第36話 少しだけ、待っていてください。
久しぶりと、にこりと微笑んでフレットさんの名前をその女性は言いました。
フレットさんはなにも答えません。口を開けて、ただその女性を見つめていました。
代わりに私が、その久しぶりという言葉の意味を確かめます。
「貴方が、フレットさんの家族……?」
そしてその女性は、ゆっくりと首をかしげて目をパチパチと数回。神妙なこちらとは違い、どこか抜けたような声でいいます。
「家族……。どうなんでしょう?たしかに共に過ごしてはいましたが、血も繋がっていなければ、さりとて愛情があったわけでもありませんからね。家族というのは適切ではないかもしれませんが……どうなんでしょう?」
「どうなんでしょうって……」
あまりに暢気なその発言に、沸いてくるはずの怒りも沸いてきません。ただ肌でわかります。まともな話が出来る相手ではないと。人というよりも、魔女を相手にしているような――。けれど、彼女が魔女でないことは私自身の身体が教えてくれます。
「貴方、一体誰なんですか?」
「この国の統治者ですって」
私の質問に答えたのはノーディタウでした。なんだかイライラしている様子です。
「やっと全てを知っている人間に会えたってのに、話すのは全員が揃ってからって……。ああ、ああ、もどかしいったらないわ」
傍でブツブツなにかを言っているノーディタウを気にもとめず、微笑んでいます。その顔は、なんとなく傍にいる魔女よりも非人間的に感じました。
「統治者だなんて、そんな大層なものではありませんよ。ふふ、ですねえ……強いていうなれば……“聖女”とでも名乗りましょうか」
「……ふざけているんですか?」
「いいえ。あなた方二人は悪を成すそのあり方から魔女と呼ばれているのでしょう?ならば、悪も善も全てを背負うわたくしには聖女がふさわしいいかなと」
そういう聖女の顔には、やはり微笑みが浮かんでいます。私とノーディタウを魔女だと看破しておいてなお、私達を見据えるその瞳に変わりはありません。
ただ――、フレットさんを見るときだけは、その瞳に別のなにかが宿っているような気がしました。
「正直もう一生見ることはないと思っていましたが、これは奇跡ですね。君は奇跡をつかみ取ったのですよ。フレット。感謝――そして、喜びを」
「……僕は、あなたのことなんて欠片たりとも覚えてない」
「そうでしょうね。君の記憶はいじりにいじりましたから。わたくしのことは覚えていないというよりは、知らないといったほうがもはや正しいかも知れませんね。まあ、詳しいことは是非もっとふさわしい場所で――」
もう、限界でした。熱気にあてられて、私とフレットさん、離れているノーディタウや聖女の髪も舞い上がり、そして元通りに落ちていきます。
私が一歩歩くたびに、足跡の代わりに小さい火が残され熱を辺りに散らします。
いまにも内側から溢れ出そうな火を、なんとか言葉にかえて吐き出します。
「その薄汚い笑みを、フレットさんに向けないでください。これ以上、フレットさんの大切な物を汚さないでください――」
「――と、言うと?」
「フレットさんは家族との大切な思い出を、私に語ってくれました。それはフレットさんにとって心の支えだったはずです。彼はその支えを見つけるためにここに来たんです。それを、そんな簡単に踏みにじるようなことを言わないでください――!」
感情と共に、いくらかの火が空中に跳ねました。火は落ちず、空中の段階で例の球体の機械が消し去っていました。
聖女と私の距離がすぐ傍まで迫っても、聖女の顔色は一つも変わらず、ただ微笑みをたたえて私を見ていました。聖女のすぐ後ろにいるノーディタウは面倒くさそうに胸元をパタパタと動かしています。けれどその瞳は険しく、私が一線を越えた行動をとらないよう注意を払っています。
「踏みにじるもなにも、その支えとやらは全て虚構ではないのですか?その様子だと、随分と彼と親しいようですが……それならば二度三度聞いた彼の思い出話はどのような差異がありましたか?どこがどのように食い違っていましたか?」
