籠の中の鳥達

 カゴミヤの街では、市民が混乱に陥っていた。


 街中の人々が、エトランゼの悲鳴に頭の中を搔き乱されていた。


 ジウの帰りを待ち、ジウの部屋で泣いていた母も、その母に寄り添っていた妹も、息子の行方を探して、塔の近くまで来ていた父も、執事もメイドも、皆、突然頭の中に流れ込んできた悲痛な叫びに、身動きが取れないでいた。

 ユキの家では、ユキを探しに出ようとしていた父親も、義母も弟妹も、同じように苦しんでいた。


 四人が登院しないと、心配していた学院の教員たちも、王立研究所の人々も、皆みんな、頭を抱えて苦痛に耐えていた。


 どれほど続いたのだろう。


 その地獄のような苦しみは、唐突に終わったのだった。

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