★【中編】人狩り

【概要】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886646530

 タイトル:人狩り

 作者:なはこ

 ジャンル:歴史・時代・伝奇

 状態:完結

 文字数:75,649字(2018/12/30現在)


【あらすじ】

 文明が崩壊した後に構築された世界、そこにある大樹に覆われた大和の国。人間と獣、そして精霊が共存して成り立っているが、なかには人間が獣や精霊に危害を加える場合もある。私欲のため、神秘のため――そういった貪欲な人間を殺す人間、彼らを「人狩り」と呼ぶ。

 とある村には遅れ米の風習が存在する。数十年に一度、真冬に実る遅れ米は人間を一人だけ精霊に変える。純金以上の価値を持つ遅れ米と引き換えに、村の人間が精霊に成り代わる。「精霊成り」と呼ばれるソレは村を出て、人狩りと共に行かねばならない。精霊成りに選ばれてしまった少女・紬は、人狩りの男ヒスイと終わりの知れぬ旅に連れられる。


【語り愛】

 これは最後まで読むと見方が変わりますわ。私好みに変わりますわ。


 精霊成りの紬が人狩りのヒスイに付き従い進む物語。ヒスイが「人狩り」という生業をしているあたりが、ええ、文字でお察しですよね。

 ヒスイの信条、好きです。依頼人に空の薬莢を渡すのが彼の仕事完了であり、契約満了の証です。でもそれはちゃんと仕事をやりましたよーって報告ではなくて、「お前が殺せないから俺が代わりに殺したんだ」「お前が俺に引き金を引かせたんだ」という罪の共有、なんですよね。そのあたりの命の重みというか、彼の考え方がとても好きです。


 汚れ仕事とも言えるヒスイについていく紬は、対照的に純粋で従順に映ります。でもヒスイとの旅路で芯を持っていって、自分の意思で歩めるようになる。この凹凸の激しいコンビがいとおしくなってくるんです。やってることはえげつないですけど。


 からの、ね! 言えないけど終盤がね! いやーこれはすごい、これはなんという展開ですわー。

 最後まで読むべき、という言葉が相応しい作品。印象がここまで変わるとは。私が好きです、と言った時点でなんとなく勘の良い方はわかるかもしれませんが、怒濤というしかありませんでした。

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