第48話 大きな幸せは
いよいよ僕らの結婚式当日が来た……!
朝から親戚やら親の相手をして、メイクをしたり着替えをしたりで大忙しだった。
「綺麗だよ……! 」
「ありがとう! 」
蔵子さんは、そう言ってエンジェルスマイルを見せてくれた。今までの笑顔の中で一番輝いていた!!!
僕は
この笑顔が見たかったのだ。
─コンコンコンコン
誰かが僕達の控え室のドアをノックする。
「
ホテルのスタッフさんが入って来た。
「入ってもらって下さい」
僕がそういうと
「やあ! どうだ? 緊張するだろう? 」
「まあね……」
実を言うと僕は緊張していた。
「蔵子さんに、お祝いをあげよう! 」
健一はそう言って、『神』と書かれた本を開いた。
すると、小豆沢
「兄さん……!」
蔵子さんはすごく驚いていた。
「あれからだいぶ反省したようだから今回だけ呼び寄せた。席も用意してあるし、みんなの記憶も一時的に戻してある。結婚式が終わったらカンガルーに戻すぞ」
智之さんは今はカンガルーをやってるのか。
「それから権太にもやろう! 」
そう言って、健一がまた本を開いた。すると、権蔵がスーツ、はこべさんは真っ赤なドレスを着ていた。
「
「ありがとう! 」
僕と蔵子さんは健一に深々と頭を下げた。
「それじゃあな」
健一は控え室から帰ろうとしていた。
「待て!健一……」
僕は健一を引き止めた。
「まさか御祝儀出さないつもりじゃないだろうな?」
「ぎくっ!」
健一が
「僕は神様だろうと御祝儀とるからな! 」
「ちょっと権太くん……ここまでしてもらったのに」
蔵子さんが僕の袖を引っ張る。
「チッわかっておる。受け付けに出せばいいんだろ!」
今完全に舌打ちしてたな。
健一は『神』と書いてある本を開きご祝儀袋を出した。
「今日は友として呼んだんだからな」
僕は微笑みながら言った。
「友か……いい響きだな。また結婚式でな」
健一も微笑んでいた。
「まさか本当に結婚するとはな。おめでとう!蔵子……橘さん」
智之さんは、笑っているが悲しそうだ。
恐らく蔵子さんと、今日この時間しか会えないのが寂しいのだろう。
「
権蔵も寂しそうな顔をしている。
「愛長様、はこべ様またお会いできて嬉しいです」
「わしも嬉しいぞ」
智之さんは権蔵と握手をしている。
「蔵子……いっぱい言いたいことがあったけど、一言しか言えないや。幸せになれよ」
そう言って、智之さんと権蔵達は式の会場に向かった。
僕達は神前式をなんとかこなした。
披露宴では、僕達が好きなバンドの音楽をBGMにした。
主賓は、今猿コンサルティングの社長とバルーンフラワー株式会社の社長が挨拶した。
友人からのスピーチは僕は
余興の時間になった。権蔵がマイクの前に案内された。
「
そうか。すっかり忘れていたが権蔵の言う通りにして、初恋の人と結婚したら大きな幸せを与えると言ってたな。結婚自体が大きな幸せだったのか……。
「わしは、はこべと一緒にいられてもう満足じゃ。もしワシがいなくなってもすぐ2人でお主らの子供に転生しようと思っておる。その時を楽しみにしてるのじゃ!」
つまり転生先を僕達の子供にするということか?
