vs ストレプトカーパス(戦闘者:ヴァイス&ヴァイスリッター・アイン)

『シュシュ、他に反応は無いかしら?』

 ホワイトネクサスを撃墜したヴァイスは、次なる敵を探していた。

『地上……ッ、姉様! 回避を!』

 シュシュの指示を聞いたヴァイスは、素早く機体を捻る。

 次の瞬間、すぐ脇をHEAT成形炸薬弾ロケットが通り抜けた。

『あら、まだアプローチを仕掛けるお方がいらっしゃるとはね。ロケット弾6発とは、随分と豪勢なプレゼントね』

『お姉様、発射源はあの真紅の機体かと思われます』

 ヴァイスの軽口が終わるのを待って、シュシュが情報を追加する。

『そうみたいね。あら、打ち止めのプレゼントはもう捨てるのね』

『どうなさいますか、お姉様?』

『決まっているじゃない……っと、私が出向くまでもなさそうね』

 言葉通り、真紅の機体が上昇し始める。

 ヴァイスリッター・アインの前に出ると、剣を構えて名乗り始めた。


『その機体、私に間近で見せてもらおう』


『あら、どういう訳かまた貴方かしら、ドクター・ノイベルト?』

『そうだ。先程倒したのは分身に過ぎん、ヴァイスシルト殿下』

『となると……。また、決闘かしら?』

『そういう事だ。挑ませていただく』

 ノイベルトの宣誓が終わる。

 と同時に、アナウンスが響いた。

「ただいま、J陣営の“ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・アイン”と、❤陣営の“ストレプトカーパス並びにドクター・ノイベルト”との決闘が成立いたしました。繰り返します。ただいま、J陣営の“ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・アイン”と、❤陣営の“ストレプトカーパス並びにドクター・ノイベルト”との決闘が成立いたしました。これよりカウントダウンを開始いたします。5, 4, 3...」

 二人は言葉を交わさない。

 だが、2機は互いに剣先を敵へ向けた。

「2, 1, 0! 決闘開始!」

『覚悟!』

 ヴァイスリッター・アインの剣先から放たれる光条レーザーが、優美な外見の機体を呑み込まんと迫る。



『フッ』

 しかしストレプトカーパスもまた、剣先から光条レーザーを放っていた。

(!?)

 驚愕するヴァイス。

 だが、炸裂した光によって意識を取り戻した。

『ふむ、相殺する結果となったか。ならば!』

 ストレプトカーパスの剣先から、再び光条レーザーが連射される。

『その程度の速度で!』

 対するヴァイスリッター・アインもまた、光条レーザーを連射した。

(くっ、この剣の連射速度では勝てないか……!)

