第2話

 一週間後。あの彫像はまだ同じ場所にあった。今日も作者は欠席のようだ。

 頭部に変化はなかったが、首から下には進展があったようで、先週より全体的にほっそりしている。その分、胸の肉付きは強調され、臀部のラインにもメリハリが出た。

 やはり、あれで完成というわけではないらしい。

 改めてまじまじと眺め入る。それにしても艶めかしいものだ。

 手で掴めば程よい弾力を指に感じられそうな、そんな柔らかな肉感に満ちている。とても固い石で出来ているとは思えない。

 見蕩れている内にチャイムが鳴り、今週もあっという間に授業が終わった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る