第7話 再び見つけた目標
始業式の次の日。初日のため授業は行わず、自己紹介をしたり、ホームルームで学級役委員を決めたりした。俺は俊佑に推薦され委員長になってしまった。推薦をした俊佑を恨んだ。
そして十二時、給食の時間になる。この時間は前ほど楽しみではなくなっていた。三年生になってから初めて給食。三年生になっても班になって食べる形は変わっていなかったので、みんなで席をくっつける。俺と裕希菜、俊佑、蒼、そして一番後ろの席の宏人と席をつける。日直の「いただきます」の挨拶で食べ始める。美味しそうな魚フライにかじりついた時、裕希菜がため息をついた。裕希菜はまたあの時と同じ顔をしていた。何があったのか聞こうか迷ったが、聞きずらい雰囲気だった。その時、塾の先生に言われ心に決めた事があったことを思い出した。それは「聞きたいことがあったらすぐに聞きなさい。あとで聞いておけばよかったってならないように。」という言葉だ。塾の先生に言われてから、聞きたいことはすぐに聞こうと決めていた。
「裕希菜。なんかあった?元気ないじゃん」
俺には似合わない優しい声で聞いた。
「別れた。」
「ん?え?別れたの?」
「うん。まーーいいの。あれはまー練習みたいな?そんな感じ…もうなかったことにするから!」
そう笑って言ったが笑顔が消えるのは早かった。
「ちょっとー和亜樹ーーー前も言ったでしょーー?恋の悩みなんだからー!聞かないであげて‼︎」
「わりーーー」
蒼に怒られた。そんなことより裕希菜が彼氏と別れたと聞いて俺は心の中で
「よっしゃぁぁぁぁぁ」と叫んでいた。
また目標に向かって努力できる。そんな気分だった。
給食が終わり五時間目。再来月行われる文化祭と体育祭について話し合った。
三年生になってから初仕事。少し緊張したが、今までもこのような仕事をしてきたおかげなのか、スムーズに進めることができた。
三年四組は合唱をする事になった。明日から練習が始まる。
俺はみんなをまとめられれるだろうか・・・
いやまとめないと。
裕希菜に振り向いてもらうためにも・・・
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