 射撃戦では不利と判断したノイベルトは、射撃を中止して盾を正面に構えながら接近する。

『いい心がけですわね、ドクター・ノイベルト!』

 対するヴァイスもまた、剣を構えて迎え撃つ。

『はぁあっ!』

『せいっ!』

 響く金属音。

 初撃は互いの機体を捉えず、打ち合うのみに終わった。

『お姉様、反転して射撃を!』

『もちろんよ、シュシュ!』

 ヴァイスリッター・アインが素早く振り返り、剣先から光条レーザーを発射する。

 ストレプトカーパスも迫る性能ではあったが、一瞬遅れてしまった。

『遅いですわね』

『ぐぅっ!』

 その一瞬を突かれ、腰部ブースターの内1基を破壊される。

「クソッ、私の機体を……。だが、まだ飛べる。ここは高度を落とすか……!」

 ノイベルトの判断は素早く、一気に高度を落とす。

『お姉様、追撃を!』

『大丈夫、既にやっているわ!』

 ヴァイスも高度を落としつつ、剣先から光条レーザーを連射する。

『おっと!』

 だが、ただで食らう程ノイベルトも甘くはない。霊力を纏わせた盾で光条レーザーを防御すると、生き残ったブースターで姿勢を制御し、ストレプトカーパスを直立させた。

『さあ、地上戦と行こうではないかヴァイスシルト殿下!』

『受けて立ちましょう、ドクター・ノイベルト』

 ヴァイスリッター・アインが剣を構え、ホバー移動で急速接近する。

 対するストレプトカーパスもまた、踵の車輪で急速接近した。

『はああっ!』

『まだまだっ!』

 再び、金属音が響く。


 と、ヴァイスリッター・アインの腰部装甲の欠片が飛び散った。


『!?』

 驚愕するヴァイス。

 無理もない。障壁を十全に展開していたのに、障壁を突破されてしまったのだ。

『ふん、私の霊力でも突破出来るとはな。流石は私が改造した機体、ストレプトカーパスだ』

『まさか……!』

 そう。

 ヴァイスはストレプトカーパスの性能を、見誤っていたのだ。しかし無理もない、一度は撃破したノイベルトだ。

 その心の隙を、突かれてしまった。

『お姉様!』

 と、シュシュからの声が飛ぶ。

『大丈夫よ、シュシュ。引き続き、モニターをお願いね(となると、小細工を用いる他無いわね……)』

 ヴァイスは準備を整えると、機体のホバー移動を中止させて地面を走らせる。

『はぁあっ!』

 上段から、一気に氷剣を振り下ろす。

『無駄だ!』

 ストレプトカーパスも盾で防御する。


 と、次の瞬間――ヴァイスリッター・アインの


『ぬううっ!?』

 突如飛んできた破片にうろたえるノイベルト。

 機体にとって致命傷には至らないものの、細かな破片が肩関節に刺さり、動きを封じた。

「クソッ、左腕が効かん……!」

 片腕を封じられたストレプトカーパスは、思うようにバランスが取れない。

「ぐっ……!」

 ヴァイスの徒手空拳による格闘を強引に逸らすも、膝がカクついた。

『そこですわ!』

 再び、ヴァイスリッター・アインの蹴りが迫る。

「ぐわぁあああッ!」

 まともに胴体に受けたストレプトカーパスは、仰向けに転倒した。

『ドクター・ノイベルト。その機体、立派な性能でしたわ』

 魔力で氷剣を元通りにしたヴァイスは、大上段から振り下ろす。

『感謝しよう、ヴァイスシルト殿下(認めざるを得んな。負け、か――)』

 ドクター・ノイベルトの言葉が響いた途端、氷剣がコクピットを貫通した。

「決闘終了。勝者、“ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・アイン”。繰り返します。勝者、“ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・アイン”。これにより、J陣営に1のアグニカポイントが付与されました」

 決闘終了のアナウンスが、空しく響いた。

『この剣……貴方の墓標と、いたしましょう』

 ヴァイスは刺さった剣を抜き取らずに放置すると、新たな剣を生成しながら機体を上昇させた。



作者からの追伸


 はい、改良型の化け物2機目を撃墜いたしました。


 今回は寸劇がありますので、簡潔に発表いたします。

 南木様の依頼により執筆させていただいた、新エピソードを追加いたしました。リンクは以下にございます。


(タイトル:預入請負)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886778164/episodes/1177354054887299623


 では、私こと有原はこれにて失礼します!

 今回は寸劇主体です!


(少々過激な寸劇2、開始)

---


ブレイバ

「はぁっ、はぁっ、はぁ……」


ブランシュ

「どうにか隠れられましたわね……」


ブレイバ

「ええ。けど、そんなに長くはないだろうね。姫様」


ブランシュ

「騎士様……」


ブレイバ

「まあ僕達にも非はあるけれど、姫様の叔母様には一度落ち着いてもらいたいね。君にも(とはいえ、帝国全土のララ様ファン垂涎の等身大抱き枕を5つ抱えてる時点で、落ち着いてもらうも何も無いんだけどね)」


