第十九話 女の子と男の子?
わたしの教室は旧校舎の二階で、そこからこっそり
「まあ、
って、お上品に言えちゃうほど、まるでクリスタルパズルみたいに、運動場の
……それでも、
「ねえ、何してるの?」
と、声をかけられた。
「何で、はだかんぼなの?」
と、さらに
それでもってびっくり。というのか、ギクッという表現がピッタリで、
「あっ、ええっとね、……プールなの」
わたしは女の子座りで、紺色の
「
と、この子の言う通りなの。
でも夏休みのプールの日は、ここで着替えて……ではなくて、
「教室にいたくないの……」
「いじめられたの?」
って、この子が訊いてくれたから、こくりと
そうなの。意地悪されるの。
……あらら? 今日まだ
「ううん、
今は『中休み』といって、ちょっと長い休み時間。この体育館で行われている自由研究の展示が今日までなの。見納めということもあって五人くらいかな? たぶん自分以外のお友達のとか、それぞれの展示を見ている。この子もだけど、どの子も初めて見る顔ばかりで、
聡子さんと仲直りできてないから、瑞希のこと
そう思うと、今にも泣きそうなの。
それでも、この子はにっこりして、
「可愛いね。瑞希ちゃんって名前なんだね」
「う、うん……」
「
「うん!」
お空は晴れ晴れとしている。それと同じように、わたしの心もすっきりした。とっても
あっ、でも、ちょっと待って。
今は女の子でも自分のことを「僕」って言う子もいて……って、それはアニメの世界の話で、わたしはまだ現実の世界で会ったことがないけど、
「君って、男の子なの?」
って、頭の中まとまらないまま訊いちゃった。
「そうだよ。僕、よく女の子と間違われるんだ」
「あっ、その……ごめんね」
「ううん、気にしないで。それよりも瑞希ちゃんが自由研究で作ったもの見たいなあ。僕のも見せてあげるよ。とってもかっこいいんだ」
この子はね、笑顔のままそう言ったの。何だか嬉しくなって、
「行こっ、見せてあげる」
と、わたしは大はしゃぎで、手を引っ張った。
「あっ、ちょっと瑞希ちゃん」
って、
それで手を
「どうしたの?」
と、
「はだかんぼのままだよ」
って、この子が言った。
ほんの少し
「いいの。今ね、大きな
「でも、見えないよ」
「うん、翼は見えないの。だからはだかんぼなの。瑞希ね、本当は天使さんなんだよ」
嬉しさいっぱいでそう言ったら、この子は目を丸くしちゃった。
するとね、それぞれの展示を見ている子みんな、こっちを向いて、ぷっと。それも「あははは」って、思いっ切り笑っちゃったの。
それでね、わたしも、
「えへへ………」
と『天使の
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