。
殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ……
殺せ、殺せ、殺せ……俺をあざ笑う者は全て殺せ……
お前に言われたくたってやってやるっ! 俺の中に入る悪魔の告げる。
俺にならできる、俺しかできないんだ。
瞳の色が青に切り替わると同時に俺は床に刺さっていたエニシエルの剣に
飛びつき、そして剣を構える。
「人間よ、僕の剣が見えるのかい?」
……しまった、エニシエルに気づかれた。どうする俺。
このまま闇雲に突っ込んでも赤子のようにあしらわれるだけだぞ。
でも俺のことを甘く見ている節もある。
動くか? それとも適当におちゃらけて様子を見るか?
パン、パンパン、パン……
「……なんだ、うさぎのオモチャか? 僕をびっくりさせないでくれ」
うさぎのぬいぐるみの銃声が加勢して、俺を後押しする。
奈緒が面白半分でうさぎのぬいぐるみのタイマーを
セットしていたのだろうか?
エニシエルは完全にうさぎのぬいぐるみに気を許して油断している。
今が絶好の好機だ。
俺は剣をフェンシングのように握りエニシエルに突撃する。
「いっけーーーーっ!」
「何て、加速力だ。人間のレベルを越えているぞ……」
エニシエルも直ぐに俺の行動に気づくも身構える間を与えず
一気にエニシエルの体を剣で貫いた。エニシエルの血潮が俺の頬に飛び散る。
「はぁ……はぁ……分かっていたことだけど……
やっぱり天使にもヒトと同じように赤い何かが流れているんだな」
エニシエルの純白の翼が真っ赤に染まっていく。
俺はエニシエルの体を貫いた剣を一呼吸する間もなく引き抜く。
「ぐはぁ…なんで僕の姿がお前ごとき人間に見えていたんだ。
僕の天の加護の能力はレオエルを遙かに凌駕しているんだぞ」
「まさか……お前がレオエルだったのか?」
「違うな、わたしの名は愛川奈緒。
レオエルの下働きをしている雑用係の人間だ。
補足しておくがレオエルは俺よりももっと強いからな」
「ふざけるなよ、僕が人間ごときに負けるなんてありえるか?」
「どうだろうな? 世界は広いからな。
天使よりも強い女の子がいたっても不思議じゃないだろって……」
「おっと、ごめん、ごめん。忘れていた。
これかも使えそうだからお前が光になって消えていく前に
その鞘は回収させて貰うね。剣だけだと何かと不便だからね」
「消え行く僕にまだ恥をかかせるのか? 人間よ……」
主である天使が死ぬと神通力が維持できなくなり
遺品は天使と共に消滅してしまう。だから奈緒に再契約して貰えば
この剣と鞘は俺たちを救うこれからの武器になってくれるはずなんだ。
「……もう少しだけ頑張って、天使の意地と誇りを
わたしに見せて少しでも生きて下さい。天使エニシエル」
「不意打ちするような真似をして、ごめんね。
もし生まれ変わって再び出会えたのなら、今度は友になれるといいな」
また俺は奈緒の体の意識に引っ張られたのかもしれない。
「……人間ごときが僕を哀れむと言うのか……僕も地に落ちたもんだ」
消え行く天使に敬意を払い、俺はときぱきとエニシエルから鞘を奪い取る。
俺を思う慈悲な心なのか? エニシエルは何1つも抵抗はしなかった。
さすが誇り高き天使の端くれだ。
「……まだやっていたのか? 無益な親子ケンカを」
俺がベットから抜け出したことも気がつかずに奈緒のお父さんは
まだ容赦なく奈緒を殴っていた。俺は奈緒たち愛川親子に大声で叫ぶ。
「やめて、お父さん。玲音くんはわたしの初めて友達なの。
その玲音くんは通り魔に襲われたのをかばってくれたの?」
「玲音くんのお家は複雑な家庭で家に帰ることもできずに
悩んでいたから、わたしがかくまっていたの」
「その……玲音くんも男の子だから、そのわたしにいたずらしようと
していたかも知れないけどわたしはまだ汚されていないよ」
「だからもう玲音くんに暴力を振るうのはやめてあげてっ!」
言葉は置き換えて変わっているけど俺の過去を織り交ぜて
話しているから、奈緒のお父さんにはウソをついてないはずだ。
だから俺の言葉を信じて、お父さん……
「そこまで奈緒は玲音くんのことを…… 玲音くん、僕が間違っていたよ。
きみは奈緒のことを守ってくれたんだね。ありがとうな」
奈緒のお父さんの玲音(奈緒)を殴る手が止まった。
奈緒のお父さんは冷静さを取り戻してくれたようで、自分の着ている服を
脱いで止血するために玲音(奈緒)の腕に強く結んでいく。
良かったこれでもう一安心だ。
「玲音くん、これを受け取って……」
俺はエニシエルから奪ったの剣を鞘にしまい奈緒に向かって放り投げる。
剣は放物線を描いてそのまま奈緒の元に落ちていく。
「ちょっと危ないって。 この物騒な物はってっ、え!?
