2016年 3月

第5話 願い日記

 今日も俺は日記を書くが、いつもと少し違う。



 三月十九日(土曜日)今日は俺が、もし南高校に合格したら。という話を想像しながら書こうと思う。


 三月十一日、高校の合格発表の日・・・僕の番号は[4294]

 受験票が貼り出された。俺は左の方からゆっくり見ていく・・・[3721][3722][3723]違う・・・少し上を見たそこには、[4294]の数字があった。「あ・・・、あったーーー」口に出てしまった。近くにいた裕希菜の元へ駆け寄った。「裕希菜。あったよ・・・俺合格したわ。」視界がぼやける。

「まじで??やったじゃん!和亜樹!!」嬉しそうに言ってくれた。俺は、笑顔と涙が合わさったダサい顔をしていた。「裕希菜」小さな声で呼び止める。

「この後話したいことがあるんだ。一緒に帰らない?」

 裕希菜は最初、不思議そうな顔をしていたが、晴れた顔で元気いっぱいに返事をしてくれた。「うん!いいよ!」そして微笑んだ。

 そして、一緒に合格した仲間と写真をたくさん撮り、裕希菜と、自宅のある方に歩き始める。俺にはもう1つやらなければいけない事があった。告白だ。


 帰り道の途中にある大きな橋の真ん中。

「裕希菜」足を止める。

「んー?」

「俺、南高受かったら裕希菜に告る。落ちたら夢が叶うまで関わらない。って決めてこの1年間勉強頑張ってきた。裕希菜が応援してくれたから、一緒に頑張ったから、裕希菜のおかげで合格できた。1年間俺を支えてくれた裕希菜が好きだ。これからも俺を支えて欲しい。付き合ってくれないか?」耳が赤くなるのが分かった。足が震えた。恥ずかしくて下を向いた。

「うちも、和亜樹にめっちゃ支えてもらった。うちでいいなら、これからもよろしく?かな」裕希菜はニヤッとした。

 俺は泣き崩れた。

「ごめん、裕希菜。本当にありがとう。」泣きながら言った。後から聞いた話だが、通行人にめっちゃ見られたらしい。

 俺は、裕希菜の家まで送り、その後走って家に帰る。これから家で待ってるお母さん、お父さん、兄貴に報告をするのだ。どのくらい喜んでくれるのか、夜ご飯はご馳走か、考えただけで歩幅が大きくなった。こんなに幸せな気持ちになったのは初めてだろう。これからの高校生活と裕希菜とのこと、何もかもが楽しみだった。人生で初めて夢が叶った日。喜びと嬉しさと幸せさに満ちた俺はインターホンを押す。少し緊張した。さーてどんくらい喜んでくれるかなー

「ただいま!」

 俺は今までで一番自信に満ち溢れていた。


 本当にこの通りになるといいなーーーーーーーーー

 頑張ろう。これからも。3月19日の和亜樹 2時37分 ねむいなーー


 一ページめくって、がんばれ!和亜樹‼︎お前ならきっと出来る。やれる。そう書いた。俺はこの日記を書いている途中で決めた事がある。それは、


 合格したら裕希菜に告白する。


 不合格だったら夢を叶えるまで裕希菜と関わらない。


 というこの2つだ。「よっしゃ。」気合いを入れた。なんだかやる気に満ち溢れていた。しかし四時間も日記を書いていたから流石に疲れていた。勉強は明日からやろう。そう思いこの日は結局寝てしまった。





 中学二年生終了間際の三月。このころの勉強量は平日三時間、休日五時間がベースになっていた。







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