補遺(その五)

 ジマーの無人攻撃機をフロッグ(FROG)と呼称するのは、一九八〇年当時につけられたNATO軍のコードネームに基づく。さらには一九六〇年代に西ドイツで製作されたSFテレビドラマに登場する異星人の宇宙船に外形が似ていたことから、この異星人集団の呼称Frogsに由来するという説がある。一九八〇年から世界各地を襲いはじめたフロッグは第一世代として整理されているが、現在でも基本的な構成・構造は変わっていない。組み立て工程がほとんど不要な一体形成、ロータリー式ジェットエンジン、弾性爆弾と同じ超弾性炭素素材を用いたゼンマイ動力などである。メーザー砲および砲塔型レーザー砲四門を持つが、いずれも短距離射程である。フロッグ自体、航空機というよりは使い捨ての巡航ミサイルとして意図されていたことは間違いなく、「不運にも空中戦に引き込まれて」しまうと真価を発揮できない。それでも、弾性爆弾を搭載せず制空に特化した型式ヴァリアントは、当時の最新鋭の戦闘機を空中戦でも圧倒した。本来、中学生の操縦する練習機などが勝てる相手ではない。

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