これってあの天使の武器じゃない」
「早く玲音くん、我が名はレオエル。ここに契約する者なりって叫んで……」
「そんな中二病みたいなセリフ、わたしが言えるわけないじゃない」
こんな時に限って奈緒は拳固なんだ。
ソルジャー・ラビットシリーズのことはあんなに熱く語っていたのに。
「もう時間がないんだ。あの天使が消える前に契約しないとダメなんだ。
頼むよ、奈緒」
「……もう仕方ないな。今回だけだからね。
我が名はレオエル。ここに契約する者なり」
奈緒が言葉を唱えると消えかけていた剣は再び黒光りして褐色が蘇ってくる。
「さっきから奈緒たちは何をしているんだ?」
奈緒のお父さんは玲音(奈緒)の応急処置をしている最中に俺に尋ねてくる。
よかった奈緒のお父さんには剣の存在が見えていないようだ。
「……これは魔法少女アルメニアの主人公のニアの契約シーンを
真似ているんだ。契約完了したら、死にかねていたニアが
全回復して立ち上がったから。そう、お祈り、お祈りだよ」
俺は好きだったアニメの設定をべらべらと奈緒のお父さんに熱演していた。
「そう言えば、そんなシーンあったかな?
父さんレオエルって言葉に聞き覚えがなかったから……
そうか? 玲音くんとかけて言葉を変えていたんだね」
「うん、そうだよ。エルって元々の意味は神って言う意味らしいからね」
「父さんまた勉強になったよ。さあ玲音くんもまた我慢してくれ」
奈緒のお父さんは玲音(奈緒)の腕に巻き付かれた服を硬く結んでいく。
「お父さんの目がさっき魔法少女の話題で輝いていたね。
お父さんってもしかしてアニメを見るヒトだったの?」
「玲音(奈緒)にお父さんってまだ言って欲しくないな」
「ごめんなさい、おじさん」
「僕はヒトが演じているドラマよりもアニメーションの方が好きかな?
最近は奈緒と一緒にアニメを見る時間が1番幸せなんだ」
「……そうだったんですか? お父さんじゃなくておじさん」
奈緒がビックリした顔で奈緒のお父さんを見ている。
こうして奈緒のお父さんの秘密は正真正銘の本物の奈緒にばれてしまったけど。
これは不可抗力で起こったことだから俺には責任はないのかな?
天使エニシエルは命乞いをすることもなく光になって消えていって
この事件に終止符が打たれるのだった。
その後は泣いて奈緒が嫌がるも、俺は無視してスマートフォンで
救急車を呼び、そのまま奈緒をまほらば総合病院へと連行する。
まほらば総合病院にたどり着くと奈緒が病院から脱走した真実を聞かせれた。
俺と奈緒そして奈緒のお父さんはお医者さんに頭を下げて平謝りする。
そして家に帰ると俺は緊張の糸が切れたのかのように
謎の筋肉痛に襲われてしまう。激しい痛みでしばらく動けなかった俺。
たぶんブーストを使用した副作用だと思う。
全身から血が噴き出さなかったのは俺のどこかで力を
セーブしていたのかもしれない。
玲音(奈緒)が入院している間に奈緒のお父さんは
篠染玲音のご両親と会うために色々と調べてくれた。
だが戸籍を調べていく内に俺は身寄りがないことが分かってきた。
俺に身寄りがないと分かった時点で、奈緒のお父さんは困った顔も
何一つしないで、何のメリットもないのに玲音(奈緒)を
養子として愛川の籍に入れてくれた。
もしかしたら、亡くした息子であるあゆむくんに思いを
照らし合わせているのかもしれない。
どうやら俺はこの時代には存在していないらしい……
俺はどんな時代に生まれていたのか知るよしもなかったのである。
「奈緒を元気にしているか?」
俺は毎日かかさず学校を終えると奈緒の病室にお見舞いに来ていた。
男のだった俺の肉体を心配しているのか?
