くろいとりの泣き声

 

「エトランゼ! もういい! もういいんだ!」


 カラスは項垂れて、誰にも届かない声で泣き叫んだ。


 エトランゼの影響を受けないはずのこの室内にも、エトランゼの悲鳴は届いた。


 カラスは必死に意識を集中し、エトランゼの意識に触れようと試みるが、完全に狂乱状態の彼女には届かなかった。


「もう、終わりにしなければ」


 ――会いたい。君に会いたい。


 心はそう叫んでいたが、言葉には出せなかった。

 言葉にも出せない想いなど、どうして伝わるものかと、カラスは歯を食いしばって涙を流した。


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