どうやら健一が権蔵が話している内容は知らない人には違うように聞こえるようにしてくれたらしい。
そして、権蔵は高砂を歌い始めた。
歌い終わると、権蔵はお辞儀を深々として席に戻った。
ケーキカット、クイズ、ブーケプルズ(ブーケトスの紐を引っ張る形)などをした。ちなみにブーケは如月さんが当たった。
いよいよ花嫁からの手紙の時間がやってきた。
「お父さんお母さん、今までありがとう……。いつも独りで抱えてあまり相談しなくてごめんなさい。私がアメリカに行きたいと言った時も何も言わずに応援してくれてありがとう。そして、そんな私を受け入れてくれてありがとう。あと他の人には見えないところで一生懸命に見守ってくれてありがとう。私たちが結婚できたのはこの会場にいらっしゃる皆さんのおかけです!」
蔵子さんは泣きながら読んでいる。
蔵子さんのお父さん(小豆沢)も泣いていた。
「わしの未練は雲母の花嫁姿を見ることじゃったんやのう。」
権蔵も泣いていた。
「そうですね。私も幸せな気分です」
はこべさんは柔和な表情をしている。
権蔵とはこべさんはスーと消えていった。
僕はその瞬間誰よりも泣いてしまった。
~その後~
☆会社の人たち
「彼氏と別れちゃった~」
「じゃあ私と一緒に婚活しない?」
「田中さん14歳下の男性と結婚して寿退社だって~羨ましい」
「食堂のおばちゃんも再婚するらしいよ」
2人はそう言うと悔しがっていた。
☆婚活で出会った人達
~ナンパ~
中井菜穂さんはバーが上手くいかず閉店。新しい事業を考えてるらしい。
~婚活アプリ!~
柿島まみさんは結婚し、今は妊娠中のようだ。
~合コン~
稲本香織さんは仕事の同僚と付き合ってるらしい。
榊原珊瑚さんはまだ合コンへちょくちょく行っているようだ。
~音楽コン~
伊東桃さんは婚活をお休みして今はライブに行きまくってるらしい。
~婚活パーティー~
麻生未恵さんは婚活するも見事に失敗して、相手に失礼なことを繰り返し、ブラックリストにのってるらしい。
柚木真奈さんはまだ婚活しているけどまだ相手はいないが、あの人ならすぐ見つかるだろう。
佐藤道枝さんは今は婚活で出会った人とお付き合いしている。結婚間近らしい。
~お見合い~
樫木沙羅さんは再度違う人とお見合いして見事成婚したらしい。
~結婚相談所!~
僕達が行った結婚相談所は大繁盛していて、『黒スーツ三田』としてテレビで取り上げられていた。
☆歌手
レドエンはさらに売れ、アメリカ進出をするようだ。
からきさんはテレビで取りあげられて、今度武道館でライブをするようだ。
☆学校の人たち
~縁と片岡さん~
縁と片岡さんは僕達の結婚式が終わったあと、話をしたらしい。
「あの時なんで別れたんだ?」
縁が片岡さんに真剣に、言った。
「蔵子と仲良かったから嫌だったのよ!」
片岡さんが泣いている。
「誤解させたのは悪かった。その時黙って別れずにそうやって言ってくれればよかったのに!」
「確かにそうね」
後日片岡さんが蔵子さんを呼び出した。
「なんかいろいろとごめん」
片岡さんが、蔵子さんに謝った。
「なにが? 」
蔵子さんは怒ってるのだろうか?
「知ってるでしょ?」
「私は何も知らないし、気にしてない。だから気にすることは無い……」
蔵子さんがニッコリと微笑んだ。
片岡さんは笑っている。
─プルルルルルル
片岡さんのスマホが鳴った。
「もしもし、パパ~?今から行くわ」
片岡さんが電話に出て、話している。
「お父さんか?」
蔵子さんが不思議そうに訊ねた。
「違うわよ! 真面目ね! 蔵子は! じゃあね」
そう言って、片岡さんはどこかへ行った。
「人間いきなりは変われないわよね」
聞こえるか聞こえないかの声で片岡さんは、一言だけ呟いていた。
ちなみに縁の奥さんは妊娠しているらしい。
縁は新婚で幸せそうだ。
~
小栗部長と聖川先輩は付き合い始めたようだ……。
「まさか小栗部長が告白してくるとはね」
聖川先輩が小栗部長に微笑む。
「まさかOKしてくれはるとは」
小栗部長も聖川先輩に微笑む
「結婚してください」
聖川先輩がダイヤの指輪を出してプロポーズした。
「ほんまに? 嬉しい」
小栗部長は感動して泣いていた。
~田中~
田中はあれからボランティアを頑張り市長から賞を貰ったようだ。僕と権蔵のおかげだな
~
青柳くんは相変わらず事業が順調でハーレムを楽しんでるらしい。
「1人を愛するのもいいけど、しばらくは、ハーレムがいいな」
