聖邪の創造主の殺生
快晴
第1話
序章
この世界には無数の「伝説の武具」が存在する。
代表的なもので「エクスカリバー」や「アイギスの盾」などがあげられる。
これらは実際に使用されたものであると伝記には書かれてあり、その武具はその所有者に絶大な力をあたえた。
しかしながら、それらの武具は一体どうやってつくられたのであろうか?
ある場合は神からの施し、ある場合では聖者の創造物であると伝記には記されているが、それが本当なのかは定かでは無い。
加えて、出典のわからない武具や、そもそもただの鉄屑すらも「伝説の武具」として保管されている場合もある。
これでは、もはや太古より使われた英雄の持ち物全てが「伝説の武具」と謳われても仕方がない。
そこで、ある男はそれらの名の知れない武具を全て回収して回っているらしい。
その男は魔法使いなのか、はたまた賢者、あるいは神なのかもしれない。
なぜそのように言われるか、それはその男はただの鉄屑である武具から生命を宿す力を持っているからだ。
折れた剣から蝶へ、欠けた盾から犬へ、先の折れた槍から人へ、その流転を行ってきた。さらには、自らの叩き上げた武具を「伝説の武具」として世に出回らせているそうである。
それも、大量に。
もはや、そちらの方が「伝説の武具」の価値を下げているのではないだろうか。
とても迷惑な話だが、その「伝説の武具」は、固有種として『ヴィティア』と名をつけられて市で出回っている。
しかし、そのヴィティアなる武具は絶大な力を与える代わりにそれ相応の代償、または契約が必要となる。
よって、持ち主も強大な力を有する必要がある。
このヴィティアというブランドは少しずつだが売れ残りとして風化しゆく傾向にある。
その様子を見るや否や、ヴィティアは市から消えていくのだった...。
創造主の新しい作品には少しだけクセの強いものを作り出しているらしい。
攻撃を受け止めない鎧、切れない剣、縮む槍、柔らかい盾。
もはや創造主の意図がわからない武具たちはやがて蝶になり、犬になり、人に姿を変えて小さな森へ消えていった...。
創造主は、皆から「メイカー」と呼ばれ、その武具の性能より、批評されることが多かった。
聖邪の創造主の殺生 快晴 @kaisei_syarira
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