読み始めた瞬間に、胸が詰まった。歓喜とも絶叫とも酩酊ともつかない感覚が腹腔からあふれ出し、喉元で逆流して、心臓と胸郭を撹拌した。いまもまだ、叫びだしたいぐらいに胸がざわついている。これだ。このこれなのだ。ここに見た、私は確かに〝そのひと〟を視た。この奇怪な心情を語るすべを、残念ながら私は持ちえない。ただ一言、こうつぶやくのみである。この物語に、感謝を──と。
作者のラヴクラフトへの愛が伝わってくる、深いお話です。
此れが御大に捧げる、我等の信仰『侵攻』心で在る。旧き良き彼等と共に生命を咲かせ、物語は新たなる『貌』を創り始める。過去の嘲笑は未来で哄笑に代わり、真実は色に塗れて世界を包み込む。イア! ラヴクラフト フタグン!局外者に我等の筆を晒し尽くすのだ。さあ。次の後継者は全員だろう。