第8話

「…寝れなかった。」







保健室で夜を過ごした。

ずっと起きてた。


何しろ、いきなりこんな状況に置かれてしまったのだから。

眠れるわけがない。

こんな知らない土地、世界、時代。


平成ではあまり楽しいとは言い難い学校生活だったけど私にだって家族はいる。

我が家には戻りたくなるものだ。

今更ながら帰りたくなってきた。





もう、会えないのかな。






ガラッ((

?「おはよう、弥生さん。

私はくのいち教室の先生、山本シナです。

よろしくね。」






泣きそうになった所で突然開いた障子。

開けたのは、とてつもなく色白の美人な若い先生。


あまりの綺麗さに思わず言葉が詰まった。





「よっ…

よろしくお願いします…っ。」



シナ「いきなりだけど、貴方は14歳だったわよね?だから学園長が5年生の服装に着替えるようにって。」




そう微笑みながら昨日の尾浜と同じ衣装をヒラヒラとさせる。

これに着替えるのか。…でも、






「わかりました。







…着替え方教えてください。」





前代未聞だろう。

着替え方を教えて欲しいというのは。


自分でもわかるぐらい顔に熱がこもっていく。

シナ先生は目を丸くさせて、やがてクスリと笑った。





シナ「分かったわ。笑

ではまずこの羽織だけど…、」





・・・


やっと着替えれた。

頭巾は、私は忍じゃないから、と断った。


それにしても、この生地、薄い。

さすが室町と言おうか。一見、綺麗に染った藍色だけどよく見ると染めきっていないところがある。


…すごい手作りだ。


私が装束に感動しているとシナ先生が言った。




シナ「では学園案内するわね。」



「は、はい。」






ここの世界に来て初めて外を出る。

少しばかり私は緊張していた。




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いつか笑って言えるように @otyazuketabemasuka

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