第十二話 じゃあ、どんなお話なの?
昨日がどんなに楽しくても……
夜が明けて、今日という日を
今日から、また学校。……できるなら、昨日に
その方が、安心できるから。
何が起きるか不安で仕方のない中、
でも、負けないの。
だから
「おはよう!」
と、ご
何種類もの
どの子も、ちょっとだけ
水の入った牛乳の
そこは、一番後ろの席。そこに……向かった。
そこがこの教室の、このクラスの、たった一つの居場所だった。
でも、
席が、前から三番目の女の子の
「やだ、パンツ丸見え」
「なあに、この子供パンツ。今時そんなの
クスクスとこだまする笑い声の中から、そう聞こえたの。
それでも立って、
その近くに、お
そして、その汚れた水の中に、上履きがあった。
……汚れた水。
体育の次が急に自習になって、その間の休み時間。教室に戻ると、ざわざわと、物音が
今は、体操服からお洋服へ……それが
でも、お洋服がない。
自分の席の、机の上。みんなと同じように置いていたはずなのに……。
それで机の中、ランドセルの中、
そしてバケツの中も見て、ロッカーを開けてまで探していたら、
「あらあら、お洋服なくなっちゃったの?」
と、声をかけられて
こくりと、
「困ったねえ、お洋服を探してあげたいけど、もうすぐ休み時間が終わっちゃうね。後で探してあげると言っても……その汚れた体操服じゃ、席にも着けないよねえ」
それは、ドッジボールではなくて、
それから、少し茶色の同じ感じのボブが印象的で、それに
「でも
と、決断も早いの。
……本当は、とてもいい子なんだ。
と、胸を
それでも、みずほさんは
「じゃあ、
「えっ?」
耳を疑った。でも、どんどん近づいてくるの。周りにいる他の子たちも。
それで、みんなが、
「ぬ~げ、ぬ~げ」って言うの。
その中でも何人かの男の子は、
「ヘラヘラしないで、さっさと脱げよ」
「ほらほら、早くしろよ」
って、
とっても怖くて、ううん、怖くても、
……泣いちゃダメ!
もう泣かないって決めたんだから。
勇気を持って、手をかけたの。……体操服の
でも、みずほさんは、
「ねえ、空気読めないの? 体操服だけじゃなくて全部よ、全部!」
と言って、お腹を
転がって、けほっ、けほ……と、
「わたしたちのクラスはね、どのクラスよりも
と、お腹を押さえて咳き込んでいる間も、みずほさんは話し続けていた。
さっきまでの微笑みの顔から……まるで
それでも現れないの。この左手の中から。
……実は、この
でも何で?
おかしいよ。みんながサターンに
すると、後ろから、
「……そんなこと、しなくていい」
と、か細い声だけど、しっかりした口調。
それで、みずほさんの前に立った。さらに、その女の子は続けるの。
「先生に言われたでしょ? 自習時間は『各自、国語の教科書の六十七ページから七十ページまでを
と、勇気のある子だった。その女の子の名前は『さとみ』といった。
「だったらどうする? 先生に言うつもり? ……わかってるよね? この学校の理事長の
さとみさんは、ゆっくり振り向いた。
今にも泣きそうな顔をして、
「……ごめんね」
と一言……そのまま、
「ふう……ふぐっ」
「なあに? わかんな~い」
「もっとハッキリ言ってね」
そう言われても、丸まったパンツが、お口に入っちゃって、
「いい格好ね、あなたはやっぱり子供パンツがお似合いね」
と、みずほさんが言うの。
「なあんだ、つまんねえ」
「本当に何もついてないんだなあ……」
と、男の子たちの声も聞こえるけど、広げられた
……でも、一人だけ泣いていた。
「何泣いてるの?」
「別にあなたじゃないんだから、泣くことないじゃない」
と、周りの子が言う中で、さとみさんが泣いていたの。
「それにしても、ほんと泣かないね、この子」
その声を聞いたのか、みずほさんは、
「
と、とても怒っていたけど、この子はニッコリ笑っていたの。
だって泣くよりも、笑っている方が、ずっといいに決まっているから。
この子……みずきちゃんは、第三話で
それはね、
泣きながら学校の帰り道を歩いた、あの第二話のエンディング……つまり、マジカルエンジェルになった日。サターンと戦うため、この教室にいるクラスのみんな、この旧校舎にいるみんなの笑顔を守るために、『もう絶対に泣かない』って決めたからなの。
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