ブランシュ

「えっ、騎士様……?」


ブレイバ

「僕の尻尾を撫でなよ、姫様」


ブランシュ

「では、遠慮なく……」


ブレイバ

「うひゃぁっ!」


ブランシュ

「!?」


ブレイバ

「いや、大丈夫。大丈夫だから、続けて。姫様」


---


仮面の男(有原)

「さて、ララ様は今頃リゲルの城で二人を捜しまわっているが」


黒騎士(有原)

「果たして見つかるのだろうか? それはさておき、ハーゲン少尉が結婚するとしたら誰になるのだろうな?」


仮面の男(有原)

「今回はネーゼ様は除外するぞ(私こと有原の世界では、結婚するのは大前提だからな。もっとも、原作者である暗黒星雲様の世界では有り得ない話ではある。妄想はいくらでも作れるが、今回は暗黒星雲様の世界に従うから、除外させていただいた)」


黒騎士(有原)

「となると……候補としては、マユ様かララ様か?」


仮面の男(有原)

「根拠は?」


黒騎士(有原)

「マユ様の場合なら、『赴任地が同じ』というものだな」


仮面の男(有原)

「だが、皇帝陛下(アーレン帝)直々にストップをかけられたからな。それに次期教皇というお立場だ。恐らくあり得ないだろう」


黒騎士(有原)

「となると、ララ様か」


仮面の男(有原)

「根拠は?」


黒騎士(有原)

「ハーゲンの毛皮(主に尻尾)を好まれているからな。立場としても、親衛隊長というものだ。皇女殿下ではあるのだが、まあギリギリと言った所か?」


仮面の男(有原)

「まあこれはあくまで妄想だ。結果を知りたくはあるが、それは私からはねだらないものとしよう」


黒騎士(有原)

「だな」


ララ

「うるさいぞ貴様ら!」(魔術で強制的に会話を聞かされている)


黒騎士(有原)

「逃げるか」


仮面の男(有原)

「そうだな……!」


---


ブランシュ

「ああ、騎士様のもふもふ……❤」


ブレイバ

「姫様、僕も」(もみもみ)


ブランシュ

「あら、どうされたのです騎士様? わたくしの胸ではありませんわよ?」


ブレイバ

「えっ? ……えっ!?」


ブランシュ

「あら、ララ叔母様(成長後。バスト108cm)の体形をコピーした抱き枕ですわね。どうしてこんなものが?」


ブレイバ

「大方、ドクターが作ったんじゃないかな、姫様」


ブランシュ

「こちらの叔母様は、凛々しくていらっしゃいますわ。あぁ……」


ブレイバ

「おっと、足音が。姫様、後でロリコンである事の“お仕置き”、するからね」


ブランシュ

「あはっ、騎士様……。では、続きはリナリア・シュヴァルツリッターにていたしましょうか」(ブレイバと、抱き枕5+1つと共にテレポート)


---

(少々過激な寸劇2、終了)


 現場からは以上です。

 おや?


リナリア・バーンスタイン

「どうやら、私の出番でもあるらしいな。済まないブレイバにブランシュ、今のマスター(ララ)はおかんむりだ。手に負えんぞ……!」


 やれやれ。

 アルマ帝国で化け物改造リナリア同士が、しかも片方はリナリア・バーンスタインとなると、滅茶苦茶な事になりそうですね。


 しかしまあ、このバカップル(ブレイバ&ブランシュ)は、揃って絶倫&変態だった……。

 あ、誤解の無いように言っておきますと、ブランシュ殿下のララ様好きは「かわいいものが好き」というものです。年頃の少女(18歳)故ですね。

 決して「女なのにロリコン」ではありませんよ。

 え、それじゃあ成長後のララ様の抱き枕はどうなるんだ、って?

 ブランシュ殿下は、「幼いララ様も凛々しいララ様も好き」なだけでございます。お察しくださいませ。


 では今度こそ、今回はここまで!

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