ダンジョ二ング、というスポーツがある設定のダンジョンもの。異世界だとか、ダンジョンだとか、となるとある程度その方面の知識がなければとっつきにくいけれど、このお話はそういった知識を持たないものでも気軽に読め、そして読み進められる。短編という制約の中で、話が綺麗にまとまっているのも良い点。
ダンジョン。秘宝を宿し、財宝を守り、危険を孕み、踏破の暁には名誉を与えられる構造物。それは誰もが欲する魅力を有している。けれども。踏破され、秘宝や財宝は持ち去られ、危険のみが残るダンジョンに挑む者がいる。その行為に見返りは無く、その行為に付きまとうのはリスクのみ。それでもその者たちは歩みを止めることはない。彼らを動かすのは純粋な未知への憧憬であった。危険に挑むダンジョニストの生きざまは、現代社会が忘れているものを僕らに見せてくれるのかもしれません。