戦車の朝顔

「───ッ!!」


少女は悪夢から目を覚ます。布団から飛び起きて窓の外を確認する。窓の外にはごく普通の街並みが並んでいる。少女はホッと胸をなでおろした。


「また悪夢見たの?」


少女の後ろに、青い髪の少女が立っていた。


「アル…そうだよ。またお母さんに怒られちゃった」


少女はアルと呼ばれた少女に振り向いて答えた。


「ルカは相変わらずだねー、理不尽な事で怒られても自分を責めるとか」


ジト目で話すアルにルカは顔をしかめて微妙な表情をした。


「返す言葉がないよ…」


「でも実際、ルカは母親殺してないんでしょ?」


「そうだよ…でもみんな殺したって言う…私じゃないのに…」


拳を握りしめるルカにアルが言う


「ねぇ、さっさと朝ごはん作って。お腹すいた」


「わかった、何が食べたい?」


「なんでもいいよ」


部屋を出て行ったルカをアルは見送っていた。

アルは知っていた。何者がルカの母親を殺したのか。それはルカであって、ルカでない「何か」だった。

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ヨノアの著者名は空っぽ集 ヨノア Yonoa @yonoa

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