「――やっぱり、全部なにもかも知っているんですね。なら、いまここで全部彼に説明してください!聖女かなにか知りませんが貴方にはその義務があります!それが出来ないのなら今すぐに私が貴方を――」
二つの意味で熱を抑えられそうになかった私の肩に、手が置かれました。ノーディタウ――ではありません。彼女がこんな優しく全うな止め方をするとは思えません。
「大丈夫――。落ち着いて、ライラさん」
私の肩に手を置いたまま言うフレットさん。その微笑みは、一目で無理をしているとわかりました。
それに、いつのならひたすらに温かい手が、今は力がはいって少し痛いと思うほどでした。
フレットはそのまま一歩前に出て、聖女に向けて言います。
「教えてくれるんでしょ?全部」
「もちろん――。そこの金髪の魔女がおっしゃったように、ここにたどり着いた君には全てを教える義務がありますから。案内しましょう。全てを語るにふさわしい場所へ――」
そして、聖女は着いてくるようにうながす視線を私達に送り、軽やかな足取りで歩み始めました。
それに続こうとするノーディタウを、私は呼び止めて言います。
「あの……すみませんでした……。つい熱くなってしまって……」
ノーディタウはチラリと私に目をやり、責めるでも怒るでもなく、ただ呆れ風に言いました。
「ギャグにしてはつまらないわよ、それ」
そしてそのまま歩き始めました。やはり彼女はこれから知ることにしか興味がないのでしょうか。その足取りは踊っています。
そして、最後に残された私とフレットさん。
フレットさんに一番なにかを言わなければと思うのですが、やはりというべきか、私はなにも言うことが出来ません。
フレットさんが「僕たちも行こうか」と歩き始めるその時、ようやく声をかけることができました。
「あ、あの――!その、ええ……私の体、ちょっと熱かったと思うんですけど、大丈夫でしたか?火傷とか……してませんか?」
そしてフレットさんは当たり前のような笑顔を作って言いました。
「大丈夫だよ」
と。
聖女について行く形で、機械で満ちた国を歩いています。そのとんでもっぷりは、一々驚いていられないほどです。聖女が妙な石碑のようなものに手をかざすと、周囲が光に包まれてノーディタウの魔術よろしく全く別の場所にたどり着いたり――。
そんな不可思議をいくつか経験してたどり着いたのは、この国で一番目立っている空中に浮かぶ城でした。まあなんとなくこの場所にくるような気はしていたので、大した驚きもなく、文字通り吸い込まれながら城の中へと私達は入っていきました。
「ようこそ、わたくしの城へ。ひとまず、進みましょうか」
まず私達を出迎えたのは、先の見えないほどの長い長い階段でした。螺旋に伸びたそれは、そこらじょうにたかれた照明に照らされて煌々と輝いています。少なくとも、足を踏み外す心配はないようです。
「――随分長い階段ね。この階段は自動で動いたりしないの?」
「ええ。わたくし達が今いる場所は、極々限られた者しか入ることが許されていませんから。限られた者以外が入ると――まあ、この話は後にしましょうか」
「チッ……。ここまで来てもったいぶらないで欲しいわ。私は自分たちの正体を話したのよ?これがどれほど大きいリスクかわかるかしら?そして私はそのリスクを払う価値があるものを知れると踏んだのよ。がっかりだけはさせないでちょうだい」
「すぐにわかることですよ。――といっても、期待通りかどうかはわたくしには計り兼ねますね。先もあなたに申し上げた通りですが、この世界の真実――とだけ。この階段を上がりきるまでの辛抱です」
ノーディタウと聖女がなにかを話しています。近くにいるにも関わらず、その内容は全く私の頭に入ってきませんでした。そしてそれは、フレットさんも同じでしょう。
私の――私達の視線と意識は、傷一つない白い壁に向いていました。
正確には、階段を上っていると時々目に付くそれらに――。
