第53話 神々へ

  真夜中、石碑の前におれは立っていた。ランプで照らすも、暗闇にはまっさらな石面が浮かぶだけだった。

 おれは縋りつくように、石碑に近づき、石面を手のひらで撫でる。


 パルミニアに留まり迷宮の踏破を目指すべきか。


 ジルダリアに帰り、叔父と対峙すべきか。


 誰が味方で、敵はどこに潜んでいる?


 どんな神でもいい、おれのことを少しでも気に留めてくれるのなら、行く道を示してくれ。


 いったいおれが、どこへ向かおうとしているのかを……。

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