武器回収

 ストレプトカーパスを撃墜したヴァイスは、装備拡充の為に一度拠点へと戻る。

「さて、“ストライカー改”は……あったわ」

 ヴァイスリッター・アインの格納スペースに眠っているサブマシンガン――と言っても外見上の問題で、実際は“砲”と呼んで差し支えないシロモノなのだが――を回収する。

『お姉様、失礼いたします。もしや、お姉様は……』

『ええ。少々♣️クラブ陣営を叩きたくなったのよね』

『と、仰いますと……?』

 シュシュの問いに、ヴァイスは答える。


『「偽物、屠るべし」よ』


 穏やかな口調で話すヴァイスだったが、怒りは本物であった。


     *


 話は前後する。

 ストレプトカーパスを撃破後、ヴァイスリッター・アインの視界には“明らかに異常なもの”があった。

 それは、シベリアを彷彿ほうふつとさせる光景であった。

(妙ね……。戦場における気温は平均して25℃程度。雪が降るはずはないのですけれど……)

 ヴァイスリッター・アインを拠点に向かわせながら、シュシュにデータベースを検索させる。

『お姉様、見つかりました。送ります』

『ありがとう、シュシュ。っ、これは――』

 そう。


 この猛吹雪を起こしたのは、のだ。


(なるほどね……。けれど、私たち『水』こと『氷を司る者』にそれを見せたのが、運の尽きよね。けれど現状は、機体に若干のダメージあり。仕方ないわね、一度装備を整えるといたしましょうか……)

 かくして、ヴァイスは“ストライカー改”を回収すると決意したのであった。


     *


『なるほど……つまらぬ問いをいたしました』

 シュシュが詫びるが、ヴァイスは『いいわよ』と許す。

 と、更にシュシュが口を開いた。

『ですが、そうなると……。“マイスナー効果”というものに注意しなくては』

『そうね。魔術攻撃はあるけれど、一応の対策はしていきましょうか。シュシュ、アレを借りても良いかしら?』

『どうぞ。わたくしのヴァイスリッター・ツヴァイは使えませんから、お姉様に役立てて頂きたいですわ』

『ありがとう、シュシュ。では、予定変更ね』

 ヴァイスは生成した氷剣を消し去ると、シュシュから貸与された火砲を受け取った。


『では今度こそ……“偽物”を成敗するといたしましょうか。うふふ』



作者からの追伸


 有原です。


 死蔵していた火器があった為、取り出しました。

 ヴァイスは魔術師ですけれど、魔術ばかり使うわけではありません。使えるものは何でも使います。目的達成の為にこだわりを持ちませんから(ただし外部からの依頼がある場合は除く)。


 延長戦ですからね。

 龍野達の、そして皆様の戦いが、激しさを増して参ります。

 さて、一同はプリンセス・フーダニットに報いる事が出来るのか!


 では、今回は――


(電波ジャック、開始)


リナリア・シュヴァルツリッター

「死ぬかと思った……」


リナリア・バーンスタイン

「それは私のセリフだ。格闘戦で負けるはずはないというのに……」


ブレイバ&ブランシュ

(息が上がっている)


ララ

(息が上がっている)


リナリア・シュヴァルツリッター

「あ、皆様。前回と前々回の寸劇における抱き枕の話ですが、やっぱり追いかけられて、そして地球の山口県と千葉県なる地で、二度にわたって喧嘩になりました。言っておきますけれど、無事じゃないです。山の地表は抉れ、街はいくつか壊滅しました。今はリゲルの皇城に戻っております」


リナリア・バーンスタイン

「それはそれとして、(機体性能からして有り得ないのに)どういう訳か互角の戦いを繰り広げ、お互い中破した、と」


リナリア・シュヴァルツリッター

「中破どころか、帰りの無理なテレポートで大破になりましたよ。ああ、ほとんど動かない……」


リナリア・バーンスタイン

「まったくだ。後で修理と仲直りだな」


リナリア・シュヴァルツリッター

「ええ」


(電波ジャック終了)


 はい、唐突に割り込ませてみました。

 案の定、大喧嘩が起こりましたね。


 ですが、これによってブランシュ(姪)とララ様(叔母)の仲が良好になりました(ただし抱き枕は全て没収された。されたのだが、“ララ様を抱き枕にしても良い”、という結果に落ち着いた)。ララ様がブランシュに鍛えてもらう、そんな妄想も出来そうですね。ちなみに報酬はブレイバのもふもふです。え、父さんハーゲンのもふもふは、って? ララ様ですから、きっと立場を利用して呼びつけて、ブレイバのと合わせてもふってますよ。“両手に花”ですね。


 さて、寸劇が長くなりました。元々入れる予定ではありませんでしたけど、「やっぱり無いとつまらない」と、最近は思っております。


 ふざけついでに、日ごろの感謝をば。

 皆様、いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 暗黒星雲様、いつも応援、そしてキャラクターをお貸しくださり、ありがとうございます。大変お世話になっております。


 では今度こそ、今回はここまで!

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