私がフレットさんより先にその疑問を口にしたのは、たまたまです。私があと一秒黙っていれば、フレットが同じことを言ったでしょう。
「なぜ、ここにフレットさんの絵があるんですか……?」
見間違うはずもないですし、こんな絵を描く人物が二人といるはずがありません。
何度も見た、おどろおどろしい不気味な絵――。まさに悪意という言い方がふさわしいような禍々しさが描かれたその絵。それが、なぜこんなところに飾ってあるのか――。
「ああ、その絵ですか?もてあましていたので飾ってみたのです。なんとなく、誰にも見られないような場所がお似合いではありませんか?」
「そういうことではなく――!」
「――ああ、この絵に関してはわたくしもよくわかりませんよ。これに関しては生まれ持った特性のようなものではないですか?人間というものは、時折信じられないものをその身に宿すものです。――まあ、フレットの場合は視る力の影響というのもありますが」
「だから私が聞きたいのはそういうことでは――」
「僕はこの国にいる間、あなたと暮らしていたんですか?」
フレットさんは、あっさりとその結論を口にしました。ここまで出そろえばそれはあまりにも当然のことで、聖女は軽く「ええ、そうですよ」と答えました。
そしてフレットさんは、答え合わせをするように聖女に質問を重ねていきます。
「――でも、あなたは僕の親でも、兄弟でもない」
「ええ、その通りです」
「僕の家族はどこですか」
「さあ?この国のどこかにいるのではないですか?その家族の記憶に君は存在しませんし、そんなものないに等しいでしょう」
「僕は……あなたに連れ去られた……?」
「……まあ、その言い方が正しいでしょうね。幼年期の君を私はこっそりと自分の手元に置き、ある程度自活ができるまで育てあげました」
「なんで……そんなことを……」
「――興味本位、でしょうか?」
私はその会話を聞きながら、今すぐにでもこの聖女を消し炭にしてやりたい気持ちで溢れていました。けれど、それが出来ないように、私の後ろを歩いていたはずのフレットさんはいつの間にか、私の前に出ていました。
興味本位――それはなんの偶然か、フレットが私を助けた理由と一致しています。
フレットさんがどれほど困惑の声を上げても、私がどんなに殺意を漏らしても、聖女はこちらを向くどころか、歩みを止めることもせずに、まるで世間話をするような口調で真実を話していきます。
「――フレット、君はどこまで自分の持っている力を理解していますか?」
「……そこのノーディタウさんからは、あらゆるものに存在するマイナスのエネルギーを見る力だって……」
「ふむ……まあ、その通りですね。極まれに現れるようなんですよ。普通なら認識も観測もできない、ほとんどないものとして扱われているその負のエネルギーを認識できる人間が」
「それが、僕……」
「ええ、記録上でも随分久しいようでしたから興味がわきまして。――結局、君は感じ取れるだけでそれを応用できる術をもたない弱い力の持ち主でしたが――」
と、ここで聖女は初めて足を止めました。そして、力のこもっていない動きでゆっくりと振り向き、数段高い場所から私達を見下ろしてため息を吐きました。
「はあ……。まだ道中ですが、ここまで喋ったのなら仕方ありませんね。フレットに関することだけでもここで話してしまいましょう。さすがに私も金髪の魔女がそろそろ怖くなってきましたから」
「――賢明な判断です」
殺意を隠すこともなく、嫌み交じりにそう言いました。
「ノーディタウさんも、よろしいですか?」
「何度言えばわかるのかしら?私は早く知りたいの」
ノーディタウは特になにも変わらず。
フレットさんはただ黙って、けれど拳を強く握りしめて立っていました。
私は――、ただ憤ることしかできない自分があまりにも情けなくて、結局、黙って話を聞くことしか出来ませんでした。
