今回も深みのある物語でした。
回が進むにつれ深みが増しているといった感じでしょうか。
子供みたいな感想ですが、『強さ』とはなんなのでしょうね。
トランプのジョーカーに例えた今回の話は、現実の世界でも度々耳にする話題に通じると思います。
過激な発言は控えますが、一部のマイノリティーな人々、社会的に弱者の立場に立たされる人々。
弱者の定義は人によりけりだとは思いますが、そういった人たちが声高に叫ぶ主張は全て肯定しなければならない風潮が無きにしもあらず、という風に感じています。
もっとも、人はその立場によって考えを翻す生き物だとも思いますので、自分が強者の立場になった時、或いは弱者の立場に立たされた時に今と同様の主張が出来る自信もありませんが汗
雪世さんの作品は単に面白いだけでなく、本当に各章ごとにそのテーマについて真剣に考えさせられます。
そういった『力のある文章』を書かれる作家さんはそうは居ないと思っています。
日野崎さんはすっかり影の主人公という感じですね笑
コメディパートでもしっかり第一線で活躍していますし笑
一時期は苦境に立たされていた彼女が今度は誰かを勇気づける側に回る……。
『自分の弱さを知っているからこそ強い』を地で行く日野崎さんはカッコイイですね。
そして月ノ下君と星原さん。
二人はすっかり公認のカップルみたいになりましたね。
これまで様々な事件やトラブルを互いに補いながら乗り越えてきたからこその関係ですね。
早くも第三部を読了してしまいましたが、この二人の活躍をまだまだ見続けたいと思っています。
いつも長くなってしまい申し訳ありません汗
おそらくここまで長くコメントするのはこの作品だけです笑
『放課後対話篇3』
今回も想像を上回る面白さでした。
ありがとうございました。
作者からの返信
今回は明るい話とは言えないですが、主人公がテーマとなる社会の理不尽と向き合い、解決するとはいかないまでも答えを出そうと奮闘するお話でした。
人によって好みは分かれるかもしれませんが私にとっては思い入れのある気に入っているエピソードです。
実際に一部の人権団体が「私たちは社会的に弱者なんだ。だからこういうことに配慮しろ」と主張する場面は増えてきた気がします。それだけひどい差別を受けてきた歴史があるので仕方ないかもしれません。しかしそういう立場に立った時に人間の本質が露わになるということは自覚しておきたいですね。
もっとも私も「強い立場に立った時に相手を見下さずにいられるか。立場や権力を行使する誘惑にあらがえるか」といわれると難しいです。
日野崎さんは前回ではコメディよりの立ち位置でしたが、まっすぐで裏表のないキャラ性が彼女の真骨頂かもしれません。月ノ下くんでも救えなかった相手を助けることができるのも、彼女の正直な人間性あってこそですね。
月ノ下くんと星原さんについては一作目で心が通じ合って、二作目で関係がより親密になったもののまだあいまいな雰囲気でした。今回のラストで初めて男女として付き合っているという関係性に踏み込んだようです。
コメントありがとうございます。
楽しんでもらえて本当に嬉しく思います。
編集済
あーすごかった!
今回は特に読み応えある物語でした。
弱者だからこそ強い、というのって結構ありますね。被害を受けても、「お前の方が強いはずだろ」と、共感されない。先生いじめや、妻からDV受ける男性もそうなのかなって思います。
でも痴漢やレイプなのはなぜか被害者が「誘ったんだろ」って言われますねあれ……なんだあれ……加害者どころか第三者が言うあれは何なんだ……。
マスコミと政治家は、今は特に注目されてますし、「マウントとって愉悦に浸る」という部分は、確かに私の部分にもあります(エッセイやコメントで気をつけているはずなのに割とやらかしているなって思います汗)。修行が足りぬ。色々考えさせられる話でした。
道化師は、バカにされるようなイメージがありますが、バカにされてもなお諌める役目があったのですね……。
日野崎さん、あなたって子は……(´;ω;`)
前回のギャグとは思えないほどすばらしかったよ……いや前回は前回で面白かったけど……(笑)
正直であること、それは誰に向けなくとも自分に向けて過ごす姿は、そうなりたかった人に希望を持たせるんだろうなと思います。
そして、二人の仲もだいぶ進みましたね!
「僕と彼女に関して言えば、人間として強いのは彼女の方だ。精神的、人間的には僕の方が弱いだろう。だが僕が強い立場になったことなど一度もないぞ。」
に笑いました(笑)
4もお邪魔させていただきます!