青柳くんはそう言って、笑っている。
天沢智は青柳くんの口添えで青柳の会社で働いている。青柳くんは太っ腹だな。
「やっとやり直せそうだ」
智はそう言って、仕事に励む。
~小清水健一~
一旦転魂部屋に帰って、仕事をしてきたようだ
それからは、まだ下界で恋愛小説やラノベを読んでバカンスを楽しんでいるようだ。
~不知火駿一~
不知火と僕はちょくちょくいつもの飲み屋に飲みに行っている。
「おまえには勿体ない奥さんだよ!別れろ」
不知火がビールを飲みながら言った。
「いいだろ~!誰が別れるか!」
僕もビールを飲みながら言った。
深夜12時になったら蔵子さんが迎えに来た。
「権太くん! 帰るよ」
蔵子さんは僕の手を引っ張った。
「奥さん登場か! 蔵子さん~こんな男とは離婚して僕と一緒になりましょうよ」
「旦那の前でよく言えたな! 」
僕と不知火は睨み合う。
「2人とも飲みすぎだ!」
蔵子さんが一喝した。
~西園寺千夜~
相変わらず、石碑の前の小屋に住んでいる。
「私は死ぬまでここにいます」
~
霊媒師としてテレビに出演してから今は大忙しらしい。
~
薬研先生は相変わらず蔵子さんの専属探偵·弁護士をしている。僕達のことを影から見守ってくれている。
☆ 今猿コンサルティング
~
前の奥さんとやり直して再婚するらしい
~
今猿コンサルティングがさらに発展し、今猿誠さんは出世したらしい。
「誠~ライブのチケット取ったけど行かない?」
如月さんが元気よく言った。
「ああ、行くよ」
今猿さんは微笑んで言った
ふたりはまだ友達以上恋人未満の関係らしい。
そのうち恋人になる日も近いだろう。
☆主要人物たち
~
橘家で光さんは同居している。
うちの両親との関係も良好らしい。
「光さん今日はこの辺にしようか?」
「そうだね。力くん」
2人仲良く田んぼを耕している。
~
半年間の不妊治療のかいがあり、みなみさんも妊娠したようだ。
「みなみ!やったな」
高梨先輩は泣いていた。
「頑張ってね!パパ」
みなみさんも泣いている。
~
桂と桃井(旧姓)さんのところは子供が生まれたようだ!
「パパでちゅよ~」
「見て下さい!今この子笑いましたよ!可愛いです!」
2人ともすっかり親バカになっている。
~4年後~
そして僕達はというと、2人の子供に恵まれた。男女の双子だった。今は3歲になる。男の名前は権蔵、女の子の名前は、はこべにした。
テレビで侍を見て気に入ったのか、権蔵は『~じゃ』が口々になっている 。
休みの日の昼間に桂と高梨先輩と飲みに行った。
「あの時権蔵が異世界人というのは驚いたな」
「何言ってるんすか?橘先輩」
桂が不思議そうに言った。
「初恋の人を探してって権蔵に言われて一緒に婚活したじゃないか? 僕の今の奥さんがそうだろ? 」
「橘……奥さんとは社内恋愛だろ? 小説でも書いてみたらどうだ?」
高梨先輩は笑っている。
権蔵のことは僕と蔵子さん以外は記憶から消えていたようだ。
蔵子さんと権蔵とはこべが迎えに来た。
「ちょっとすみません! 」
帰ろうとしたら後ろから女性に話しかけられた。
「私、小説家をしている中谷かなと言います!お話を聞かせてもらったのですが小説にさせてもらいませんか? 」
この人盗み聞きしてたな! まあ僕は責めれないけど。
「いきなり……そんな困ります」
僕は狼狽えた。
「そこをなんとか! あなた達のような一途な恋愛を描きたいんですよ~」
中谷かなさんは粘った。
すると、権蔵が何やら持って中谷かなさんに渡した。
「パパの……日記……あげる…じゃ」
どこから持ってきたんだ! カバンに入れておいたのに!
「蔵子さん。僕らのお話を小説にしてもいいですかね? 」
「私は構わない」
もうしょうがないなあ。
「どうぞ小説にしていいですよ」
僕がそういうと中谷かなさんは喜んだ。
「やったあ! ありがとうございます! 」
「本になるの楽しみにしてます」
僕はそう言って、帰って行った。
~1年後~
「『取り憑き婚活~すれ違い系ラブコメ!~』が本になったんだな!読んでみよう!
僕は本屋で買って読んでみた。
『????『初恋の人を探してくれ』
この言葉が僕の運命を変えることになった……』
おわり!
ああ、最強守護霊と彼女を奪還したいんだが かなかな @kanakanaranobe
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