「この世界に、国と呼べる場所は三つあります。ドルムト、コルデ、そしてティアムト。それぞれに統治者と呼べる人間は存在しますが、わたくし以外の二人はその冠を与えられお飾りのようなものです。けれど、わたくしは――わたくしたちティアムトの統治者は違います。一人、世界の真実とその隠匿をその身に背負ってきました。二百年間ずっと」
二百年――。そこに引っかかりを覚えました。たびたび耳にしていた、二百年前の出来事――。
「三国間戦争……」
呟いたのはフレットさんです。
ここでそれがでるということはやはり、全て繋がっているということ――。
「ティアムトの統治者になるものは、ありとあらゆる秘密を教えられ、それらを秘匿するためだけに生き、適当な年齢になると子を産み、そして同じように全てを伝え、消えるのです」
「まるで機械ね」
ノーディタウが軽口を挟みます。聖女は微笑んだままで、「全くその通りです」と首を縦に動かし、語りを続けました。
「わたくしに待つのは、ただただ決められた運命のみ――。それを知ったとき、わたくしは絶望したのですよ。自分と、世界に――。まだ十年ほどしか生きていなかったわたくしは、疲れてしまいました。ふふっ、魔女に負けないぐらいの悲壮さでしょう?」
「貴方の事情なんてどうでもいいです。私が知りたいのは、フレットさんのことについてです」
「まあまあ、これが最後なのですから無駄話にも付き合ってください。それに、ノーディタウさんは別に嫌ではないのでしょう?」
「もちろん、もっと詳しく聞かせて欲しいわ。余すことなく、ね」
フレットさんはなにも言いません。
大丈夫と、軽い言葉をかけるのもためらわれたので、強く固められたその手を、私は包み込みました。
「なぜわたくしがこんなことを――。そう思いました。全て壊してしまいたかった。けれど、仮にもわたくしと血の繋がった者達が守り通してきたものをこの手で壊すことに、わたくしは踏み出せなかったのです。だから――賭けることにしました」
「賭けたって……それは、僕に……?」
「そうです。誰でもよかったのですが、一番目のとまるところに君がいましたから。結局、君から得たものはなにもありませんでした。だからこそ、思ったのです。使おうと――。わたくしは君を育てました。生きる力を身につけさせました。そして頃合いを見て、君の記憶にありもしない思い出を混ぜ合わせ、埋め込み、ひっそりとこの国の外へだしました。君の記憶はあまりにも歪です。だから、君と関わる人は必ず違和感を抱く。おまけに、ティアムトから来たという興味をそそるたった一つ正しい記憶――。その誰かと君が真実を確かめようとふたたびわたくしの前に現れたら、その時は全てを語り終わらせようと――」
聖女の語る一つ一つを理解していくたびに、わけのわからないものが脳裏に溢れます。怒りもなにもかも塗り潰されて、ただ一言でた言葉は、
「狂ってますよ……貴方!」
「その通りです」と、微笑みを壊さないままに、魔女でも人間でもない聖女は言い放ちます。この狂った女に、フレットさんは狂わされた――。
「けれど、それはあまりにも乱暴じゃないかしら?聖女様の思惑通りになる可能性なんて、あまりに低いわ。現に、フレットは人との関わりは最低限だった。こうなったのは万に一つの奇跡よ」
冷静に、ノーディタウは聖女にそう言います。その冷静さは腹立たしくもありますが、私が踏みとどまっていられる要因でもありました。
「ですから言ったではないですか。賭け――と。万に一つがもしも起きたのであれば、わたくしは全ての重荷を解き放とうと――」
「このペンダントは――!」
聖女を遮るように、フレットさんが叫びました。突き出した手には、彼にとって大切な翡翠の宝石が埋め込まれたペンダントがありました。
そこでようやく、私はフレットさんの手が震えていることに気が付きました。ずっと、握っていたのに――。
「このペンダントはなんなんだよ!ずっと、ずっと、大切にしてきたんだ!これも嘘だってあなたは言うのか!」