作者からの返信
最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。
今回はテーマを強調して書いてましたので、伝わるものがありましたら嬉しく思います。
抑圧されていた「弱い立場」の人は守られるべきなのですが、是正のために過剰に優位に扱われるのもどうなのかとは思うことがあります(最近のアメリカでも外見や人種の平等を名目にファッションモデルの看板が白人女性から黒人のトランスジェンダーに差し替わるなんてことがありました)
ただそれには「それくらいに虐げられている」という背景があるわけですので、おっしゃるとおり本当にひどい目に合っている被害者の方は同情されるべきでしょうね。
日野崎さんは正義感が強く気は優しくて運動神経もいいという、これが謎解きものでなければこっちが主人公になってしまったかもしれない立ち位置のキャラクターなのです。今回は月ノ下くんとは違う形で傷ついた人間を救って見せました。
月ノ下くんと星原さん二人のじゃれ合いは毎度のオチにして書いていて楽しいシーンでもあるので、喜んでもらえてなによりです。
それでは、また。
ミステリー演出もそうですが、今回は人間模様が実に巧みに描かれていましたね。
人間は……恐らく殆どの人は向けられた悪意に対して『復讐』か『諦め』を選ぶと思います。そしてその程度は個人差が有れど『身内に迷惑を掛けたくない』範疇になる。
田無さんは歪んだようで歪みきれず、自分の内にある良心と悪意に翻弄されていた……そんな印象を受けました。
そして月ノ下君の成長……。弱い立場を自覚しつつ誰かを救おうとする彼は、少しづつ強くなりつつある気がします。
それは勿論星原さんの存在があればこそ。この先、益々物語が楽しみになりました。
作者からの返信
評価していただきましてありがとうございます。
田無さん自身は決して悪人だったわけではなく、裏切られ苦境に立たされたあげくに行動したのですが、その独特な立場が彼女の良い部分も悪い部分も浮き彫りにしたと言えるかもしれません。
月ノ下くん自身は強い人間ではないのですよね。
この物語では主人公が備えるべき道徳性と知性を、月ノ下くんと星原さんにそれぞれ分担させているところがあります。
「お人好しで困っている人を放っておけない優しさはあるけれど、解決するための見識や分析力は少し足りない」月ノ下くんと「知性に優れているのですが、基本的にはマイペースで必要以上に他人には踏み込まない」星原さん。
二人そろって初めて物語の主人公として機能しています。
性質が異なる二人だからこそ、互いに補って成長していけるのかもしれません。
拝読させていただきました。
遊戯によって変わる、トランプにおけるジョーカーの役割を、人間関係に照らし合わせて話に組み込む手法、さすがの手腕としか。
そして、思い出していた「疾風に勁草を知る」の故事とは現象では無く、やはり人生の指針とすべき言葉なのでしょうね。
だから、それに指針だけに何事も上手く行かないもの。
田無さんが、今回の行いに踏み切った描写も「ああ」とため息を漏らす感じです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
「疾風に勁草を知る」という故事成語は初めて知りました。勉強になります。
世の中には「その立場にならなければわからない気持ち」というのがあるもので、私も田無さんの立場だったらどうしていたかわかりません。
「踏みつけられたからといって踏み返さない」というのは美徳ではありますが、客観的には弱さと区別がつかないのですよね。
深いテーマでした。
政治や新聞、スポンサーと下請け、三年生女子と田無さん、それぞれの視点から見たら、簡単に答えが出せないことが多かったですが、田無さんに関しては日野崎さんが救いの手を差し伸べていましたね。
そのシーンは特に胸にグッとくるものがありました!!
そして、最後の星原さんが可愛かったです!!手を繋ぐ二人……またまたキュンでした(≧▽≦)
作者からの返信
今回は重い話になってしまいましたが、最後までお付き合いいただいてありがとうございます。
強い立場になると人間はその特権を行使したくなるものですが、そういう状況はその人間の本質を表すリトマス試験紙であり鏡であるという話でした。
田無さんは自分を貶めた同級生に対して復讐するという行動をとりながらも、日野崎さんをそっと助けるようなこともしていたわけで、どちらも彼女の本質でした。日野崎さんはそんな彼女の良い部分を認めてあげたかったのでしょう。
楽しんでいただけて本当に嬉しく思います。
たくさんの応援と温かいコメントをいただき、ありがとうございました。