★【中編】やがて光となって散る

【概要】

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054886257400

 タイトル:やがて光となって散る

 作者:夏野けい

 ジャンル:現代ドラマ

 状態:完結

 文字数:41,099字(2018/08/27現在)


【あらすじ】

 致死性発光症――原因不明、治療方法不確立、一度発症してしまえば完治することは現代医学では難しい「不治の病」。ある日突然身体がぼんやりと光だし、死期に近づくほどにその輝きは強くなっていく。終焉は突然訪れ、死を迎えると光となって散っていく。あとには何も、死体すら残らない。そんな病にかかったら、あなたは最期に何を残しますか?


【語り愛】

 「死」をテーマにしたオムニバス形式の物語です。題材とあらすじからわかるとおり、明るい話かと言われると是とは言えません。いつか来る、確定した死という未来。その足音が止まるまでに、自分には何ができるのか。


 何も残らない、というのは人を不安にさせるものです。死体がない、骨も残らない、墓の下は空っぽで名前だけが刻まれる。私が生きたと言えるものは、本当に存在しているのだろうか? 誰か覚えていてくれるのだろうか? ものがないと自分がいなかったみたいにされてしまいそう。だから人は最期に向けて何かを残そうとします。


 致死性発光症というオリジナルの病ですが、皮肉な病気です。光を散らす姿は夜に映えて美しいのに、それが死ぬとき最高の輝きを放つというのがなんとも。目の前で人が光って散る。はじめてその描写を見た時、美しさと儚さと、いいようのない喪失感に胸を衝かれました。


 何を残すのか? 様々な人の選択。私が特に刺さったのは歌の上手い少年のお話(第十三話[翼があるのに])です。すごく、すごく、なんというか、言葉にできないものがありました。

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