第十話 今日は何の日?
「
「は~い」
そして、手を
今日もお兄ちゃんと一緒。
プールの日と
それでね、学校に着いたら、
「お早う!」
と、元気のいい先生たちに、体育館へ行くようにと言われた。
体育館に入ると、窓はみんなカーテンに
……それで、ちょっと
「お兄ちゃん、何が始まるの?」
「
う~ん、何が大丈夫なのかわからないけど、お兄ちゃんは
すると、急に明かりが消えて、真っ暗になって、
「やっぱり怖い~」
わたしはお兄ちゃんにひっついた。
「大丈夫。すぐ始まるから」
優しく、お兄ちゃんはわたしの頭を
真っ暗な体育館に、ほんのり明かりが
「なっ、怖くないだろ?」
「う、うん」
「じゃあ明日、
「うん!」
とっても
お兄ちゃんが初めて、わたしを
それもあるけど、たまらない
マジカルエンジェル・みずきは、戦隊ものの
主人公は、わたしと同じ『みずき』という名前の女の子。教室が旧校舎にある四年二組に入ってきた転校生で、大人しくて、いつも笑顔の優しそうな感じの子で。
それでね、いつもクラスのみんなにね、……いじめられているの。
そんな第二話のエンディング。みずきちゃんが
……えっ?
つまり、ステッキが空中に
声は、
だったら、今すぐ何とかしてほしい。
そう思って、みずきちゃんは言われた通り、たった一つのお願い事をした。
「……本当にいいの? 確かにあなたの命の時間は、少しだけなら
「それでもいいの」
――それで、みんなも一緒に笑顔になれるなら。心の声で深く、そう言っていた。
「じゃあ、叶えてあげる。準備はいい?」
「うん」
「これからもよろしくね、みずきちゃん」
その言葉を最後に、テレビ画面いっぱいに、白くて
……何も変わってない。
じゃあ、夢だったの? と、思ったみたいだけど、
クシュン! と、くしゃみが出ちゃって、
「やだ、何で
と、キョロキョロしながら言っていた。
それに左手にはしっかりと、あのマジカルステッキが
そのことについては、
この世界の魔法少女は、宿命があると。それは、また使命なのだと。
みずきちゃんの場合は、戦うこと。そして守ること。それは、人の心の
それとね、第三話からバラード調のエンディング曲に乗せて、みずきちゃんが日記を
それでね、昨日やっとね、くるくるとマジカルステッキを回せるようになったの。もうすぐなの。もうすぐ魔法少女に変身できそうなの。
お兄ちゃん、ありがとう……と、胸いっぱいでスクリーンを見ていたら、周りに様々な学年の児童たちがいるのを忘れて、それどころか、すぐそばにお兄ちゃんがいることも忘れて、その映画に夢中? になっていた。男の人の
「……瑞希」
と、声が聞こえて、
「大丈夫か?」
と、お兄ちゃんが、わたしの顔を見ていた。
「えっ?」
「お腹、痛いのか?」
「ううん、どうして?」
「泣いてるから……」
ほっぺたを
それで「ひくっ」と、悲しくなってきて、思い切り泣いちゃったの。
「えっ? ちょっと、瑞希」
お兄ちゃんの
「あらあら、瑞希さん、どうしたの?」
と、女の人の声も聞こえて……って、それも聞いたことのある声で、
「あ、先生、瑞希がこの映画を見たら泣き出しちゃって……」
その「先生」と
「瑞希さん、この映画を見て悲しかったのかな?」
と、少し目を細めて
「……わかんないの」
「まだ瑞希さんには難しかったかな? 第二次世界大戦といってね、昔、世界で戦争が起こったの。今日八月六日は、広島市という所に
わたしは、手で
「……わかんないの。でも、わかんないことが悲しいの」
そう言ったみたいなの。すると、
「お兄ちゃん?」
お兄ちゃんは、ぎゅっとわたしを
「お前は、本当に最高の妹だ!」
と言って、お兄ちゃん泣いちゃった。
それに、智美先生まで……どうなっちゃったの?
「瑞希さん、その気持ちを忘れないようにね」
「うん!」
と、返事したものの、智美先生のその言葉の意味は、まるでわかっていなかった。
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