★【長編】ファイトオーバー!
【概要】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882311987
タイトル:ファイトオーバー!
作者:西山いつき
ジャンル:現代ドラマ
状態:完結
文字数:472,231字(2020/11/29現在)
【あらすじ】
中学校で数学教師をしている斎上は、この春からクラス担任を受け持つことになった。教師になって三年目、うまく折り合いをつけて過ごす日々はしかし、かつて追いかけたバスケットボールほどの熱量を注ぐことができない。どこかくすぶった、あるいは諦めたような斎上だったが、全国を目指した同胞の一言で火をつけられる。
またバスケットボールがしたい。バスケットボールを生徒たちと楽しみたい。そして願うなら全国へと。斎上は女子バスケットボール部を創設し、顧問として部員の確保に奔走する。様々な縁から部員となった少女たち。それぞれに入部理由も思惑も過去も異なるけれど、ひとつのボールを追いかけていくことで少しずつ変化を見せていく。
【語り愛】
西山さまのお名前は評論にて拝見しておりまして(創作論ジャンルを漁るのが大好きなもので)、なるほどなと頷ける指摘、着眼点に感銘を受けておりました。今回企画のご縁で西山さま自身の小説を拝見するに至りましたが。
どっぷり沼です。読み込んでしまう面白さ、というか物語としての柱の頼もしさが尋常ではありません。
王道ってこういうのを言うんだろうなあ、って感じました。世の中には様々な小説があって、ネット小説だと批評とかでオリジナリティーが足りないとか、ありきたりとか言うじゃないですか。でも尖った物語だけが良いのかというと、それは違うなって。
友情、努力、勝利。
少年漫画の三本柱とも言えるこの要素が、しっかりとした屋台骨のもとにいかされている。
一話あたりの文字数は多め。一話にひとつのエピソード、という進め方ゆえでしょう。でもその一話に起承転結キャラクターの掘り下げ無理のないテンポでの展開ドラマチックな幕切れが用意されていて、見ていて胸がスカッとする。
物語というものの基本的な枠をここまで徹底すれば、非常に魅力的で読みごたえのある小説が完成する。素晴らしいと思います。
キャラクターについても、個性が足りないっていうのは属性や見た目の話ではないと思うんです。現代日本、しかも中学校ならみんな制服だし、でも当然みんなが同じ顔ではなくて。
個性に見た目は関係ない。むしろ中身を描ききることでオンリーワンの存在として認知されるし、好きだとか嫌いだという話ができる。キャラクターの描きかたというものもストーリーとうまく絡んでおり、さすがの一言です。
バスケットボールは体育でしかやったことのない。そんな知識の有澤だって楽しんで読んでいるお話です。ジャンルとか専門用語は無関係、人間の成長というものにフォーカスすれば問題なく読めるし、その虜になると思います。
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