それとも奈緒のことを思っているのか?
僕にはまだよく分からなかった。
「病院の中では玲音くんって言っているでしょ」
「ごめん、ごめん奈緒」
「また奈緒って言った」
「俺が悪かったって、奈緒じゃなくて玲音くん」
奈緒の病室で俺と奈緒の押し問答。いつもの俺たちの毎日の日課だ。
俺がお見舞いにいくと奈緒の回復スピードが早いのような気がする。
これが天使エニシエルの天の加護を打ち破った愛の力なのか?
それともお互いの体に引き合わせいるような変な感覚が
関係しているかもしれないけど今はどうでもいいことだ。
「今日はお前の大好きな甘屋さんの餡子たっぷり大福を買ってきたんだ。
これを食べて早く元気になってくれ」
俺は奈緒が寝ているベットのテーブルに餡子たっぷり大福を置く。
「ありがとう、玲音くんじゃなくて奈緒」
「俺たちの呼び名って難しいよな」
「それがお互いのとを思い合ってわたしは結構楽しいけどな」
「そうかもしれないな」
「奈緒は学校が好きかな? 楽しくやっている?」
奈緒は自分が学校でいじめに遭っていたことを忘れているのだろうか?
「…………」
今の学校のことを奈緒に素直に教えるわけにはいかない。
九条さんたちの行動はますますエスカレートしている。
本当のことを話すと傷つくのは俺じゃない、ここで寝ている奈緒なんだ。
「学校は凄く楽しいよ。
俺、体育の授業の徒競走で1番になってみんなから褒められたんだ」
その後でトイレの個室に閉じ込められ、空から水が降ってきてずぶ濡れになり
失禁したことになってまたクラスの笑いものになっていたって
言えるわけないな。
「凄いね、今の奈緒は……
わたし運動も勉強もまるきりでダメだったから」
「このまま入れ替っていた方がわたしって幸せなのかな?」
「それが奈緒が望むなら、それが1番かもしれないけど俺は元の体に戻りたい」
元の男の体に戻っても俺はまた奈緒と一緒に暮らしたい。
そして俺が奈緒をエスコートしていくんだ。
「またわたしのことを奈緒って……
そうだね、玲音くんが望んでいるのにわたしが諦めたらダメだよね。
一緒に頑張って2人がパッピーになる道を探そう」
「その願い承りました。王子様じゃなかったお姫様」
「ありがとう、玲音くんじゃなかった奈緒。名前って難しいね。えへへ」
男だった頃の俺が満面の笑みを浮かべて笑っている。
最初は気味が悪く、何だか自分を見るようで恥ずかしかった。
それも奈緒と過ごす時間が増えるとだんだんと気にも止めなくなっていった。
他人から友達そして家族と奈緒を見る目が変わっていたのが原因かもしれない。
俺たちはこの先どうなって行くのだろうか?
神のみが知っているって言うことなのか?
「俺たちの体が入れ替わっていることは2人だけの秘密にしょう。
今後、どんなヤツに襲われたとしてもこれは武器にもなるし
弱点にもなるうる諸刃の剣なんだ」
「……そうだよね、あの天使エニシエルだっけ?
奈緒に油断していたから勝てたんだよね、わたしたち」
「2人きりの時ぐらいは玲音くんでいいよ。
バレるリスクも上がるけど元の俺たちを否定し続けるようで
何だか嫌なんだ。元の体に戻る気持ちも放棄したくないしね」
「玲音くんは結構頑固者でわがままだね。でもその気持ちも分かるよ。
お互いの体が入れ替わったことで本質って言ったらいいのかな?
前の体のいいところが見えてくるんだよね」
「早く元の体に戻ってお父さんにありがとうって気持ちを伝えたいよ」
「……奈緒」
そして俺は奈緒の担当医に呼ばれ、奈緒が退院する日が決まる。
奈緒が家に戻ってくる日に合わせて愛川家主催による祝賀パーティーが
開かれるの予定だ。俺はその日を来るのをずっと楽しみにしていた。
元天使である俺は女の子に転生しました 原田たくや @red_rabbit_hoof
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