★【長編】夜の王は静かに暮らしたい

【概要】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884874593

 タイトル:夜の王は静かに暮らしたい

 作者:lager

 ジャンル:異世界ファンタジー

 状態:完結

 文字数:590,000字(2020/11/29現在)


【あらすじ】

「未亡人の街」メリィ・ウィドウ。一度は壊滅的被害を受けた絶望の街は、その経歴ゆえかあらゆるものを受け入れ、あらゆるものを拒まない。たとえ人間でも、魔族でも、他のものでも。

 メリィ・ウィドウで何でも屋をするヨルは、便利屋として街の人々から重宝されている。しかしその正体はいわゆる「吸血鬼」で、便利屋は街の者から血をもらうための交換条件だった。

 本来であれば聖騎士が常駐するはずのメリィ・ウィドウに、三年ぶりに聖騎士が赴任した。ヒカリと名乗った彼女は、だがとんでもない猪突猛進ぶりを見せる。盲目的な信念のもとヨルを討伐しようと奮闘するヒカリと逃走するヨル。それぞれに複雑なものを抱えながら、メリィ・ウィドウに生きていく。


【語り愛】

 lagerさんのお名前は知り合いのカクヨム作家さん複数名からお伺いしており、とても素晴らしい小説を書く方だと聞いていました。『夜の王は静かに暮らしたい』はしかし文字数も話数も結構あったため、色々と抱えていた有澤は読みます!といいつつなかなかページを開けずにいたのですが。


 後悔ですよ。

 なんでこんな面白いものを早く読んでおかなかった。


 文字数とか話数って、開いてしまえばもう関係ないんですよね。言わば入り口の問題で、ちょっと敬遠してしまうのですが。

 一話目でもう、文章のうまさというか、読ませる力というものを感じました。なるほどこれは読みたくなるわと。


 文章の魅力を伝えるのがこのエッセイの目的ですが、文字で伝えるのは難儀してしまいます。このお話の一話目って、語弊を恐れずに言えば劇的な展開があるわけではないのです。むしろセリフがぼんぼん出て来て、地の文が挟まる余地がなく。普通だったらここでページを閉じかねない構成です。


 だというのに止まらない。セリフはひとつひとつが短く、読みやすいテンポやリズムを維持している。描写がなくても「ああ、この場面には描写は無理に挟まなくてもいいんだ」と納得できる情報量でありシーンだし、そういった雰囲気の醸成が卓越している。

 更に、街の人とヨル、ヒカリの関わりを多角的に描くし機会も多いから、二人の物語であり、メリィ・ウィドウという街の物語でもある。すごい、すごいです。読ませる力と、スッと入る文章が。


 と、どっちかと言えばlagerさんの文章すげー! 惚れるわ! って内容になり恐縮ですが、これはいいです。だんだん語彙がなくなったのでこの辺にしますが、まさしく一読すべき物語、でしょう。

 最後に蛇足ですが、メリィ・ウィドウっていうと私は吹奏楽……というか歌劇なんですかね元ネタ。それを思い出しました。

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