★【中編】淅瀝の森で君を愛す

【概要】

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882798645

 タイトル:淅瀝の森で君を愛す

 作者: まるた曜子

 ジャンル:現代ドラマ

 状態:完結

 文字数:77,457字(2020/11/29現在)


【あらすじ】

 兄の結婚相手には連れ子がいた。「なあ」と呼ぶことになる彼は、人を虜にする魅力を備えていた。小動物を可愛がるように接し、愛しく思う「まお」。大好きだからずっと一緒にいようという、幼い頃の子供じみた約束。その約束は互いが成長し、将来を考える折に牙を剥く。


【語り愛】

 これね、壮絶なんですよ。度肝を抜かれたというか。頑張って言葉にするけど、背筋がゾクゾクするような重みとつらみと、それでいて幼いようなさらりとしているような文体、語り口がわかりやすい分置かれている状況が克明になってします。ガツンと殴られて、こびりついて離れない衝撃的な作品です。フォロワーさんに紹介していただいたんだけど、これはすごいわありがとう。


 語ろうとすれば人間関係に尽きるんですけど、いやあ人間関係って難しい。すきって難しい。お互いがお互いのことをすきならばそれは幸せだと言えるのでしょうか? って感じで。なあもまおもお互いのことを確かに好きだと思っているけど、けど……っていう「ちがい」が殴りかかってくるんですよ。ほんとに。

 すきに限らずですけど、感情には言葉には乗せきれない意味と重みがあるなあと思いました。日頃のスキンシップみたいな「すき」は、まあ挨拶みたいな気軽さがあるけど、一世一代の告白の「すき」はまったく意味も重みも違うんです。というのを純然な眼差しで突きつけられた感じ。それを無下にはできないけど、それをすべて受け入れるわけにはいかない。落としどころを見つけられればいいんだろうけど、精神的にも年齢的にも幼いふたりにはそういうことがうまくできないだろうし、うーん、すきという感情が敵意みたいになってしまうのが、恐ろしいものに見えてします。すれ違うという言葉は適切でないような気もするけど、ひとの心やわかりあうことの難しさでめった刺しにされた心地です。それでも希望を求めたくてどんどん読んでしまう。

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