第4話

 それからというもの、彫像の進捗具合を観察することが毎週月曜日のささやかな楽しみになっていた。

 彫像を見つけてから二ヶ月が経ち、そんな日々も突然の終わりを迎える。首から下が完成したのだろうか、ついに頭部に手が加えられたのだ。

 もはや頭部は立方体ではなくなり、卵型になっていた。まだ手を付け始めたばかりだろうが、それが人の頭部だとわかる程度には彫り込まれていた。


 さらに数週間をかけて輪郭がはっきりしていき、顔にも凹凸が出始めた。週が経つごとに彫りが深くなる。

 そうして私たちに馴染みある形へと落ち着いていき、周りの彫像たちに溶け込んでいく。

 彫像からかつての個性が失われるにつれて、私の関心も急速に失われていった。

 非現実的で特異な造形にこそ強く惹かれていたのか、段々と普通になっていく彫像に、喪失感にも似た失望を抱いた。

 それからの数週間は彫像を目で追うこともなく、月曜日の三限目は睡魔と闘うだけの退屈な時間に戻る。

 作者がどんな人なのか気になっていたが、とうとう見かけることはなかった。


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