第十一話 まだまだ早いよ。
場所が変わって、ここはお家。
今はもうお昼で、
「
「うん、大好き」
テーブル
オムレツは、わたしの大好物。
でも、給食のオムレツよりも、きっと高級レストランのオムレツよりも、わたしにとってママが料理したオムレツが一番なの。このオムレツはね、ママがお仕事へ行く前に、
……あっ、それから、
この間の登校日から、だいぶ日にちも
それでも、物思う秋にはまだ遠くて、
この窓の向こう側では、「これでもか」と言わんばかりに
それなのに、一足お先に
それでもって、わたしが、
(もしかして、好きな女の子がいるのかな?)
と、思えるような
何か、ヤキモキしちゃって……
その間にもまた、お兄ちゃんが溜息を吐いて、
「あ~あ、夏休みももうすぐ終わりか……」
と、
「はあ?」
と、思わず声に出ちゃったけど、
(な~んだ)
というちょっぴり残念な気持ち。
それとね、ほっとしたような気持ちが合体して、戦隊ものに出てくるスーパーロボットみたいなかっこいい気持ちになるのかと思っていたら、
それで、きっと面白い顔になっていると思いながらも、
「も、もうすぐだね」
「色々あったなあ。パンダのぬいぐるみを
という具合に、まだまだあるの。
とはいっても、本当のことだし、お兄ちゃんを困らせてばかりだった。
「あっ、それから……」
って、やだ。
天国のパパが聞いたら、
「こら、瑞希」
って、
それでも、
「瑞希と一緒にいて、本当に楽しかったよ」
「えっ?」
思いがけない言葉だった。
わたしはね、
「えへへ……」
と、
「瑞希と二人で映画館へ行ったの、初めてだったもんな」
って、さらにお兄ちゃんは
「映画館ではびっくりしたぞ」
「どうして?」
「瑞希が急に泣き出したから」
そうだったの。
この間の……八月六日の登校日だけではなくて、映画館でも泣いちゃったの。
「でもね、瑞希だけじゃないんだよ、周りの女の子みんな泣いちゃったんだから。だってね、今まで経験したことのない強さを持つサターンが、さとちゃんに乗り移って、みずきちゃんを
「そうだよな、マジカルエンジェルが大好きな女の子にとってはショックだったよな。人を傷つけずにサターンだけを
すくっと、わたしは立ち上がった。……
「じゃあ、お兄ちゃん受けてみて。『今あなたの心に希望のお花を
よし、完コピ。
でも、お兄ちゃんは、ぷっと笑いながら、
「そうそう、それ。……全然通じないんだもんな。それで手が出せなくなって、正義の魔法少女がサターンの攻撃を受けまくってたもんな」
「ううん、きっとね、みずきちゃんは負けてなかったの。どんなに傷ついても、さとちゃんを守ってたの。それで、みずきちゃんはね……」
ぐすっ。
ここで泣いちゃったの。
それはね、毎週日曜日のテレビシリーズなしでは語れない内容なので、まだまだお話が続いちゃうの。この次の……たぶん一話分で足りないと思うから、まるまる二話分、使ってしまうような感じなの。
ヒントは、さとちゃん。
ごめんね、よく考えたら……
どんな女の子なのか、まだ語っていなかった。
それにね、今日は、まだ八月二十四日。
この夏休みを思い出にするのには、まだまだ早いよ、お兄ちゃん。
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