初めて聞く、フレットさんの荒げた声。それは怒りというよりも、必死で助けを求めているような悲痛なもので――。けれど、聖女はただ冷徹に真実を告げました。
「ああ――まだ持っていたんですね。それはわたくしが持たせたものです。記憶はそれと結びつけやすいなにかがあった方がよく機能しますから」
「じゃあ、僕はなんなんだ!僕は一体どこの誰で、なんなんだよ!」
「落ち着いてください。フレットという名はちゃんと君のものですよ。キミの母だか父だかは忘れましたが、ちゃんと呼んでいた名ですから。記憶に関してはどうなんでしょう……。この国にいた頃の君の正しい記憶は何一つ残ってませんが、この国を出たからの記憶は確かに正しく君のものですよ。まあ、誰かの脳を弄るというのは危険な行為ですからなんらかの後遺症のようなものがあっても――」
大きな爆発音と共に、聖女の語りは中断されました。
私の両手のひらから発射された巨大な火の玉は、聖女の顔を正確に狙い、そして、聖女よりも手前で絡め取られ消え去りました。
「油断も隙もないわね、ライラ」
聖女を守ったのは、ノーディタウでした。彼女にしてみれば、長年追い求めていたものを台無しにされかけたのです。怒って当然でしょう。
けれど――、
「私は謝りませんよ。ノーディタウ」
「かまわないわ。いつかやらかすと思ってずっと備えていたもの」
そんな私達のやりとりを聞いて、聖女はクスリと笑い口を挟みます。
「やはり魔女は嘘つきですね。あなたが備えていたのは、なにかがあった時すぐにわたくしを殺せるようにでしょう?」
「――いいえ、殺すわけないじゃない。必要最低限は残すわよ。聖女様の口が動けば私は知れるのだから」
そして、私は最大の失敗に気が付きました。
私は両手を攻撃に使いました。つまり――フレットさんの手を握っていない。
「フレットさん!!」
私の声は聞こえているのか、聞こえていないのか。
フレットさんは転がり落ちるように階段を駆け下りていました。ついさっきまでいた場所に、叩きつけられたペンダントを残して――。
「待って、フレットさ――」
慌てて追いかけようとした私に、無数のなにかが絡みつきました。それは目で見ることができず、けれど間違いなく糸でした。
「離してください、ノーディタウ」
「じゃあ聞くけれど、このまま追いかけてどうするつもり?安い同情の言葉でも吐く?当たり障りのない慰めでもしてみる?きっと、どれもフレットには届かないわよ」
「じゃあ一体どうすればいいっていうんですか!?」
「知ればいいのよ」
体を縛っていたものがスッとなくなって、よろめいて階段から落ちそうになるのをなんとか踏みとどまります。
振り返って、ノーディタウを見ました。彼女は言います。いつも以上に、力強く。
「言ったはずよ。知識は武器と。私達はまだなにも知れていない。この世界の真実も、フレットの気持ちも。ライラがフレットのことを最優先にしているのは知っているわ。けれど、だからこそ、知りなさい。なにもかもを。なにも得ていないライラと、ないかを得たライラ――どちらがフレットをより救えるか、考えるまでもないでしょう?」
「ノーディタウ……それは、貴方だけの理論ですよ……」
「ええ。けれど、今のライラは私を否定することはできないわ」
ああ、全く、その通りです。
悔しくて悔しい仕方がありません。好きな人が傷ついているときに、こんな魔女の口車に乗ることしか出来ないだなんて――。
悔しさを踏みしめるように、フレットさんとは逆の方向に足を進めます。
少しだけ待っていてください、フレットさん。
今度は絶対、離しませんから――。
階段の終わりはもうすぐそばまで来ており、最後の一段を上りきった大扉の前で、聖女は佇んでいました。
軋んだ音を立てて、大扉が開かれていきます。
音が止み、大扉が完全に開かれ、私達はその先へ足を進めます。そして、聖女は言います。
「さあ、二百年を終わらせましょう――」
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