読んでて「こりゃダメだわ」と思ったのはいつ頃振りか。
　嫌な予感しかしないのに、覚悟もある程度していたのに、それを遥かに超えた「嫌なこと」が発生するという、ストロングな形式のホラー。

　不穏、浸食、絶望感。どれを取っても良質でした。

　※ちなみに、こんなことを書いてはいますが、タイトルは偽りではありません。カワイイカワウソがいるカフェのお話です。

ネットやニュースの影響により、巷でブームを巻き起こしている動物「カワウソ」に夢中の女子大生4人。
本物を見に行きたいと考えていた矢先、大学の近所にカワウソカフェがオープンする。
愛くるしいカワウソたちと美人の店長にすっかり魅了され、常連となってゆく彼女たちだが、しだいにその日常に変化が訪れ始め……。

日常のベールが剥がれてゆくサスペンス感が見事に演出されています。
この作品を読み終わったとき、以前と同じ目では動物を見られなくなっているかも……？

※このレビューは「小説家になろう」様にも掲載されています。

人気のカワイイカワウソカフェ。

タグに「侵食」とありますが、まさにその通りです。
序盤は仲の良い女子大生たちの日常を描いた物語。
かわいいカワウソとの戯れやカフェの店長との楽しそうな会話。なんらホラーなことなどなく過ぎていきます。

ただ、刻々とそれは「侵食」していました。

得体の知れない不気味さがじわりじわりとくる怖さと、その正体を知ってしまった時の怖さ、ふたつのホラーが味わえます。

取り返しのつかないホラーをぜひ体験してみてください。

面白い作品になる可能性、余地を孕んでいる。

生き物はたしかに可愛い。
だけど……⁈

啓蒙もしてくれそうな予感がする。