風の吹く鳥居

コンノ

第1話 屋上

 ――碧。

 ふと誰かに呼ばれた気がして、踏み出しかけた足を止めた。

(人がせっかく死のうと思ってた時に…)

まわりをぐるりと見渡すが、沈みかけている夕日が見えるだけで、殺風景なビルの屋上には人影なんて見当たらない。

「気のせい、か…」

きっと柄にもなく浮かれているのだろう、やっとこの世界から、消えることが出来るのだと。

僕は今日、死ぬんだ

フェンスの向こう側、目を閉じて他人事のように考えていた刹那、強い風が吹き、夕日の光と共に碧の身体を攫っていった。

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風の吹く鳥居 コンノ @konn_09

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